Jaya

デカローグ デジタル・リマスター版のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

1話完結10話構成で、一つの団地を舞台に繰り広げられる人間模様。ほぼ全てに登場するブロンドの男は傍観者的存在なんでしょうが、存在感なかったです。

#1 パヴェウの上手さとハマり方が尋常でなかったです。パヴェウの無邪気さの演出も素晴らしい。PCを含めた知能と神を対比させるまでは良いとして、パヴェウがまるで天罰で死んだかのような描写で、全く納得できず…。

#2 素直にとれば、生命の行方を人が判断するという意味で、中絶への批難が籠っているよう。ただそれ以前にドロタに感情移入する余地が皆無でした。医師の演技と演出は素晴らしかったですが、過去の告白の様子は今一つ…。

#3 テールランプが印象的。電話のくだりがよく分からず…。エヴァはどえらい迷惑な女だと感じましたが、終盤の流れで多少解消されました。盗まれたことにするのは無理があるような。奥さん、分かってたのに通報したの?

#4 陰影が強めで美しい。アンカの演劇の振りは効いてましたが、そうするとアンカはどこまで本心だったのか分からなくなる。更に手紙が本物だったという疑いは崩れない。どうしたってミハウだけが割りを食って可哀想でした。

#5 登場人物の陰鬱な世界観の表現か黄色い色調にレンズを遮って影を作り撮影していましたが、かなり見辛くてストレス溜まりました。ヤツェックの鬱屈した演技は見事でした。ただ全体的に描き切れてないものが多い印象。

#6 これ全部トメクのうら若き妄想なんじゃ?なんて思う内容。冒頭からもうそうはならないでしょ…。孤独と偏屈な愛という意味ではかなり見事に表現されていました。三様の孤独がラストまでキマってて、役もハマってました。

#7 このアンカの演技も凄い。ヴォイテクが橋の上で急ブレーキしたの何で?アンカが頑なにママと呼ばないのも不自然に感じたり。母娘の確執やら愛憎の描き方としては素晴らしいですが納得できない決着でした。

#8 講義から追い出すシーン、悪趣味だし#2の出し方も傲慢。ゾフィアとエルジュビエタ、二人の感情の出し方が全く腑に落ちませんでした。また、ラストの仕立て屋に何かを仮託しているのならえらく無責任な話なのでは?

#9 あの高さから自殺は無理では…。声楽の娘は余りに直喩的。ハンカの火遊びの長さや中身によって印象が変わるのでそこは描いて欲しかったです。どうせなら電話を取る取らないで終わった方が好みだったかなあ。

#10 かなり無理してる感のあるコメディ。名演のおかげでドリフのバカ兄弟のような佇まいに笑えました。特にイェジー。犬もいい味出してました。最後の方は駆け足で、一気に風呂敷を畳んでいたような印象。歌はダサかったです。

全編で配役が素晴らしく、演技もキレキレでした。リアリティを出すためのちょっとした細かい演出も凄い。カメラワークも面白いものが多かったです。

根本的な構造がほぼ同じで飽きがくるところもありました。登場人物を絞ったりしていても、さすがに1時間じゃキツいよな、と思うところも。

ドラマ形式に色々と疑問を持ってしまいましたが、それでも十分楽しめる作品でした。ただ、「ある〜に関する」という邦題は無くて良かったです。
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