クラフトマンパンダ

モーリタニアン 黒塗りの記録のクラフトマンパンダのレビュー・感想・評価

3.2
2001年に起こったアメリカ同時多発テロ事件でテロリスト関係者と少しでも接触のあった外国人を令状抜きで不法に連行・収監、自白を取る為の拷問がCIAとFBIによって行なわれていた実話でモハメドゥ・ウルド・スラヒさんの手記 『グアンタナモ収容所 地獄からの手記 』を元に映画化した作品。

無実の罪でおよそ14年以上も拘束、収監されていたスラヒさんの苦しみや憤りは想像を絶するし、他人には計り知れないと思うのだが
スラヒさんは自分に拷問を行った人たちとハグは出来ないが握手は出来るし、恨んでもいないと語っていると記事で読んだ。
その間に最愛の母親を亡くし 死に目にも立ち会えなかったのにだ。

勿論 スラヒさんには自身の思いがあってのことだろうがその寛容さは自分には理解できないし、映画のエンドロールでご本人がやっと釈放され祖国に戻られてからの映像が流れたのだが その表情は穏やかな笑顔で本当に芯の強い人なのがわかるし、そんな人だからこそ気が遠くなるような長い時間 自分を保ち得たんだと感じた。


映画の本編自体は淡々と進み、特別 拷問を受けるところなどを過度に描写したりもしていないし、これがもしフィクションのストーリーであれば 曲で例えるならばサビの部分というか盛り上がりもなかったがそのおかげで必要以上に嫌な気分にならずに済んだ。

最後にスラヒさんを救おうと奔走する弁護士を演じていたジョディフォスターはこの作品の撮影当時 多分58~9歳だと思うが日本の同世代の女優には決して感じない重厚に年齢を重ねた貫禄、稚拙な表現をすればビジュアルは老けて感じるが日本は多分 世界のどの国よりも主にビジュアルのアンチエイジングを美徳とする国なんだよなーと思う。

あくまで私見ですが 笑