このレビューはネタバレを含みます
タイトル通り、叫びとささやきに満ちた作品。
人によってはひたすら意味不明で速攻で寝落ちするかも知れないが、自分にとってはストーリー展開はもちろん、世界観から登場人物のキャラ設定・美術・音響・演出に至るまで、完全にフェチ視点全振りで最高。
美しい姉妹のドロドロのエゴと確執とおぞましいほどの冷酷さ、唯一心を通わせていた病床の次女とメイドのアンナとの妖しくも痛々しい慈愛に満ちた姿、何より、心温まる幸せな回想シーンの直後に観る者に冷水を浴びせるようなクールな一文に震えた。
赤が印象的な映画は数多くあるが、この作品の場合、背景を埋め尽くす赤がなんとも言えない品をたたえた深みのある色合いに統一されていて、赤好きの自分にはそれだけでも眼福なのだが、頻繁に挟まれるブラックアウトならぬレッドアウトの演出がさらに独特で印象に残った。