ryosuke

月蒼くしてのryosukeのレビュー・感想・評価

月蒼くして(1953年製作の映画)
3.7
確かにヘイズコードの時代とは思えない性に関するあけすけな会話が繰り広げられる作品。
冒頭の展望台のシーンから同じような背景、フレーミングで会話シーンを捉え続けているので、やはりプレミンジャーはあまり映像にこだわり無いのかなあと思ってしまった。その後も同じ室内での同じような画が続く。だが、絶え間無く続く小気味好い会話劇が楽しいので割と好意的に見られた。ただ映像だけでなく会話もずっと同じ調子で緩急が無いので、ちょっと100分にしては長くは感じる。
マギー・マクナマラ演じるヒロインの妙にピュアで開けっぴろげな人物造形が魅力的。シンシアの父親を演じるデヴィッド・ニーヴンもシニカルな遊び人として良い味を出していた。
エンパイアステートビルが世界で最も高いビルであったり、カラーテレビはまだ先でしょみたいな台詞があったりと、当時の風俗が垣間見れるのも興味深い。
ヒロインが壁から外されたピカソの絵を見て、主人公がヒロインの言葉を気にしていることに気付き微笑む描写など気が利いている。
600ドルを叩き返した彼女が快く1.2ドルを受け取ることがハッピーエンドの合図となる。
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