のん

余命10年ののんのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
3.9
原作者の生きた証

余命感動ポルノも難病感動ポルノも全然好きではないのだが、『余命10年』は少なくとも「今この瞬間を生きる尊さ」をビビッドに切り取った映像と脚本に誠実さを感じた。

スクリーンのど真ん中で輝く小松菜奈は、死にゆく儚さではなく、残された生を生きようとする姿を好演。ドラマ『おかえりモネ』の好演も記憶に新しい坂口健太郎との化学反応が面白い。

藤井道人監督は確かに映像的な見せ場を作るのは巧いのだが、これが数多量産されるこのジャンルの作品と抜きん出た差があるかと言われると微妙なところ。RADWIMPSの音楽も作品には合ってると思うが少々食傷気味にはなった。

それでも、これは誰よりも「生きたい」と願い続けた原作者の生きた証を残そうとする製作側の気持ちは伝わった。
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