ヨーク

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティのヨークのレビュー・感想・評価

3.7
微妙な評価が並んでいる本作だが俺はそんな周囲の空気など読まずに最高だったと声を大にして言ってやるよ。最高だったぜ!『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』!! いやでも最高は言いすぎか…。やや最高だったよ。いや若干最高だったんじゃないかな。ま、ちょっとは最高だったかも…。いきなり声が小さくなってしまったがでも面白く観れたのは間違いない。まぁぶっちゃけ他人にオススメするのかと言われたらオススメはしないのだが、でも面白くありませんでした? まぁみんな面白いと思わなかったからこの評価になってんだろうけどさ。
ちなみに俺はテレビゲームのバイオはリアタイで初代をプレイしてそれから4まではほぼ発売と同時くらいにやってましたね。後に初代のリメイク版と5をプレイして、割と最近出たリメイク版の2もやった。6、7、8はその内やろうと思いながら未プレイですね。ちなみにミラジョヴォ版バイオは多分3~4まで見た。2までは間違いなく見た記憶があるのだが3と4は見たような気もするがどんなお話だったかさっぱり思い出せないんだよな。まぁそれはどうでもいいんだが、とりあえず俺はそこそこバイオには詳しいぞということが言いたかった。特に4辺りまでは結構やり込んだしそれなりに思い入れもある。
そんな俺にとっては本作は面白い映画だったんだよ。今回は新たにミラジョヴォ版とは全く別物として撮ったバイオ映画なわけだが最大の売りはやはり原作のゲームをできるだけ再現しているということだと思う。ミラジョヴォ版はもうその辺まったく配慮していなかったからね。シリーズ全部見てないのに言うのも何だがもうこれバイオじゃなくていいじゃん感は凄まじかったと思う。そこいくと本作はかなり頑張ってますよ。あらすじ紹介も兼ねて書くが本作は1と2を同一の時間軸に置いて展開するというやや無茶な脚本になっているのだが、まぁぶっちゃけ1も2もどっちも単独で映画にするのはキツイというか、お話なんて特にあってないようなもんだからな、初期のバイオは。ちょっと慣れれば2~3時間でクリアできるくらいのボリュームしかないし1に至っては日記とか書類を集めて実は製薬会社の実験ミスでゾンビ化ウイルスが流出しちゃったんだよね、メンゴメンゴ、っていうそれだけのお話だから。いや一応ウェスカーとかバリーのお話はあるけどそれも人間ドラマと言えるほど深みのあるものではあるまい。だからまぁ映画化するなら1と2を同時にやっちゃうかというのも分からなくはない。実際それは良かったんじゃないかなと思うよ。洋館にしろ警察署にしろ一時間くらいずっと同一の舞台であの妙ちくりんなパズル的な謎解きとかやられても映画的には面白くないしその辺はざっくりカットして正解だと思う。
でも何だろうなこの映画、思い切って1と2を合わせて単品にするという大手術をしてる割にはそこはゲームの再現するんだ!? っていう謎のチョイスがあったりして不思議でしたね。いや笑っちゃったけどさ、月光の仕掛けとかやる? それ映画でやって盛り上がる? っていう謎のチョイス。あとバイオといえばお馴染みの「かゆい うま」のフレーズだがそれもそこで出すのかよ!? っていう唐突さで、あのですね、原作のゲーム版では上記したように日記とかファイルを読んでいく内に徐々に如何様にしてゾンビパンデミックが起きたのかが分かるようになっていて、その過程で「かゆい うま」という人としての理性が消える瞬間が記録された日記の恐ろしさが際立つようになっているんですよ。でも本作ではかなり冒頭の部分でまだ街に何が起こってるのかサッパリ分からんっていう状況で「かゆい うま」のシーンがあるわけですよ! 全然ダメじゃん! 人間性が失われて凶暴なゾンビになるウイルスが流出したんだよっていう説明がまだないのに「かゆい うま」しても意味ないじゃんッ!! そういう根本的な設定の説明はないのに月光の仕掛けの再現とかやんのかよ! っていうね、これはもう相当なポンコツ映画ですよね。さらに言うと本作の冒頭で主人公の一角であるクレアさんがヒッチハイクしてトレーラーに乗せてもらうんだけどね、そのトレーラーの運ちゃんが食ってたクソ不味そうなハンバーガーが2のリメイク版のオープニングでちょっと話題になったクソ不味そうなハンバーガーをかなり忠実に再現してるんですよね。だからそういうのいいって!! そのどうでもいいとこ原作再現して映画の面白さにつながるか!? って思いませんか? 俺は思うよ。
あとあれだ、これは原作再現ではないが作中の結構重要なポジションにいるウィリアム・バーキン博士が着ているTシャツの胸元にアンブレラ・コーポってアルファベットで書いてあんの。博士プライベートで自社Tシャツ着てんのかよ! なんか凄いアットホームな雰囲気だなアンブレラ! って思いますよ。何なんだその緩さは。
原作再現の取捨選択がなんかおかしいよね、この映画。めちゃくちゃ気合い入れてリサ・トレヴァーのビジュアルを再現してるのに彼女がどういう存在なのかほぼ説明ないからね。どういうことだよ。上述した「かゆい うま」じゃないけど観客はもうバイオプレイ済みっていう前提で作ってるだろ。でもその不器用でちぐはぐでやりたいこと詰め込み過ぎてよく分かんないものになってるってのが正に初期のバイオハザードそのもので俺はすげぇ面白かったよ。思い出してごらんなさいよ、初代バイオなんて大蛇と戦ったり巨大蜘蛛と戦ったりサメから逃げたりするようなゲームなんですよ。ビオランテみたいな植物系クリーチャーもいたな、そういや。大岩が転がって来るデストラップとかもあったはず。そんなB級映画の欲張りセットみたいなゲームが初代バイオハザードだったんだよ。それを思い返すとだね、へっぽこでポンコツな映画になった本作は最高のバイオハザード映画だと思いませんか。俺はそう思うね。多摩川の河川敷で実写パートを撮ってた頃を思い出せと。バイオハザードのBはB級映画のBだぞ、と。そういう初心を思い出すような愛すべきポンコツ映画じゃないですか。俺はこの映画の悪口なんて言えないね。癒しの映画ですよ、これは。
だって最後にお約束のロケットランチャーも出てくるけどさ「どうしたんだそれ?」「そこに置いてあった」って、笑うでしょそんなん。確かにゲームでも何でこんなところにこんな物が…って思うけどさ、それそのまんま映画でやんなよ! 凄いよね。もうこのノリでベロニカも4も5も映画化してほしいもん。興行的には厳しかったらしいから難しいかもしれないが個人的には続編熱望ですね。まぁ最初に書いたように他人にオススメする映画ではないが…。
ちなみに個人的に好きだったシーンはウェスカーがしょうもないやられ方するシーンとウェスカーがサングラスをかけるシーンだったのでウェスカーってやっぱ美味しいキャラだなって思いました。最後に真面目にいいなぁ、と思ったシーンは序盤スターズの隊員がダイナーでリラックスしてるシーンで普通の田舎の若い警官達って感じのシーンは良かったなぁ。特別なヒーローじゃなくて普通の兄ちゃんと姉ちゃんたちって感じが良かった。
まぁバイオハザードに何を望むかで全然印象が違うだろうけど、俺はめっちゃ面白かったですね。
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