こうん

ミッドナイト・スカイのこうんのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画館で公開されるネットフリックス製作の映画は、ある程度のクオリティは担保されているものである、という自分の方程式は崩壊しました。

クルーニー兄貴は「わーい!クリエイティビティが保証されているネットフリックスで思い通りに映画作るぞーい!」と喜んだかもしれませんが、すっ転んでます、この映画。

単なるSF映画とは思っていませんでしたが、この物語の根幹の「人生の最期で最大の過ちに向き合い救われる」という人間ドラマの主題が、無駄な展開や間延びした語りや新鮮味のないSF描写で矮小化されてしまっていて、「時間返して」と思わせる映画になってしまっていましたね。
言い方悪くなって申し訳ないけど、ジョージ・クルーニーのオナニー映画、とさえ思いました。
なんか、想定できる展開をもったいぶった語りでもって引き延ばして、やっとたどり着いたラストでは「やっぱりそうなるんかーい」という着地に驚きも感動もくそもなくて。
そのドラマの中心たるキャラクターをクルーニー自身が演じていることと彼のシークエンスの展開が全然面白くなくってノロマであることで、ちょっと物語の中の自分の酔ってるんじゃない?と邪推しちゃうような作りになっていました。

地球の天文台のクルーニーのドラマと並行して、木星系から帰投中の宇宙船のフェリシティ・ジョーンズたちクルーの様子が描かれるんですけど、これもまたつまらない…!
地球で起こっている危機が彼等には伝わっていないがゆえに、のほほんとした彼らのキャラクター描写が描かれるのみ。この宇宙船にもトラブルが起こるには起こるんですけど、未踏のルートを通ったことで小惑星群に突っ込んでしまってアララ…というね。
なんか起こっているトラブルは「ゼロ・グラヴィティ」で観たことあるし、未踏のルートつってもそんなの予見できないほどの科学技術レベルなの?っていうSF描写の杜撰もあり、ジャンル映画としてのSFの新味も面白さもなければ、宇宙船のビジュアルも内装もなんかな…ってな感じで見た目にも面白くないし、心身のリラックスのために家族や仲間との時間をホログラフ的な映像空間で癒すって…それいつの時代の感性ですか!
なんかね…いいところが一つもなかった。

クルーニーの天文台側のドラマも薄っぺらいし、あのー道産子として言いますけど、北極圏の猛吹雪の中で氷張っている海中に落ちたら5秒で体が動かなくなりますけど!
アイリスとのやり取りは微笑ましいものがあるけど、全然話が転がらなくて飽き飽きしてきちゃう。どうせアイリスは○○なんでしょ…という予想に全然接近もしない。

これまた邪推かもしれないけど、クリエイティビティ・フリーな制作環境の中で、大事なものを色々おろそかにしちゃって出来た映画って感じがしたなぁ。
今の時代に革新的なSFドラマの映画を作るってなかなか難しいけど、なんの面白みもなかったです。残念!エンドロールの絵面も、なんか…安いし。
今気づいたけど、タイトル、ラストになんの感慨もないので腑に落ちないね。

やりたいことはわかるけど…ま、シナリオがよくないんでないの。
刈り込んで90分に出来るね。
映画館で観たので小さいモニターで観るよりは良かったのかな、と思うしかない。

そうそう、「あ、あたし怪我してるっぽくね…?」っていうのはちょっと良かったね。
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