とりん

BLUE GIANTのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

2023年29本目(映画館9本目)

2013年からビッグコミックで連載開始、今も新シリーズが連載されており、シリーズ累計900万部を超える大ヒット漫画の初の劇場アニメーション映画。本作は第一部となる無印版の日本での話を原作としている。
連載当時からかなり話題になっていて、ずっと読もう買おうと思っていたのに、ずるずると読まずに今に至る。結局本映画化決まったことにより、原作より先に映画に手を出した方がいいと思い、原作未読で本作を鑑賞。

ハッキリ言ってこんな最高の映画をありがとうと素直に大声で言いたくなるほどの作品だった。やっぱ映画と音楽って素晴らしいと改めて再確認させられました。
観ている中で何度号泣したことか、何度鳥肌が立ったか、何度震えあがったか、とにかく2時間いろんな感情でぶっ壊れされた気分だ。
正直音だけで満足感がハンパじゃない。本作は世界的に有名なジャズピアニスト上原ひとみが音楽監修を務め、オリジナルの楽曲を全て本作に向けて作曲している。この時点で音楽に関しては期待値がかなり高かったのだけれど、そのどの曲も素晴らしい。主人公たちのバンドが奏でる音楽はもちろんだけれど、他の方や劇伴で流れる曲もとにかく良い曲ばかり。
音楽大好きで普段からずっと音楽を聴いてはいるけれど、ジャズに関しては全く詳しくない。たまにジャズバンドをかじったり、ジャズを題材にした映画を観たりした程度。もちろんいつかは手を出したい領域ではあるけど、あまりの奥の深さと永遠の沼にハマる気もしていてなかなか手を出せないでもいた。ジャズを全く知らない自分でもジャズってこんなに激しくて素晴らしいんだって思えた。

でも本作はもちろん音楽だけでなく、ストーリーももちろん良かった。
原作ありきだと、話飛んだり、説明不足でわかりにくかったりするところがあるかと危惧もしていたが、そんなことはなかった。もちろん10巻の話を120分にまとめてるのでかなりカットはしているはずだが、とくに不自然な感じはなく、全体としてうまくまとまってた。もちろん終わり方もかなり良かった。原作未読だからすんなり観れたのもあるけど、割と原作ファンの方も評価は高いようだ。

個人的に気になったのは、グラフィックと声かなぁ。
グラフィックに関しては基本的に素晴らしいのだけれど、演奏の時の全身見せたりとかの引きの絵の時のCGがちょっと違和感あって、これが最後まで抜けなかった。でも寄りの時はそうではなくて絵力ものすごくて、迫力もあった。音で周りを巻き込んでいくような演出もすごく良かった。
だからこそそのCGすぎた引きのヌルヌル部分も、映画でお金と時間かけてるだろうし、もう少し普通の部分と違和感ない感じにして欲しかったところはある。でも今の技術じゃこれが限界かも。

声優もメインどころが山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音という人気俳優使っちゃってるから、なんともなところは否めないけど、想像してたよりは良かったかな。脇を固めたのはベテラン声優ばかりで良かった。

メインの3人の中では唯一素人であるドラムの玉田の成長に関しては観ている人みんなが見守ってたところはある。才能もあり努力もずっとしてきた他の2人とは違い、一番技術も劣っているのは当たり前だが、この人も努力の鬼。練習時間とかバカすごい。自分は音楽は聴く専門で、自分で演奏するのに関しては全くの素人だけど、玉田のように初心者で一定のリズム刻めるのだけでもすごいと思うし、やり始めて4日間であのテンポ刻めるのはやばい。才能もあったかもしれないが、たったあれだけの期間であそこまでの成長は、全てを捨ててまでドラムにつぎ込んだからだろう。
だからこそ本作の中で一番泣いたのはラストライブの玉田のソロ。あれは最初から追いかけてくれたおじいさんと同様こっちも泣いちゃうよ。まぁ元々このバンド自体も才能というより努力の塊的なメンバーの集まりというのもしっかり覚えておきたい。

キャラの想いとして一番伝わったのは雪折のSo Blueに対する想い。ずっといけすかないやつな雰囲気だったけど、大きな壁にぶつかるところも良かった。あれだけのことを言いつつも、才能を認めて、サポートをオファーするBlue側のスタッフも好き。しかもそれを嫌な顔ひとつせず、みんな喜んで、むしろ自信を持って送り出してくれる仲間たちが素晴らしい。まぁ仲間というよりぶつかり合いなんだけど、しっかりお互いがお互いの想いを持って尊重し合って成長するところがこちらを熱くさせてくれる。

最後のあのタイミングの事故、まぁありがちなところだけど、そこから奇跡の復活劇、そして解散というあまりにも劇的な幕切れはこちらの高揚感を最高潮まで持ってきた上でそのままエンドロールに入るというたまらないものだった。
エンドクレジットには大がドイツに行くシーンもあったので、ぜひ続編も期待したいな。
とりん

とりん