むぅ

漁港の肉子ちゃんのむぅのレビュー・感想・評価

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)
3.6
思考回路シンプル案件

魚肉ソーセージ購入 発
氷結無糖4%500缶 経由
『漁港の肉子ちゃん』 着

わかってる。
魚は漁だし、肉しかヒットしてないことくらい。最近『ハケンアニメ!』を観て、何かアニメを観たいと思っていた。



"似てない"とされる母娘の物語。
食いしん坊で情に脆く惚れっぽい母と、しっかり者で運動神経抜群で他人からどう見られるか気になってしまう娘。
2人が住む漁港のグラスボートでの物語。



"自分史上最高天然"
その称号をずっと我が母に授与し続けている。
「あっち」
西郷さん、いないねぇ。上野で幼馴染家族と待ち合わせした時、西郷隆盛像まで母を連れて行ったのは幼稚園の私。
「ここ、押してごらん」
レコード、壊れてるかもねぇ。祖父の家にあったレコードをかけようとして使い方が分からない母に、祖父が押してたボタンを教えたのは3歳の私。

娘のキクコの気持ちがわかる。
"天然"よりは確実に"養殖"タイプの私は母の天真爛漫さが煩わしい時期が確実にあったし、「なんでも鑑定団」でキャッキャと爆笑する彼女が謎でしかなかった。
でも小4の頃お風呂で1人でひっそり泣く姿を見てから、あの明るさがそれだけではない事を知った。

何があっても笑顔でいられる人は凄い、でも、誰かの前でちゃんと涙を流せる人も凄い。
そしてまっすぐな愛情を人に注ぐこと、他人を責めないことは誰もが出来る事ではないと思う。
母の肉子ちゃんの芯の強さと、それを全く意識していないおおらかさが魅力的。
娘のキクコの感情豊かなのに感情的にならないように努めるところが魅力的。
そしてお互いがお互いを思いやる姿に温かいものが溢れる。

多少の物足りなさと物足りすぎる感のある描写はあるものの、大竹しのぶの見事な肉子ちゃんがかっさらっていく。
ラスト、肉子ちゃんの中から大竹しのぶが現れる台詞にちょっと笑ってしまった。


それにしても魚肉ソーセージ。
こんなに開けやすくなったのか。
スーパーで目があって、今作を思い出しただけの理由で連れ帰ったものの嬉しい発見だった。
自分の稚拙さや古い価値観を脱ぎ捨てるのに日々四苦八苦している私は、このフィルムくらいスルッと剥がれてくれたら楽なのにと、これまたものぐさな事を思った。
むぅ

むぅ