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Coming Home in the Dark(原題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

Coming Home in the Dark(原題)(2021年製作の映画)
3.6
楽しいハイキングが恐怖のドライブに…😱

ハイキング中の4人家族が突然現れた残忍な2人のオッサンに拉致されてしまうニュージーランド産スリラー。容赦なく銃をぶっ放すイカレたオッサンたちから逃げられるか…という定番展開と思わせつつ、NZの暗部に切り込むかのように彼らの過去の地獄が炙り出され、善悪が混濁していく社会派な力作!!

車内で音楽談義を繰り広げるキッズたち、ウッカリスピード違反して警察に止められションボリするパパ、仕方なく運転することになるママ。そんで運転出来なくなったパバが助手席で呑気にゲームしようとするもんだからママにゲーム機を取り上げられるという微笑ましい家族。そこに急に現れ『ファニーゲーム』のごとく支配関係を速攻で逆転させる冒頭の胸糞感…😱

ネタバレNG系な映画なのであんまり書けないのだけど、ニュージーランドの先住民と白人の配置が絶妙で、家族の夫は白人、妻はマオリ、犯人サイドも白人とマオリで構成されており、それがニュージーランドの暗部と呼応する。立ち位置的に同じ側であっても決して払拭できない溝を炙り出すかのような合流・離散展開と『ナイチンゲール』のような希望以上に虚しさを突きつけるラストの余韻が良い!

トーンコントロールが非常に巧みで、要所要所で「脱出なるか?」なテコ入れ展開を挿入する定石的なスリルの緩急をソツ無くこなしつつ、音とカットワークによって急速にその場の空気感を変容させることでダレそうなシーンにおいても消化試合感がほとんどない。

特に音が良くて、規則正しい音の連続に画面内の楽しさと反した違和感を盛り上げたり、ドアの向こうに日常音を封印することで主観空間化させたりと、かなり気を遣っているのがわかる。等間隔で同音が継続するってだけで十分に「異常」は作り出せるっていう発想がすごく好き。

コレが監督の長編デビュー作のようなのだけど、次がビッグフットホラー?らしい。この作風でビッグフットとか楽しみすぎる!🤣しかもレジェンダリーエンターテインメント。相当ビッグな予算でやるのかな?😂
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