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シカゴ7裁判のYYamadaのレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.1
【NETFLIXオリジナル作品選】
◆監督:
 アーロン・ソーキン
◆ジャンル:
 法曹サスペンス、史実ドラマ
◆NETFLIX配信月: 2020年10月
◆劇場公開: 有り
 米国: 2020年9月 日本: 2020年10月

〈見処〉
①史実に基づく「不公平な裁判」
・『シカゴ7裁判』(原題: The Trial of the Chicago 7)は2020年に公開されたドラマ映画。
・舞台は1968年8月。ベトナム反戦運動の激化、ジョンソン大統領の出馬断念、ロバート・ケネディ上院議員の暗殺など混乱期にある、シカゴ民主党大会。
・共和党の大統領候補のニクソンに勝てるベトナム反戦の候補者支援のため、過激な若い民主党支持者たちにより必死のデモが巻き起こり、警察が乱入。結局は暴動化の事件となる。
・その5ヶ月後の1969年2月。8人の男性活動家が騒乱罪の罪で起訴されるが、うち1人、黒人のボビー・シールに弁護士があてがわれない(そのため「シカゴ7」と呼ばれる)人種差別も横行。このような出来レース裁判に対して、シカゴ7とシールは無実を訴えるが…
・本当に実話?と思えるくらい不公平な展開に腹立たしい場面の連続であるが、ラストシーンは胸が熱くなる。
・法廷ドラマでありながら、テンポの良い演出やロックを多様した劇伴奏など、アカデミー作品賞を狙える傑作と断言したい。
・本格鑑賞前にJFK~ジョンソン~ニクソン大統領の混沌とした時代を描く映画は沢山あるので、見ておくと良いと思う。とくにジョンソン大統領を描く『オールザウェイ』と、本作の悪評高いホフマン判事を演じたフランク・ランジェラ がニクソン大統領に扮した『フロスト✕ニクソン』は本作の理解度があがるはず。

②映画配給の難しさ
・本作はもともと『ソーシャル・ネットワーク』や『マネーボール』にて史実ドラマに強いトップ脚本家アーロン・ソーキンによる「シカゴ・セブン裁判」の脚本をドリームワークス製作、スティーヴン・スピルバーグ監督にて予定されていたもの。
・2008年にはスピルバーグは、サシャ・バロン・コーエン、ウィル・スミス、ヒース・レジャーを起用する意向がありながら、全米脚本家組合のストライキにより製作が中断。
・その後、スピルバーグは降板、後任監督にポール・グリーングラスやベン・スティラーの名前が挙がったそうだが、2018年にアーロン・ソーキン自らメガホンを取ることになったそうだ(Wikipedia調べ)。
・2019年にはパラマウント映画が本作の全米配給権を獲得し、同年9月からシカゴにて主要撮影が開始、2020年9月25日に全米公開する予定だとの報道があった。
・しかしながら2020年7月に、新型コロナウウィルスが収束しない事態にパラマウントは本作の劇場公開を断念、5600万ドルでNETFLIXに配信権を売却した。
・本作の豪華出演陣のキャスティングには、NETFLIXの意向が働いていないこと、現在の映画産業の勢力図は完全にネット配信会社と逆転してしまっていることを理解して本作を鑑賞すると良いかも。

③結び…本作の見処は?
○: 現在のBlack Matter運動に通じる差別社会を描いた良作。社会問題に考える機会を与えてくれる。
○: 出演陣がとにかく豪華。
○: ラストの法廷シーンは胸アツ描写。
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