しゅうさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

しゅう

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

3.9

前作を観た時から待ち望んでいた、リンさんのエピソードを大幅に追加した長尺版。

新たに加わったエピソードの数々も、例えば雪の坂道をすずさんが竹槍を杖代わりにして下りていく足の運びなどの繊細なアニメーシ
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

2D字幕版を鑑賞。

そもそもep8のライアン・ジョンソンばかりが「スターウォーズの世界を壊した」と非難を浴びているが、JJもep7でそれ以上に酷いことをしている。

それは勿論冒頭の字幕。あのたった
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アス(2019年製作の映画)

3.6

字幕版を鑑賞。

この監督は、やっぱり職人的なジャンルムービーの作り手で、現実のアメリカ社会に呼応するようなテーマ性は飽くまでちょっとした味付けにすぎない。

今作もスリラーとしては充分面白いのだけれ
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

予告や前情報で、一見リベラルの白人家族の底流に潜む黒人差別が次第に露になる社会派サスペンスを想像していたら、良い意味でジャンルムービーとしての愉しさに溢れたB級スリラーだった。

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カツベン!(2019年製作の映画)

3.3

周防監督が活動弁士を題材にした映画を撮るということで、かなり期待していたこの映画。

映画内で描かれる大正のサイレント期における映画と映画興行の在り方、その中で興行を左右するほどの人気を集めた映画のナ
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ジュマンジ/ネクスト・レベル(2019年製作の映画)

3.4

2D字幕版を鑑賞。

前作「ウェルカム・トゥ・ジャングル」の面白さは何といっても、ゲームキャラと中の人間とのギャップとそれによって新たに産み出される関係性にあった訳で。

その点、今作で打ち出された新
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

3.7

2D字幕版を鑑賞。オリジナルの「ジュマンジ」は未見。

ロック様がいよいよコメディ・スターとしての本領発揮。

従来のトゥマッチな筋肉野郎としての笑いだけでなく、マッチョな外見と気弱なオタク少年である
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ファイティング・ファミリー(2019年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

プロレスがショーである事をハッキリ明示しながらも、同時にアスリートとしての鍛錬と高い技量が必要である事もしっかり描いているのが良い。

イギリスの片田舎の地域密着の家族プロレスと、ア
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狂った一頁(1926年製作の映画)

3.8

カナザワ映画祭2019「萬國癩狂博覧會」in 新潟上越高田世界館にて活弁伴奏付上映にて鑑賞。

以前にCSのドキュメンタリー「ストーリー・オブ・フィルム」で取り上げられていたフッテージを観て以来気にな
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メランコリック(2018年製作の映画)

3.7

この映画には裏設定があって、和彦の父親は実は凄腕の殺し屋で母親や和彦もそれを知っている。

それ故和彦は東大卒業後、官僚や企業人として出世するというありきたりのエリートコースには情熱が持てず、父のよう
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

4.4

字幕版を鑑賞。

フィルマークスのレビューだと"渋めの佳作"みたいな評価に落ち着いているみたいだが、自分的には今迄観てきた西部劇の中でも出色の傑作。

近年造られてきた西部劇を観て不満に思うのは、登場
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

『ジャンゴ』『ヘイトフルエイト』と近年は正統派で骨太な映画を撮ってきたタランティーノ。

特に『ヘイトフルエイト』の全編に不穏と緊張の漲る舞台立てを最高に楽しんだ観客としては、今作で
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イヴの総て(1950年製作の映画)

4.4

字幕版を鑑賞。

舞台裏の薄汚い内幕を描きながら、それも引っくるめて溢れんばかりの演劇への愛に胸打たれる傑作。

イヴ役のアン・バクスターが遂に本性を露わにしてからの好戦的な演技も捨てがたいが、より心
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ロケットマン(2019年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

物凄く良い映画に仕上がっており、自分の様にベスト盤しか聴いたことの無いライトなリスナーには『エルトン・ジョン・ヒストリー入門編』としても愉しめる。

ただ、後半の大部分が自己憐憫なの
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ムアラフ 改心(2007年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

これ程イスラム教の『言葉』について耳に入って来る映画は初めて。

日本に暮らしていて歴史好きなら仏教的思想は自然に知識として身につくし、キリスト教だとそれこそアメリカ・ヨーロッパ映画
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ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

2.8

これが矢口監督念願のミュージカル映画なのだとしたら、残念過ぎる。

一番の問題は、主演の三吉彩花の歌と踊りの技量が今ひとつな処。

ミュージカル映画やカンフー映画は身体的表現の技量が面白さに大きく影響
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

3.3

字幕版を鑑賞。

こういう軽演劇的な緩やかなユーモアは心地良くて嫌いじゃないが、緩やか過ぎて(前半は特に)意識が何回も飛んでしまった。

よこがお(2019年製作の映画)

3.9

深田晃司監督作、初鑑賞。

筒井真理子といえば第三舞台での舞台役者としての記憶と偶に出ているテレビドラマの脇役での印象しか無かったので、いつの間にこんな凄い映画女優になっていたのかと驚かされた。

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失われた週末(1945年製作の映画)

4.2

字幕版を鑑賞。

レイ・ミランド演じるアル中作家のノーブレーキの堕ちっぷりがいっそ気持ち良い。最早、呑むや呑まざるやの葛藤の段階はとうに過ぎて、酒を前にすれば理性も尊厳も一瞬にして消し飛ぶアル中の病理
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力と栄光(1933年製作の映画)

3.6

字幕版を鑑賞。

彼ら彼女らは、大多数の人々が縛られている様な社会的規範・節度を越えて、自分達が望むものを欲し、そして手に入れた。

ならば、それがどんな悲劇を招こうとも「どうせ何時かは死ぬのだから好
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細い目(2004年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

全体的に台湾の恋愛映画の様な感触なのは、題材故の狙った作りなのか。

偽ディカプリオをケチョンケチョンにやり込める、オーキッドの愛らしさと格好良さ最高。

対して、二人の少女の心を手
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ワイルド・スピード/スーパーコンボ(2019年製作の映画)

2.9

2D字幕版を鑑賞。

ワイスピ"外伝"第一弾は結構悲惨な出来。

ワイスピシリーズは、本家も極めて大雑把なB級アクションなのだけれども、それを作品毎に巨大化・やり過ぎ度が上がっていく超絶アクションの連
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

4.1

2D字幕版を鑑賞。

前作が「必然による大団円」だとしたら、今作は「可能性としてのもう一つの結末」が提示される。

自分的には、「アンディの一番のお気に入り」では無くなったウッディの境遇の変化(持ち主
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天気の子(2019年製作の映画)

3.7

令和の時代に、今更ど直球のセカイ系ラブストーリーを打ち出してくるその衒いの無さや良し。

相変わらずの空の描写の美しさ。特に雨、雲の表現には目を見張らされる。

一方、昨今の邦画(特に実写)に顕著な悪
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劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年製作の映画)

4.0

劇場用映画としての尺の制約の中で最大限遣り切った、現状部活アニメ最高峰。

続編となる3年生編の最終章も楽しみにしていた。

表舞台で仕事をするクリエイターは様々な毀誉褒貶に晒されるものだけれど、こん
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

序盤、シム・ウンギョンの同僚達が語り合うシーンが余りに薄っぺらで記者としての年季や力量が全く感じられず、この調子で単に現在の政治状況を戯画化しただけの再現ドラマを観せられるのでは?と危惧。

だが、実
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

3.7

2D字幕版を鑑賞。

ジョン・ワッツ監督による"トニー・スターク 糞食らえ"映画第2弾。

新ヒーローのミステリオの正体といい、或いは前作『ホーム・カミング』で悪役のバルチャーの中小企業の親父振りが格
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プロメア(2019年製作の映画)

3.9

設定と物語の展開は"強引&ご都合主義"の中島かずき節で、それを無理矢理"アリ"にするのは、今石洋之監督のひたすら畳み掛ける演出と全編に渡るトリガー印のビジュアル。

映画秘宝で書かれた通り、『スパイダ
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さよならくちびる(2019年製作の映画)

3.6

監督が塩田明彦で門脇麦と小松菜奈のダブル主演という座組みを聞いた時から気になっていた映画。

主演2人とそこに絡んでくる成田凌の時代遅れな佇まいは良い。フォークデュオの2人が歌うシーンは(提供された楽
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僕は戦争花嫁(1949年製作の映画)

4.0

「ハワード・ホークス監督特集II」にて字幕版を鑑賞。

ケイリー・グラントは、一見二枚目風の実はドジっ子&女の尻に敷かれッぷりが実に板に付いている。

『ニノチカ』でのガルボの氷の女も素敵だったが、こ
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

クラシカルな雰囲気漂うフランス映画。

二度の大戦を経験したフランスには、戦争によって傷付き失われたものを描く映画が伝統的に存在する様に思われる。

そして、第一次世界大戦後のフラン
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永遠の戦場(1936年製作の映画)

3.8

「ハワード・ホークス監督特集II」にて字幕版を鑑賞。

第一次世界大戦のフランス戦線を舞台にして、主人公である二人の将校を中心に苛烈な戦場における兵士達のホモソーシャルな関係性が描かれる。

1936
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.1

2D字幕版を鑑賞。

史上最大の"卒業式映画"。

出席者も呼べる人全員に声掛けたら、疎遠になったあの人達もみんな出て来て式場は満杯状態。

案の定、思い出話に花咲きまくりであっという間の3時間越え。
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アイアンマン2(2010年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

まだ観ていないMCU作品を慌てて予習第二弾。

『アベンジャーズ』への布石としてのシーンが多過ぎ。

自分的には嫌いな「映画の連ドラ化」がこの作品から進み出したのは、その集大成である
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アイアンマン(2008年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」公開直前に、実はまだ観ていなかったMCU作品を慌てて予習。

2008年当時のトニー・スタークにはまだ、とっちゃん坊や的な青さがあった。と、同時に享楽
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

恐らくは意識的に"スカッと"させない映画。

これには観ている自分がアメリカの人種差別に対して当事者意識が薄い事、現在進行形の映像で冷水を浴びせられるラストも影響しているが、それだけ
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