しゅうさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

しゅう

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リトル・フォレスト 冬・春(2015年製作の映画)

3.9

「夏・秋」編の続き。

美しさだけで無く、雪国の冬場の雪の厳しさや山村の過疎化と高齢化の問題もしっかり描かれている。

単純に「田舎暮らし=善、都会暮らし=悪」とせずに、(失踪した母親のエピソードを含
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リトル・フォレスト 夏・秋(2014年製作の映画)

3.9

田舎者なので、「都会の人間による田舎暮らし礼讃」というものに懐疑心があって、この映画にもそれを感じて手を出さないできたが、開明獣さんのレビューを読んで或いはもしや、と思ってアマプラで鑑賞。

ドキュメ
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RRR(2022年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

1920年代、大英帝国統治下のインド。

インド総督に攫われた少女の奪還を狙う男ビームと、彼を逮捕する任務を帯びた警察官ラーマ。二人は互いの素性を知らずに出逢い、意気投合して無二の親
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機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022年製作の映画)

3.4

「ファーストガンダム関連の映像化で、比較的オリジナルな改変をしても文句が出ない」という商売上の思惑のみで選ばれたと思われる、TVシリーズの1エピソードの映画化。

オールドファンの懐古趣味を満足させる
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あなたと私の合言葉 さようなら、今日は(1959年製作の映画)

3.8

日本映画専門チャンネルにて鑑賞。

主役はキャリアウーマン若尾文子だが、京マチ子の大阪料亭若女将ぶりも小気味良い。

テーマは小津的な想い合う父娘の別れだが、女性の自立を背景に結婚を終着点に置かないと
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切られ与三郎(1960年製作の映画)

3.6

BSプレミアムにて鑑賞。

「お富さん」の唄でお馴染み切られ与三郎の物語。古典には疎いので何処まで原典に忠実なのかは分からないが、義理の妹が寄せる恋情は映画オリジナル要素に思える。

心優しき雷蔵が、
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

3.7

2D字幕版を鑑賞。

前二作にあった、猿の王になる事を運命づけられた存在でありながら人間によって愛され育てられたが故のアイデンティティの揺らぎと二つの世界の間での葛藤、という要素がゴッソリ抜け落ちてし
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憲兵と幽霊(1958年製作の映画)

3.7

日本映画専門チャンネルにて鑑賞。

天知茂ほどニヒルという言葉が似合う俳優がいるだろうか。窮地に立たされた時の小物感溢れる狼狽えぶりも可愛らしい。

白黒の陰翳に満ちた映像は鮮烈で毒々しいが、ショット
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いとはん物語(1957年製作の映画)

3.7

日本映画専門チャンネルにて鑑賞。

恐らくは昭和初期の大阪の大店と、そこで働き暮らす人々の姿が美しい映像で事細かに描かれていて、それを観ているだけでウットリ。

容貌の美醜というのは勿論現代でも切実な
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斬る(1962年製作の映画)

3.6

BSプレミアムにて4Kデジタル修復版を鑑賞。

大映ならではの映像美は素晴らしく、それだけで一見の価値あり。

ただ、お話は新藤兼人脚本にしてはまとまりが無く(柴田錬三郎原作に手を加えられなかったのか
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赤い手裏剣(1965年製作の映画)

2.5

時代劇専門チャンネルにて鑑賞。

雷蔵主演に惹かれて観てみたが、何という事もない凡庸な無国籍時代活劇。

お話は黒澤明の『用心棒』の二番煎じ、と思ったが、そもそも原作の大藪春彦のインスパイア元が同じな
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戦国野郎(1963年製作の映画)

4.3

日本映画専門チャンネルにて鑑賞。

その昔、『EAST MEETS WEST』を京都の松竹系列の映画館で観て、その余りの鈍重さとギャグの空回り振りにガッカリして、それ以来敬遠していた岡本喜八。

とこ
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高地戦(2011年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

朝鮮戦争最前線の苛酷な戦場の再現と、その中で体を張った役者たちの存在感は見事。

停戦協定発効までの僅かな時間を費やしての戦闘というオチは読めたが、その虚しさ愚かしさは伝わった。
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007 スカイフォール(2012年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

初劇場007。スタイリッシュな映像は見事だし、アクションシーンはオープニングから手際良く演出されていて、一気に引き込まれる。

ただ、MI6の存在理由とボンドが闘う理由については疑問
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ホビット 思いがけない冒険(2012年製作の映画)

3.8

3D字幕版を鑑賞。

映像は完璧。お話はありきたり。

中つ国に入り込み、その世界を味わい尽くす旅行体感的な面白さが第一の映画なので、その意味では、アクションシーンはもっと少なくて良かった。

ザ・レイド(2011年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

言わずと知れたインドネシア産大ヒットバイオレンスアクション。

個別の場面場面では、工夫を凝らしたアクションの連続で大いに盛り上がるのだけれど、映画全体としてはやや単調に感じられるの
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カラスの親指(2012年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作未読。

二段階落ちの二段目、村上ショージ演じる頼りない詐欺師がすべての首謀者だったという真相は見抜けなかった。

詐欺師の活躍を描く話でありながら、最終的に人の信頼を利用する詐欺師を否定し、人と
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

3.3

BSプレミアムにて鑑賞。

タイトルから連想される様な陰謀渦巻くチャンバラ活劇ではなく、アットホームな人情喜劇。戦前の映画らしいゆる〜い空気感が心地よい。

犬も食わねどチャーリーは笑う(2022年製作の映画)

3.8

出逢って7年、結婚して4年の裕次郎と日和。平穏な夫婦生活を送っていたつもりの裕次郎は、ある日妻がSNSの〈旦那デスノート〉に自分への辛辣な愚痴を投稿し続けている事を知り…。

日本人は以心伝心を理想と
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

3.9

前作『彼らが本気で編むときは、』が大傑作だった荻上直子監督だが、今作の前情報や宣伝ビジュアルから伝わってくる「ほっこり奇妙な共同生活」感に、またまた偏見まみれの危惧を抱きながら劇場へ。

ぐっとシリア
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.4

正直さかなクンが苦手だった。

専門教育を受けていないにもかかわらず、市井の愛好家として研究・観察を続けて遂には専門家も認める成果を挙げた努力と情熱には感心しつつも、さかなクン独特のあの言動がメディア
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.2

字幕版を鑑賞。

新旧キャラクター大集合のオールスター映画としての派手さとは裏腹に、ドラマとしてしっかり作られている。

そもそもジョン・ワッツ監督は3部作を通じて、「だってアメコミ映画だから」という
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

オリジナルの舞台も1961年版の映画も未見だったので、単純に楽しめた。

スピルバーグの演出は流石匠の技でグイグイ引き込まれるのだけれど、それによって登場人物達を取り囲む現実の厳しさ
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ゆるキャン△(2022年製作の映画)

3.5

原作既読。TVシリーズ、実写ドラマも鑑賞済。

よくある女子中高生の皮を被ったオッサン趣味漫画の中でも大ヒットになった今作。過度な萌えに走らずキャンプ体験の楽しさの再現に注力したのが良かった。

ただ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

『ゲット・アウト』『アス』にあった文化・社会批評の高尚な衣を脱ぎ去って、ジャンルムービーへの職人魂全開で放つB級SFスリラー。

手にした名声と権力で、こんな趣味性丸出しの馬鹿映画(
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キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.6

原作は最新刊まで読了済み。

前作を観終わった時から、「続編は難しいだろうなぁ」とは思っていた。

一作目は原作の王都奪還編(1〜5巻)という一本の映画にするのに丁度良い分量の上、将来を誓い合った親友
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.2

字幕版を鑑賞。

成る程、前評判に違わぬ娯楽作。これだけ捻りの無い王道を貫きながら万人を満足させる監督の手腕に先ずは感服。

無人機の導入によって「凄腕パイロット」というものの存在自体が消し去られよう
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トップガン(1986年製作の映画)

3.7

Blu-rayにて字幕版を鑑賞。

マーヴェリックの為の予習。

先ず何より「戦闘機映画」として、しっかり面白い。

『ファントム無頼』『エリア88』愛読者としては、ジェット戦闘機が爆音で宙空を駆け廻
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

「是枝監督がソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナで映画を撮る」という情報が出た2年前から待ち侘びていた今作。

登場人物達が心の裡をガンガン言葉にしてしまうのは、韓国ならではの
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.7

事前に読んだ各レビュアーさん達のレビューからの印象では、『シン・ゴジラ』に比べて庵野・樋口氏の個人的な趣味性全開のシロモノかと思われたが、観てみると意外にもちゃんと"SF映画"になっている。

長澤ま
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ドンバス(2018年製作の映画)

4.0

字幕版を鑑賞。

内戦状態にある東ウクライナドンバス地方を舞台にした実録物、或いはフェイクドキュメンタリー形式のオムニバス映画。

殆ど現状や社会背景への説明が無い映画だが、2月のロシア侵攻以降に得た
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犬王(2021年製作の映画)

3.7

原作未読。

序盤は、かなりワクワクさせられた。

未だ南北朝の争い収まらぬ時代、申楽一座の疎まれ者と草薙剣で盲目となった琵琶法師、二人の少年が京六条の橋の上で出会う。

水墨画を思わせるアニメーショ
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大河への道(2022年製作の映画)

3.8

原作が志の輔の落語だけあって、全体的にユーモラスかつ上品な語り口。

恐らくは元になった創作落語とそれを映画に落とし込んだ脚本がよく出来てるので、お話として面白くて最後まで飽きさせない。

そして、何
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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

4.0

澤登翠活弁入り。

後に模倣・引用されまくる活劇シーンのアイデア豊富さと、そこでのキートンの身体を張ったアクション&リアクションの切れ味の見事さにただウットリ。

キートンの無愛想キャラを活かしたラブ
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音楽(2019年製作の映画)

3.9

原作未読。

我々が音楽を体験する時に感じる諸々(格好良さ、エモさ、ダサさ、滑稽さetc)を丸ごとアニメーションにしてしまった野心的な映画。

亜矢の声優が駒井蓮には驚かされた。