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三姉妹のTAMUのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.0
大阪アジアン2本目。
日々の生活の歯車がうまく回らない三姉妹、元を正せばあの頃の家庭環境に繋がっていく。三姉妹の思い通りにならない生活に始まり、それぞれの思いを抱え実家に向かう。そして終盤に描かれる想いの爆発は圧巻、かつ深い。

主演の三姉妹、次女ミヨン役は言わずと知れた演技の女王ムン・ソリ。他者から見ると幸せな家庭、を演じるが、日に日に家庭内の問題は膨らみストレスに晒される。
表情が、目が、声のトーンが、セリフ以上に語る。

長女ヒスク役はキム・スニョン。みんな大好き『愛の不時着』のお喋りおばさん、キム・スニョン先輩。実は本作の監督イ・スンウォンさんはキム・スニョン先輩の旦那さん。
だからというか、流石というか、最早演技してることを忘れるほど自然な佇まい。
伏し目がち、気弱、といったこれまで見た明るさを全面に出した役とは真逆でありながら、演技ひとつひとつに引き込まれる。

三女ミオク役はチャン・ユンジュ。『ベテラン』のミス・ボン。元々世界的なモデルなのだが、本作では飲んだくれ、かつほぼスッピンかつポッチャリかつ金髪の食えない作家💦
無神経、食べ方が汚いなど、取り柄の少ない役を熱演。子供に手を出すことに強烈に敏感。

織り交ぜられる子供の頃のエピソード。父子長制の呪い。斬新に感じたのは次女ミヨンは父と同じく敬虔なキリスト教徒。このキリスト教というのは父子長制の強化や家庭内の暴力を正当化する側面があること。
これを見た多くの父親に暴力を振るわれた経験のある人は、自身の過去と現在ではを振り返ること間違いなし。

そうだ。ひと目で分かるイ・ブンリョン先輩が居酒屋のオカミ役でちょい出てる♪
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