とりん

パラレル・マザーズのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023年86本目

ジャニスの気持ちも痛いほど伝わるし、愛する娘を失ったアナの気持ちもわかる。
真実を伝えられない罪悪感とアナと本当の娘を一緒にいさせようとしたい気持ちからかアナをそばに置き、アナは失った娘の穴を埋めるようにジャニスに寄り添うようになる。あの惹かれ合いはきっとお互いのその想いからなのだろう。
そしてその真実が分かった時、アナはどういう行動に出るのか、ジャニスはどんな気持ちになるのか、これがこの映画のピークになるのだと思っていたし、実際そうだった。
これまでも扱ってきた題材であるだろうけど、この手の作品をあまり観たことなかったので、先の展開が気になり観入ってしまった。
お互い元々は決して悪くないし、言い出せなかったジャニスにも非はあるが、責めれるものでもない。もちろんアナに対しても。悲しい物語ではあるが、実に面白い題材だと思う。

しかしさらにここに乗っかるのがスペインの血塗られた歴史からくる根深い問題。
内戦による犠牲者がそこかしこに埋まっており、それを簡単には掘り返すことができないということ。
この歴史を全然知らないので、映画から汲み取れたのがこの程度で合ってるか否かは定かではないが、無知が悔やまれる。
こういう史実的なことを問題視として取り上げるのも映画の題材とした非常に良いと思う。

ただこの人間ドラマと史実を一緒にしたことで、結局映画全体として何が言いたいかがぼやけてしまった。
なので終盤どう収集をつけるのかと思ったけど、モヤモヤしたままだった。
ジャニスとアナが再び会話を交わすシーンなく、良い関係に戻ってるように思うし、ジャニスとアルトゥロはいつの間にか元鞘になってるし、終盤の駆け足感もすごい。
途中まですごく良かったのにこれを絡めたが故にごちゃごちゃして、すっ飛ばした気がする。
それぞれでしっかり濃く描いた方が面白かったはざなのに。良い題材なのにもったいないなと感じた。
とりん

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