B5版

TOVE/トーベのB5版のレビュー・感想・評価

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)
3.1
信じながらも依存せず、人を愛する難しさ。

LGBT映画といえばそういう訳でもなく、ムーミン好きのための映画でもなく、芸術への葛藤というアート作品というわけでもない、勿論ほっこり北欧ライフでも無い。
いろんなカテゴライズにハマりそうで外れた映画、人生を思い悩む一人の人間の映画でしたね。

ムーミンの世界観が好きな者としては芸術の下層に置かれ、当時不本意な媒体として生み出されたことは確かに複雑でありますが、そもそもムーミン自体が弟を侮辱するために書いた醜いいきものが原型だったりするらしいしね。
というか、力まない創作姿勢が傑作を生むなんて良くある話。

孤独を恐れるみんなに優しいムーミン、束縛を嫌い自由を愛するスナフキン、達観してるようなただの我儘なようなお茶目なミィ。そして二人だけの言語で通じあうトフスランとビフスラン。
ムーミン谷の住人の付かず離れずの優しさや厳しさの原点をみせる映画として、感慨深い気持ちになった。
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