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マーベラスのbackpackerのレビュー・感想・評価

マーベラス(2021年製作の映画)
3.0
〜銃声を"聴く"映画〜

『007カジノ・ロワイヤル』で知られるアクション映画職人マーティン・キャンベル監督による、復讐アクション映画。
『グリーン・ランタン』の失敗で、一時期は完全に名前を見かけませんでしたが、ジャッキー・チェンとピアース・ブロスナンの出演した『ザ・フォーリナー/復讐者』で復讐アクションジャンルに舞い戻った彼の新作は、相変わらずの感じで安心しました。いやー、この安定感よ。

舞台の多くはベトナムという設定ですが、実際の撮影はルーマニアで行われたようです(ベトナム現地でもロケしてます)。ベトナムっぽいな?と思える空間を作り出す美術さんの腕前、素晴らしいですね。
特筆すべきは、ルーマニアの独裁者チャウシェスクが処刑される年まで暮らした邸宅での撮影。
豪華な白亜の屋敷には、窓明かりの眩いプールが。ここで優雅な日々を過ごした独裁者も、最後には……なんて思ったり。

本作で印象的だったのは、乾いた発砲音の残響感。アクションシーンはいくつもありましたが、この音が何より良かったですね。
……まぁ、他に印象的な所が思いつかないってのが、正直なところではありますが。

「倒すべき敵は何者か?」「何故こんなことになったのか?」等がボヤけたままクライマックスに突入し、真相が判明しても盛り上がりに欠けてしまう設定が、ボンヤリした印象を与える致命的原因な気がします。
極め付けは、中盤のとある出来事。これまで物語を動かしていた最重要時効である、「アナが復讐をする動機」そのものが無くなってしまういます。別の理由を付けてリカバリーしてるけど、行動原理としては弱く、以降の山場丸ごと「これやる必要あるん?」と思わざるを得ず……。勿論、真相究明パートを入れる必要があったからでしょうが、別に「驚愕の事実!!」とかでもありませんし、何見せられてるんだろ状態。
もう少し脚本が良かったら、もっと面白くなったでしょうに……。
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