サラリーマン岡崎

ベルファストのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.3
子供の時、子供には隠そうとしてたけど、大人たちがもめているところを見たりして、少しずつ社会を知っていく事ってあったよね。
それが良い事なのか、悪い事なのかわからないけど、
それらが今の僕の一部になっているのは確か。
でもそれだけではなくて、家族のあったかい部分を吸収して今の自分もある。
この間、親戚家族と会う機会があって、亡くなった母方の祖母が
私たち孫に叱ることが多くて、そのエピソードを懐かしく話した。
そういうちょっとしたエピソードも自分の心の中に残り続けているんだなと感じた。
こういったたくさん心の中にあるものをケネス・ブラナーが吐き出した作品。

そして、今作は映画の冒頭と最後に現在のベルファストを映すことで、
この数年でベルファストが変わったことも表現している。
丁度今、自分も帰省をしているが、自分が地元を出てから、
街はたくさんのことが変わった。
そこにはちょっとした切なさもある。
もちろん、この映画の時代のベルファストはあまり良い環境ではなかったとは思う。
けれど、主人公の母親が離れたがらなかったように、
この時代のこの町にも良いところはあり、変わってしまったところの寂しさもこの映画から感じられた。

こうやって昔のことを回顧して、少し切なくなりながらも、
大変な時代を一緒に生きた家族の愛がとても詰まった映画。
これからの未来は今いる家族で作って行くことも託された気もしている。