ケイスケ

イニシェリン島の精霊のケイスケのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.7
もう“ベスト・オブ・困り顔が似合う俳優”はコリン・ファレルでいいよね?

本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島・イニシェリン島。島民全員が知り合いである平和な島で、パードリックは長年の友人であるはずのコルムから突然絶縁されてしまう。理由も分からず動揺を隠せないパードリックは、妹のシボーンや隣人ドミニクの助けも借りて何とかしようとするも、コルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と言い渡される。

最後までスリリングだし、退屈はしないんだけ観終わってから未だに面白かったのかよくわかっていない😅笑。予告の段階で2人の仲良しおじさんが仲違いするのは、わかってたんですが映画が始まってからいきなり険悪なもんだから、なぜコルムが怒っているかは明確に描かれません。

しかし物語が進むと彼の怒りが徐々にわかってきます。「お前の会話は自分語りばかりなうえクソみたいだ。時間がもったいない。だから絶交な」みたいな感じ。現実でもこんな感じで仲の良かった人が急に冷たくなったり、連絡をもらえなかったりで不安になる…というのは多かれ少なかれ誰でも体験していると思います。それでもコルムのこの態度はクソきっしょいと思うけど😠笑。

上手いな、と思ったのは過去にパードリックとコルムが仲良くパブで飲むところをあえて描いていなかったこと。コルムが年の離れた音大生と仲良くしていたところを見るに、最初はパードリックともこんな感じだったのかな…と思うと切なくなる。登場人物全員の人間描写も非常によく描けています。特にバリー・コーガン!この人はマジですげえ。さすがジョーカーに選ばれただけありますね。

本作では仲違いする2人に重ねてアイルランド内戦も描かれます。この辺りからようやくこの映画が言いたいことがわかってきた笑。あとタイトルにもある“精霊”。これは色んな読み解きができると思います。アイルランドといえば“バンシー”。そしてバンシーの様に死を予告する登場人物。などなど重層的な物語が紡がれますが…いかんせん自分にはちょっとピンと来ないとこもありました笑。でもマクドナー監督やっぱり凄いですよ。次回作も楽しみです。