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ウィール・オブ・フェイト~映画『無法松の一生』をめぐる数奇な運命~のいののレビュー・感想・評価

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「無法松の一生」(稲垣浩監督/阪東妻三郎主演)の上映前に今作を鑑賞。そのデジタル修復を、宮川一夫氏の助手を長く務めた宮島正弘氏が担う。「無法松の一生」のこともなんも知らずに映画館に来ちゃったけど、その鑑賞前に、こんな素晴らしいドキュメンタリー上映していただいて、ちょうラッキー。めっちゃ勉強になった。宮川一夫は、稲垣浩監督のことを「最初の女房」と言っていたらしい。重ね撮りの労苦。『バビロン』でのブラピのように、阪東妻三郎は、サイレントからトーキーに変わるなかで大変な思い味わうことになったそうだ。


その後何回かリメイクされることになる最初の「無法松の一生」は、戦時中に制作され内務省による検閲でカット、戦後はGHQによる検閲でカット。今作のタイトルにあるように数奇な運命をたどったそうです。でも、ある関係者の証言によると、カットしたことでむしろ作品の完成度と深みは増したのではないかと。戦時中、国に寄った映画が制作されるなかで、今作を作り抜いた稲垣監督の気骨ある作品作りに感服しました。ちなみに、戦後再び稲垣監督自身の手で「無法松の一生」(三船敏郎主演)が制作されたそうですが、そこでは撮影を担わなかった宮川一郎は一生その映画を観なかったそうです。


・・・というわけで、「無法松の一生」(阪東妻三郎主演)への期待高まりまくりましたぁ!
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