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いつかの君にもわかることのHKのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.6
余命宣告された30代シングルファーザーのジョンが窓の清掃員をしながら、その4歳の息子マイケルの里親を探すお話。
苦手な気がしてパスするつもりが『おみおくりの作法』の監督と聞いて観てみることに。
原題は“Nowhere Special”(どこも特別ではない、特別な場所なんてない)。

前作の『おみおくりの作法』の原題は“Still Life”(静物画)。
静物画? と思ってもう少し調べると、静止したモノ、動かざる生命という意味も。
この方が題材のイメージに近い気がします。

それにしてもこの監督(ウベルト・パゾリーニ)の作品は邦題に恵まれない印象です。
『おみおくりの作法』もなんだか内容とズレている気がしたし、本作にいたっては『いつか君にもわかること』という邦題だとばかり思っていたら、よく見ると『いつか“の”君にも~』。
ヘンな日本語。どういうこと?。

ちなみに『おみおくり~』も本作も、監督が新聞で読んだ実話の記事から着想を得たんだとか。
『おみおくり~』と同じく、本作も全編静かなトーンで、とくに前半は淡々と進みます。
そして『おみおくり~』と同じく主人公は善人ですが、いけ好かない奴へのささやかな抵抗シーンもあります(前作では立ちション、本作ではタマゴ)。

この親子の境遇についても詳しい説明なしで伝わってくるのはさすが。
それにしてもこの親子、独身の俳優とオーディションで選ばれた子供だそうですが、見つめ合う目と目やちょっとした仕草が本当に自然で実の親子にしか見えず、見ているだけで泣けてきます。

マイケルがある里親に向かって、「いつ死ぬの?」。
里親「・・・参ったわね・・・自分ではわからないの」「みんなそうよ・・・ずっと先だといいな」

里親候補にもいろんな人や家庭があります。
当初、両親揃って犬も飼っている家庭がいいと願った父親と息子が選んだのは・・・
納得のラストでちょっとホッとして・・・やっぱり泣けてきます。
HK

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