回想シーンでご飯3杯いける

エンドロールのつづきの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
3.7
インド映画と言っても「RRR」みたいなお祭り映画ばかりではないという事を何度も書いてきたけど、この「エンドロールのつづき」もフランスとの合作で、ヨーロッパの映画に近い落ち着いたテイストを感じる。監督のパン・ナリンは「怒れる女神たち」でもドイツと共同で映画を撮っている。

この「エンドロールのつづき」は、彼の少年時代の経験をベースに作られたそうで、厳しい父親の目を盗んで映画を観に行った話や、映画館の映写技師に差し入れを持っていく代わりに、映写室からタダで映画を見せてもらう話などが、インドの田舎町を舞台に繰り広げられる。

主人公のマサイは少し変わっていて、映画のストーリーやアクションだけではなく、映写機の仕組みや、光による演出に強い興味を示す。その視点がそのまま本作のテイストに反映されているのが面白い。また、インドの文化のみならず、英語を学ぶ事の大切さも語られており、この辺りも海外との共同制作というスタイルに辿り着いた監督のメッセージが込められているのだろう。

日本で認知されている派手なインド映画とは一線を画す作風は、有名な所で「マダム・イン・ニューヨーク」や「めぐり逢わせのお弁当」にも通じる。2時間を切る上映時間も心地よく、この手の作品がもっと知られるようになって欲しいと思う。