円柱野郎

ゴッドファーザーPART IIIの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前作から時が経ち、事業家としてバチカンから叙勲されるまでになったマイケルは、それを期に非合法なビジネスからの決別を決意する。
しかしバチカン銀行との関係に端を発して思わぬ方向に事態が動き出していく。

全2作の重厚さに比べるとアク抜きされた“普通の映画”という印象。
「ゴッドファーザー」なのか「バチカンの金融疑獄に対する批判映画」なのかフラフラしている感じもするが、全体的には前作で頂点に達したマイケルの孤独に対する人生の後悔と懺悔を描いた話になっている。
マイケルの溺愛する娘・メアリーが目立つ役どころで出てくるけれど、どう見ても死亡フラグが立ちまくっているので正直言ってラストの銃撃の結果は予想の範疇に収まってしまったかもしれない。
自らのビジネスの結果として家族を失ってしまうというマイケルの“業”から逃れられなかったマイケルという男の悲劇の物語だよね。
でも個人的にはこのシリーズで一番不幸なのはケイだと思うのです。

新キャラのヴィンセント・マンシーニはマイケルの死んだ兄・ソニーの息子。
アンディ・ガルシアはオーラがあって良いね。
冒頭は明らかにチンピラ風だったけど、終盤では組織の3代目のドンに上り詰める。
ただ、このあたりの経緯はやや描写が薄かったというか、ドンになるまでにもう一つパンチの効いたエピソードが欲しかったかもしれない。
そういう意味でも1作目のマイケルがドンを継いでいく様子に比べたら物足りない。

逆にNYでの会合がヘリから銃撃されるシーンはちょっとやりすぎた感じもしてそのあたりのバランスが気になるところ。
このシリーズにそういう派手な場面は求めていなかったというのもあるしね。
どちらかと言えば終盤のオペラのシーンの様に、何かの裏で事が動くという展開の方が合っているとは思う。
ただオペラのシーン自体も暗殺者の行動がやや冗長で、一応「凄腕」という設定らしいけどどうもスマートさに欠けるのでちょっと緊張感が乏しい。
劇場での襲撃ならヒッチコックの「知り過ぎていた男」くらいの緊張感は欲しかったかも。
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