白瀬青

スーパーノヴァの白瀬青のレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
4.7
作家の男とピアニストの男、長年連れ添ったカップルが、パートナーの若年性痴呆症の進行を前に、人生最後の旅に出る。
ひとつひとつのしぐさやせりふが良く、介護を美化しすぎないバランスを取りつつも詩情に満ちていて、イギリスらしいウィットでくすりと笑わせる。予告を見ていいなと思うところがあれば静かに落ち着いて観てほしい映画。
ただ、ポスターや予告にある「世界で一番美しい、愛が終わる」という大袈裟な物語ではなく、誰もが覚悟せねばならない愛と人生の仕舞いの話だ。
誰にでも、愛する人の人格や記憶が病で失われていくことはひとつの星が尽きるのに等しい。世界には星の重さじゃなくても。

20年生活を共にしたカップルの話だよとオファーされたスタンリー・トゥッチは、20年来の親友のコリン・ファースに脚本を手渡したという。
そんなふたりだからか、若いカップルのようなべたついた甘さもなくなった老夫婦から信頼と愛しさがにじみ出る名演技だった。
白瀬青

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