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弟とアンドロイドと僕のHKのレビュー・感想・評価

弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)
3.0
年始早々、どうせ面白いであろう話題の大作群にはそれほど食指が動かず、あえて危険を冒して本作をセレクト。
まあ昨年末に予告編を何度も観て気にはなっていたんですが。
それにしても上映館が全国で8館とはビックリ。客が入らない前提?

監督は『どついたるねん』『一度も撃ってません』の阪本順治。
主役は私と同じくトラ年で間もなく還暦を迎える豊川悦司。
ハズレても最低限は担保されてるだろうと思ったら考えが甘かったようです。
監督の超パーソナルな想い入れだけで撮ったような作品でかなり意味不明。
なるほど、これじゃ客入りは見込めないでしょうし、迂闊に人におススメもできません。

昼間は大学で教鞭をとる孤独なロボット工学者(豊川)が夜な夜な古い洋館でアンドロイドを作るお話ですが、敢えてなのか説明不足すぎてどーゆーこと?というシーンの連続。

じゃあ全く面白くないのかというと・・・まあ面白くないんですが、退屈はしませんでした。
なんせ意味不明すぎて何が言いたいんだろうとずっと目が離せませんでしたから。

本作のアンドロイドはロボットというよりフランケンシュタインのモンスターのような趣。
映像の雰囲気としては鈴木清順や実相寺昭雄あたりを狙ってる気もしますが、そこまで強烈なインパクトもなく、意味は不明ながらもそのイメージに圧倒されるというところまでは届きません。

ただ、いろんな疑問や想像が湧いてきて見終わった後もあれこれ考えてしまいます。
主人公はなぜ自分と同じアンドロイドを作ったのか?
自分自身の存在が実感できないから?それとも別の理由?
弟が太ももを刺した男って? 最期に救急車で運ばれたのは?
あの少女は実在する? あのあと首はどうなったの? あ、もしかして・・・?

本作は久々にやっちまった感はあったものの、作家の痛みと真剣みのようなものはチラリとうかがえ、不思議と腹は立ちませんでした。
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