YYamada

ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期のYYamadaのレビュー・感想・評価

4.0
どちらが傑作?
【アナザー・バージョンの作品たち】

◆比較作品
・1990年『ゴッドファーザー Part III』(162分)
・2020年『ゴッドファーザー 最終章
 マイケル・コルレオーネの最期』
(158分)

◆オリジナルとの相違点
・タイトルから「Part Ⅲ」が外れ「最終章」に
・オープニングが、マイケルとバチカン大司教のビジネスシーンに変更
・細かいトリミングにより、作中のテンポが増している
・終盤の回想シーンの大幅カット
・マイケルのラストショットの変更

〈見処〉
①製作背景
・唯一のアカデミー作品賞連続受賞作『ゴッドファーザー』『 ゴッドファーザー Part Ⅱ』の高い評価ハードルをよそに、経済的困窮のため、長く固辞をしていた3作目を製作することになったフランシス・コッポラ。
・スタジオ主導にて製作開始したものの、スタジオ入りしていたメアリー・コルレオーネ役のウィノナ・ライダーが体調不良により降板。コッポラのファーストチョイスだったジュリア・ロバーツもスケジュールが合わず、公開日延期NGのなか、後任キャストが決まらず、結局は、リハーサルにメアリー役で本読みに参加していた、娘のソフィア・コッポラ(当時19歳)を採用することになる。
・出来上がった作品は十分に佳作と評価出来る内容であったが、前2作の水準には至らず、その鉾先はソフィア・コッポラに対する辛辣な批判に注がれ、ゴールデンラズベリー最低助演女優賞、最低新人賞をダブル受賞してしまう結果となった。
・その後、監督として大成したソフィア・コッポラであるが、コッポラファミリーが辛酸をなめた本作を再編集したいとのフランシス・コッポラの要望をパラマウントが受け入れ、公開から30周年を迎える2020年に再公開されることになった。

②結び…本作の見処は?
1990年公開版からストーリーラインに変更はなく、ゴッドファーザー・シリーズに思い入れが強くない方には、鑑賞必須作品とはいえない。

◎: 再編集により、マイケルの会合からスタートする本作はPartⅠと同じ構成。また、作品のテンポが上がる編集にて、物語に対する集中力が増している。
○: ソフィア・コッポラ救済のための再編集と揶揄されたとおり、アンディ・ガルシアとのロマンス・シーンなど、演技面の粗が目立たない。
▲: 遠映のショットにセリフを変えた幾つかのシーンに違和感あり。
×: 好みの問題だろうが、終盤のアポロニアとケイに対する回想シーンがカット。公開版で最も好きなシーンだっただけに残念。

〈比較評価〉
偏差にて、再編集版が優れる
1990年公開版から回想シーンが大きくカットされたのが至極残念であるが、そもそもゴッドファーザー・シリーズに回想は不要では?のかんてんから、鑑賞しやすくなった再編集版のほうが優れていると評価する。
YYamada

YYamada