ろ

戦場のピアニストのろのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
3.8

「ハリーナ、こんなときに妙だけど、
もっと話をしたかった」

ゲットーから離れる貨物列車に乗り込む直前。
主人公が妹にかける言葉。

もうね、この一言に尽きると思う。
本当に感動した。

どんな言葉を駆使しても言い表せないほどに
切ないし、やるせないし、悔しい。
家族と、大切な人と離れたくない。
そんな想いが溢れた一言。

妹は笑顔と悲しみで顔が歪んだ。泣き笑いの笑みだった。
観ているこちらも、やっぱり悲しくなって、
こみ上げてくる切なさで胸がいっぱいになった。


ナチスものの戦争映画はこれまで6本観たけれど、
それぞれ切り口が異なって
観るたびにいろいろ考えさせられる。
今回はゲットーから抜け出し
逃亡生活を送る男性の物語。

彼は収容所の生活を経験していない。
でも逃亡生活も過酷だった。
いつ見つかるか分からない恐怖。
調達困難な食糧。
日に日に弱っていく体。

そんな中でも彼の中には音楽がある。

「できるだけ音を立てないように」
と案内された部屋にはピアノがあった。
鍵盤に触れないように
心の中でそっとメロディーを奏でる。

ラスト、
ガリガリに やせ細った体で
何年振りかピアノを弾く主人公の姿は本当にたくましかった。




ポランスキー監督作、初鑑賞でした。
先日録画した「チャイナタウン」を また観てみよう。
ろ