心中目的で樹海に入り込んだ10代のレズビアン・カップルが、快楽至上主義者の女王に支配されたパラレル・ワールドに侵入してしまう。いわゆる「不思議の国のレズビアン」を題材に取っている、新東宝配給のピンク映画。

女王と憲兵によって統率されている、女だらけの国に迷い込んだ主人公たちが、民衆による反権力闘争に巻き込まれてしまう。すぐ後ろに一般公道が見えているのに、なぜか元の世界に戻ることができないというハチャメチャ設定が面白い。

20名にも及ぶ女優陣の出演が壮観だが、女王役の秋本ちえみが鑑賞者の全神経を独り占めしてしまう。大きな張型を股間に装着したキチガイ女（両性具有の設定）を嬉々として演じており、リミッターを外した奇人変人ぶりを披露してくれる。

根拠があるわけではないが、"ジョン・ウォーターズ作品"へのリスペクトが薄々と感じられる逸品。日活ロマンポルノ衰退の裏側で、ピンクが如何にして延命することができたのか、その一片を識ることもできる。

レズビアンだけの国に迷い混んだ二人のレズカップルが不思議な体験をしていく様を描いたピンク映画版『不思議の国のアリス』。登場人物が女性だけでナレーションも女性、男性は冒頭のモブのみの登場という徹底ぶりでメルヘンチックな雰囲気を醸し出すことに成功している。

この映画の醍醐味のひとつとして多数の女性(ビデオの解説文では22人)が登場して一人を除いてみんな脱ぐことで、特に中盤彼女たちが女王の命令により自慰行為を繰り広げるシーンは画面にひしめく裸の女性のうごめく姿に圧倒される。ただ大半の人は素人のためかこのシーン以外は特に目立たず、後半の重要なシーンでもその他大勢扱いに終わっているのが残念。一説によれば当時人気急上昇だったAVに対抗するためピンク映画が作った実験作らしいが、「多数の女性が画面狭しとイヤらしい行為を繰り広げる面白さ」は皮肉なことにAVの多数の女性たちが出演する企画ものに受け継がれる。

それでもまだ隆盛期であったピンク映画界の熱気と勢いが感じられ、細山監督の勢い重視な作りも相まってチープな世界観(女だけの国という設定なのに平然と電車が走っていたり国の上の橋で車が走っていたりするいい加減さ)や役者の拙い演技もどこか愛らしい一作に仕上がっている。

舞台となる女の国は超能力をもった女王が支配しているが、上半身裸で安い王冠を被りでっかい一物をこれ見よがしに披露しているという洋風版バカ殿スタイルなのが笑える。そして彼女のあれが興奮するときに液体ではなく花火が爆発するという発想がアホらしすぎて最高。ちなみに花火のときの被ったような一物とその他のシーンでのリアルな一物が全然違う(恐らく仕掛けの関係)仕様になっているのがご愛嬌。

あと肝心の主役二人が素人のためか終始ぎこちなく、既に何本か出演経験のあった橋本杏子(女王の国に彼女を案内する先輩役)が後半主役然としてくるのがやや不自然だが、それでも女王のせいで理不尽な目に合う二人を見ていられず自分の命を賭けても彼女を助け出そうとする彼女の姿は凛々しいので不思議と納得する。

そんなアホな映画なのに長回しを多用した絵物語を読んでいるような感覚になるプロのカメラワークが見事で、学生映画や自主映画の雰囲気になりそうなこの映画を見事な商業映画として維持している。特に主役の二人が女の国から抜け出そうとする歩くもいつの間にか宙に浮くかのように来た場所に戻されるシーンの不可思議さ！

お伽噺らしいゆるゆるなエンディングも通俗的な雰囲気のこの映画と合っていて見事に締め括られる。

メルヘン系ポルノ。フェリーニの『女の都』からエグさを抜いた感じだった。心中しようと東京から出てきた女の子2人組が、女王に支配された女の子だけの地区に迷い込んでしまう。閉鎖的な空間であるのにも関わらず、電車の音がバリバリ入ってたりするのがヤバイ。ロケ地の関係だろうが、もう訳わかんなくて映画っておもしろかったらなんでもいいんだなと思ってしまう。
女王がでかいチンコをつけていて、擦ると爆発するの最高。チンコは権力の象徴！ケン・ラッセル御大が『リストマニア』でやっていたデカチンオブジェネタをまさかこんな形で見られるなんて…。女王が第一回オナニー大会を始めると言い出したらみんな擦りまくるのもおもろかった。ラストが本当にメルヘンでいい。『世界で一番美しい夜』と二本立てしたくなるような映画だった。ちんこは引っこ抜け！

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