B5版

LAMB/ラムのB5版のネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

まだ名前のついてないジャンルじゃないの映画。
予告からして独特の世界観で構築されている。一元様お断りの崇高映画かと思いきや、意外と不穏とほのぼのが共生した世界観にも慣れてくる。
かと思いきやラストは吃驚、
そういう存在…?何…?と疑問符を出しながらも絵の強さ故、妙な納得感もある。

めちゃくちゃ行間がでかい話。
込められたメッセージも難しい。
人の怒りも祈りも知らんふりに、自然は気まぐれに奇跡をよこし、奪う。
父親が自然における理不尽の象徴なら
アダちゃんは母親の奇跡を媒介にして生まれた自然の祝福なのだろう。

しかし、アダちゃんを死んだ娘の2号として身代わりとして愛でる主人公たち人間もまた気まぐれで勝手な存在だ。
作中夫婦が飼っている動物に名前を一切名付けないことから、獣とアダちゃんの区分けは明確であるが、この夫婦の心情はとかくはかり難い。

自然から貸し借りしながら生きる人間の幸福と悲劇について。
降って沸いた出来事にこれ幸いと乗っかかり家族を装い生きるのは狂いの気を感じる。
しかし叔父も含めた「家族生活」の絵は、超自然的でそのくせ凡庸に見える不思議。
何気なく過ごす日常の中では確かに温かな幸福を帯びている景色にも見えた。

総合して、ヨルゴス・ランティモス監督やアドモルバル監督作品の
「あれっ観客たち、もしかして監督の趣味に付き合わされてる…?」感はある。
嫌いじゃないけどね。

関係ないが、動物が出る(犬猫)映画はあらかじめDOES THE DOG DIE?を観ようと決心した。
犬が死ぬと問答無用に悲しいから。
B5版

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