翔海

映画大好きポンポさんの翔海のレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
3.9
"銀幕で映し出した作品は監督の魂"

敏腕映画プロディーサー・ポンポさんの下でアシスタントをしているジーンは無類の映画好きであり、これまで見てきた映画の感想は暗記しているほど。ポンポさんは銀幕の申し子と呼ばれる程にカリスマ性を持ち合わせているが、プロデュースする作品はB級映画ばかりである。そんなポンポさんは幼い頃から映画を観る機会が多く映画監督の祖父を持っているからこそ、これまでに沢山の作品を観てきたのだけれど、自分が面白いと思った作品に出会ったことが無かった。そんなポンポさんはあるオーディションで見つけ出した女優志望のナタリーを一目見ただけで脚本を作りあげて、その監督にジーンを任命することに。ジーンの初監督作品の製作は急ピッチに進められてゆくが、映画の制作は撮影以外にもたくさんの困難が待ち受けている。

正直、ここまで映画の制作の裏側を知らなかった。
普段何気なく観ていた映画の制作は沢山の人々(監督、俳優、プロディーサー、映像制作者、撮影スタッフ、スポンサー等)が関わっていることがよく分かる作品になっている。映画は撮影して完成ではないということ。撮影した映像を選択して削っての途方もないほどに時間のかかる作業が待っているのである。あれもこれも入れてしまうと長くなってしまうし、観客の想像や期待を上回る作品を作ることはできないだろう。その為にも映像制作は映画の出来栄えを左右する大事な仕事である。それは監督自身が行うのであれば、監督自身のエゴを反映させることも大切だと思う。それは監督の感性を観客に伝えるのが映画とも言えるからである。けど、それを万人受けするような作品にするようであれば、そこまで観客に見透かされては映画として勿体ないと私は思う。だからこそ、映画は映画好きが作ったエゴを体現したものであって欲しいし、それを好きになるのもまた映画好きだろうね。

2時間以上の映画が嫌いなポンポさん。
映画の中には3~4時間をする映画も存在はしているのが事実ではあるが、それを良いと言う人もいればポンポさんのようにそんなに集中が続かないと言う意見もある。それを聞いたときに自分もポンポさんの意見にはうなずけたけれど、面白い作品って時間すらも忘れることが稀にある。逆に短い作品なのに長く感じたり、集中してるつもりなのに内容が入ってこなかったりする。その時の自分の状態もあるけれど、それは映画としての出来だとも私は思う。だからこそ、良いとされる映画は観客に時間すらも忘れされるほどに楽しませてくれているのだとも思う。
ここまでは長い映画を肯定しているが、私が映画を好きな理由に物語を約2時間に集約していることの素晴らしさがある。それはドラマやシリーズ物の映画があまり好きでは無い理由にも繋がる。数時間に物語を集約して人々を魅力することって人間技ではないと思うし、数時間で現実を忘れさせてくれる映画は素晴らしいものである。それを90分だろうが、4時間だろうが、良いと思うものに出会えるのであれば私は時間を投資しても良いと思うくらいに映画が好きである。このfilmarksのユーザーを見ているとそう言った類の人々の集まりだとも思わせるほどに皆さんは映画好き。
これからも映画ライフをお互いに楽しんでいきましょう🙌
翔海

翔海