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四谷怪談
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目次

『四谷怪談』に投稿された感想・評価

3.9
負けやしねぇ!
首が飛んでも動いてみせる!

8月は心霊⑥

お盆はやっぱり四谷怪談で!日本の怪談の中でも、四谷怪談は怪猫まではいかないながらも相当な作品数を誇る一大ジャンル。ただ戦前のものはほぼ現存してないという悲惨な状況が何より悲しい…😭

有名な中川信夫監督『東海道四谷怪談』とは展開がかなり異なり、一度くっついたお岩さんと伊右衛門は訳ありで別々に暮らしてるところから映画が始まる。ここはむしろ鶴屋南北のものを下敷きにしているからで、中川監督版が大きく改変を加えてるからなんだけど、メフィストフェレスな役割を果たす直弼によって悪に引き摺り込まれていく中川版よりも伊右衛門自身の悪党っぷりが浮き彫りになる結果になっていて面白かった。

木下恵介版も中川信夫版も伊右衛門を非常に人間臭く描いていて、単なる悪党ではなく伊右衛門の善の部分を強く感じさせ、その狭間で思い悩み続ける姿にドラマが生まれてたんだけど、本作は浪人となり落ちぶれた伊右衛門が士官しようともがき続ける愚直な姿を描いており、墜ちた者がなり振り構わずのし上がろうとする裏側で犠牲となる人々の恨みが伊右衛門自身の罪悪感の表出として彼に試練を課すような描き方をしている。

罪悪感の表出としての幽霊が彼の中で自問自答の契機となり、自分の中で膨れ上がった悪の感情を恐れ、呑み込まれ、ついには破滅する先の作品の伊右衛門像とは異なり、纏わり付き足を引っ張ろうとする自身の中の罪悪感を問答無用で切り捨てることで心的平静を保ち、強引に前に突き進もうとしているように映る。まさに出世の鬼!彼の行動は芽生える罪の自覚(迷い)を心の中に押し込めようとする戦い。そうでもしなければ、墜ちた者が再浮上など出来るはずもなく、社会システムの無慈悲さをより際立たせる結果となっている。この伊右衛門像の違いが本作の見どころのひとつだと思う。

ただ、直弼側のエピソードにもかなりの時間を割くことで野暮ったくなってしまっているのは残念。それでも伊右衛門にとってのお岩さん、直弼にとっての与茂七がそれぞれ怪談的な幽霊としての性質を備えつつも、出世の鬼としての伊右衛門とお袖への純粋な愛情のみで行動する直弼サイドの結末を対比的に描くことで、それぞれに迎える破滅の意味合いが変わってくるのは面白かった。

そしてもうひとつの大きな魅力はビジュアル面。カラーであることを活かしたセット撮影での怪談的外連味が最高!リアリティとの狭間をつくような無数の傘の回転の美しさ、その美しさの中に潜む退廃的美学。『雨月物語』を思わせるような上品な幻想味もあり、そうかと思えば新東宝のような雰囲気も兼ね備えたクライマックスがとても良かった。そして刀の象徴性に全てを託したラストシーンは四谷怪談らしい滅びの美と執念に取り憑かれた伊右衛門の凄みを堪能できる素晴らしい終幕。かなり好きなやつだった!

これでお盆期間で三大怪談いけたので、明日は怪談としてもう一本上げるならコレっていうので締めようと思います👍
うらめしや~。👻🐀🐀🐀🐀🐀🐀

俺の可愛い"お岩さん"になんてことしやがんだこの下衆野郎!
おのれ~、伊右衛門め~。
ギッタギタのメッタメタのギッチギチのボッコボコのグッチャグチャにしてやるかんな~。覚悟せぇや~。

でも、お岩さん自身で恨みをはらすことが出来るみたいなので、自分の出る幕なし!

おわり・・・。

お岩さんは、とっても美人で優しくて素敵な女性。
運命というのは、時に残酷で、世間でお岩さんと言えば、うらめしや~のお岩さんで有名。誰も、彼女の本当の姿を知らない。
醜くおぞましく変貌したお岩さんは、お岩さんであって別のもの。
もしも、あの時、あの毒薬を飲まなければ、もしも伊右衛門と出会わなかったら、今頃、お岩さんは"絶世の美女"として美しい女性の象徴として輝いてたかもしれないと思うと涙が出てくる。

お岩さんが、幸せに光輝く世界が、一つはあってもいいいんじゃなかろうか?

とはいえ、お岩さんがおぞましい姿に変貌したシーンはゾクゾクする。
伊右衛門がお岩さんの顔を見て驚くが、その後、なかなか顔を見せてくれない演出がされており恐怖感が増す。近くに鏡がチラチラ見えるので、まだか?まだか?と少しワクワクしていた。
次第に、ヒュードロドロ、べべべんと不気味な音楽が鳴り響き、鏡ごしにお岩さんの変貌した姿が映される。顔半分がくずれており、髪がズリズリと抜け落ち、血がポタポタとしたたり落ちてくる。
以前観た"東海道四谷怪談"もお岩さんのシーンはゾクゾクしたけど、こちらもそれに劣らず寒気がした。

ただ、怖いのはそこだけで、他はあんまり恐怖を感じなかった。
すごく、丁寧に作られた作品なので、四谷怪談がどういう話なのかを知らない人にはピッタリの作品。

伊右衛門は、ホントにホントに下種野郎なので、今から懲らしめに行くので待ってろよ!👻🐀🐀🐀🐀🐀🐀

恐怖レベル👻👻
映画としての四谷怪談は、今回初鑑賞。大体の物語は知ってた通りだが、脇の直助と梅の物語は知らなかった。 作品ごとに細かい設定などはちがうらしい。

それにしても伊右衛門の出世欲の凄まじさ。いまわのきわの言葉も出世とは‥お岩さんよりもこいつの方が恐い!

洋物や、最近のホラーとは違い、直接恨みのある人に襲いかかる事等無いが、精神的に追い詰めて、ダメージを与える方が効きそうだ。

別の四谷怪談も録画していた筈なので、今度観てみよう。

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