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浅草キッドのYYamadaのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.0
【Netflixオリジナル作品選】
浅草キッド (2021)

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・昭和40年代の浅草。大学を中退し「お笑いの殿堂」フランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、深見のコントにほれ込んで弟子入りを志願。ぶっきらぼうだが独自の世界を持つ深見から「芸ごと」の真髄を叩き込まれていく。
・歌手を目指す踊り子・千春や深見の妻・麻里に見守られ成長していくタケシだったが、テレビの普及とともにフランス座の経営は悪化。やがてタケシはフランス座の元先輩キヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。深見の猛反対を押し切ってフランス座を飛び出し、人気を獲得していくが…。

〈見処〉
①「幻の浅草芸人」と「最後の弟子」。
 芸人は笑わせるんだ、バカヤロー
・『浅草キッド』は、1988年1月に出版された、ビートたけしの自伝小説を原作として、2021年12月9日から配信された青春映画。
・企画・製作・世界配信はNetflix。監督・脚本は劇団ひとり。
・本作は、東八郎、萩本欽一、ツービートなど多くの人気芸人を育てながら、自身はテレビに出演しなかった「幻の浅草芸人」深見千三郎とや仲間たちとの日々と、芸人・ビートたけしが誕生するまでの日々をを描いていく。
・主演は、師匠の深見を演じる大泉洋と、青年~現在までのビートたけしを熱演した柳楽優弥。人気漫才師ナイツの土屋伸之がビートきよしに扮し、柳楽と「ツービート」の高速漫才を披露している。
・劇中主題歌は、2019年大晦日の「第70回NHK紅白歌合戦」や、2021年9月放送の「水曜日のダウンタウン」にて話題となった、ビートたけし歌唱の「浅草キッド」。エンディングは、桑田佳祐の「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」。

②映画愛にも溢れる「芸人映画」。
本作の骨子は、深見とタケシの師弟愛であるが、有名映画を思わせる名シーンの数々は、監督の劇団ひとりによる、芸人魂だけではない映画愛も感じずにはいられない。
・冒頭や終盤のシーンにて、舞台に上がる、ビートたけしを背後からスローに撮す描写は『ボヘミアン・ラプソディー』。
・ノスタルジー場面に誘う際に登場する「青いインコ」は『フォレストガンプ』のクローバーのような効果的な演出。
・本作ラストシーン。現在のたけしが浅草フランス座の館内を散策するシーンは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の長回し撮影手法して『タイタニック』のエンディングのような感動的な場面に仕上がっている。
・深見とタケシの関係性は、『ニュー・シネマ・パラダイス』の青年トトとアルフレードに通じるものがある。

③結び…本作の見処は?
◎: 有名映画のオマージュと思われるシーンの連続。芸人に興味がなくとも、映画ファンに愛されるような作品。
◎: 深見とタケシの関係性は、師弟関係だけではなく、まさに「似た者同士」のシンパシーを感じる信頼関係溢れる描写。何度も見たくなる心地好い関係。
○: 松村邦洋の指導を受けた、柳楽優弥によるビートたけしのなりきり感は素晴らしい。特殊メイキャップを覆した現代の風貌は、本人としか思えない。
○: CGにより復元された昭和40年代の浅草6区と浅草フランス座。現在の浅草の街との対比が面白い。
▲: 深見とタケシの逸話はタップが中心。「いろもの芸人」としての泥臭さが薄い。オマージュが目立つ演出も賛否分かれるところ?

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本日(12/13)、漫才鑑賞のついでに浅草6区の本作ロケ地界隈を見てきました。
・本作でもロケ撮影され、ビートたけしの曲にも登場する居酒屋「捕鯨船」はいまも営業。
・浅草の商店街や東洋館(元: 浅草フランス座)の界隈は、Netflixによる本作の横断幕、のぼり、ポスターに溢れ、街中が「浅草キッド」のプロモーションジャック。とくに横断幕は、作中のセリフがたくさん掲げられ、まさに壮観。こんな大々的なプロモーションはなかなかお見受けしない。
・作品の舞台となった浅草フランス座は、ストリップ劇場から「東洋館」演芸場に姿を変え、現在に営業中。本日は話題の「おぼんこぼん」出演にて大繁盛。2,500円で漫才協会の芸人さんをたらふく鑑賞出来、オススメです。

いま「浅草が熱い」!お近くの方は、ぜひ足を延ばしてください。
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