ENDOさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

パリ13区(2021年製作の映画)

4.2

SEXの敷居がものすごく低いけど、きっとそれが自然なのだろう。男女のルームメイトなら寝てしまう。なるべく寝たいけど、ひとつのコミュニケーション。チャンの好きな人に意地悪する幼稚さは憎めない。サンバはメ>>続きを読む

恋する人魚たち(1990年製作の映画)

4.0

達観してるかと思われたシェールがウィノナへの対応に終始懊悩してるのが泣けます。ウィノナはユダヤ人カルチャーの中で育ったけれど生粋のクリスチャンで、思春期特有の性的妄想が爆発寸前。色々と力み過ぎて生きづ>>続きを読む

屋根裏の女たち(1956年製作の映画)

4.5

入り江に面した漁村(通学バスには須崎行[高知県?]の文字)で細々と饂飩屋を営むシングルマザーの望月優子。奥行きを活かした路地のセットが秀逸。多々良純が酌婦でも置くよう助言すると、ストリップ巡業の女(倉>>続きを読む

マグノリアの花たち/スティール・マグノリア(1989年製作の映画)

4.2

誰よりも包容力があるパートンが経営する美容院に集う人々。ピンクまみれ。憎まれ役のマクレーンと寡婦になったばかりのデュカキスが、アメフトの更衣室で選手の下半身から目を背けたり、マーケットに繰り出して豆の>>続きを読む

抜き射ち二挺拳銃(1952年製作の映画)

4.0

突発的暴力!マクナリー演じる保安官a.k.a. Lightningはナレーションまで担当してるのに悪女に夢中になっちゃう俗物。黒いハットと革ジャンのマーフィは神掛かって強い。終幕の窓ガラス割ってからの>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.0

他愛もない兄弟喧嘩してるレペタ少年。好々爺のホプキンスでなんとか成り立ってる緊張に満ちた夫婦関係。一刻も早く大人になって欲しい両親。倒れる前に公園で「高潔でいられるか?」と問う祖父と、友人のみが裁かれ>>続きを読む

人生の幻影(1984年製作の映画)

4.2

季刊リュミエール 3『特集 ハリウッド50年代』にこの映画の全訳が掲載されています。『いつも明日がある』においてマクマレイの子供たちが「何てハンサムなカップルなのかしら?」と呟く彼らこそが観客であり幼>>続きを読む

グライド・イン・ブルー(1973年製作の映画)

4.2

Chicagoのプロデューサーであるガルシオが作ったニューシネマは、モニュメントバレーの絶景とは裏腹に、挫折を抱えた人間たちが集う傑作!Chicagoのバンドの面々がヒッピーに扮して出てくるよ。堅物で>>続きを読む

喜劇 命のお値段(1971年製作の映画)

4.0

偽医者フランキーと偽聾唖者茉莉子、下剤を赤痢菌と偽るショーケン、つまり嘘つきほど聖者に近づく。食品公害としてのカユイカユイ病、医師会のストライキなど当時の社会問題へのカリカチュア。朝鮮戦争への恨み節。>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

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自己と他者の厳然たる隔たりを常に感じながら、それでもなお人間同士は理解し合えるか?その葛藤は大量の言葉(詩)となって横溢する。「外部からの暴力に対して、内なる暴力を向けぬ事で暴力の連鎖を断ち切る」みた>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.2

一億総中流の幻想(今や懐かしき響きだ……)を終わらせる。日本に階級はある、可視化されないだけで。ただし明治維新以降、いまだかつて闘争はない。政治家になる男は意思を持たない、名家を存続させるための義務し>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.8

ダンスと背骨!暗い教室。身体性を失った現代人は踊りによってのみ自然の兆しを感知しうるのかも知れない、古代魚のように。姉さんとの絶妙な間合い。プレコード映画か?ってくらい染谷くんが脱ぐ。自ら手の甲を噛む>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.0

ファスビンダー『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』的モデルに翻弄される大人を描いている。ノンケすらも転向させる(そもそも自分がヘテロであると言い切ることはできるのか?)美少年の魔力が対峙する者の奥深くま>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

ここから始まるぞ!って所で終わってしまう。妊娠の告白は宙吊りにされたまた生きていく。それもまた人生。ペトロールズで知名度上がる前の長岡亮介がカウリスマキの楽団みたいな感じで出演していてその風通しのよさ>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.0

どんなに外から言葉で埋め尽くそうとも内的な納得がなければコミュニケーションは成立しない。愛が生まれ終わる瞬間がある。その人ではなく幻想への恋慕。自分と相手の関係に引き摺り込まれ世界が崩落しないように、>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.0

兆しが反復され姿を見せるけど、あとは想像に委ねられている。白い布に垣間見える男。グレイ監督『リトル・オデッサ』における不穏のミザンセーヌ!信仰には猿型(親〈信仰〉にしがみつく【能動】)と猫型(親に首元>>続きを読む

マノン(1981年製作の映画)

4.2

嗚呼、新宿。ゴールデン街に続く小道にある公衆便所、紀伊国屋書店、珈琲西武、そして在りし日の残像。一郎の住まいは鷺ノ宮、つまり西武新宿線。せつこは、精薄か?と思われる瞬間がありつつ、生活するために必死で>>続きを読む

そこにいた男(2020年製作の映画)

4.0

『新宿ホスト殺人未遂事件』に触発された物語。彼岸の人物であるが欲望に忠実である。名付けた瞬間に崩壊する関係。言葉の力が場を支配する。愛のマウンティング。

夜を走る(2021年製作の映画)

4.0

新興宗教出てくるまでの場末の工場の閉塞感は忘れ難い。宗教って身近にあると複雑、やはり救いになる人もいる。人間にとって孤独が一番しんどいから。どんどん曖昧に淡くなっていって、自由と束縛の狭間で悶えて踊る>>続きを読む

ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

4.0

シトロエン2CVが2つの事前/事後の時間軸を混乱させる冒頭!精神科病院で職員と患者による混合クリケットの試合。スコア係用の小屋で青年相手に長々と回想するベイツ。
イングランド南西部のデヴォン州ウェスト
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けものみち(1965年製作の映画)

4.0

淳子さんのファム・ファタールものかと思ったら良のオム・ファタールものでした!とことん黒い社会派ノワール!フィクサー小沢栄太郎の周りに"犬馬の労"で仕える財界や政界の面々。脳軟化症の夫を焼き殺して吊り眉>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

4.0

スー・チーの知っている範囲のものだけが克明に映し出される。彼女とは違う女性によって語られる三人称のナレーション。ブラックライトで青白く光タンクトップ。唐突に夕張の雪景色。匂い立つ2000年の空気。カメ>>続きを読む

アリスの恋(1974年製作の映画)

4.0

冒頭はガーランド『オズの魔法使』パロディ。もちろん美声とは程遠いアリス。ドリー・パートンが歌う『I Will Always Love You』が流れるバーでバースティンは若きカイテルに口説かれる。「ん>>続きを読む

9時から5時まで(1980年製作の映画)

4.0

1980年度北米興行収入第2位の映画!中年女性3人が協力してオフィス改革を起こす訳だが、その激変ぶりは観客にも伏せられているサプライズ。トムリンの手柄を横取りし、横領とセクハラ三昧のクソ上司コールマン>>続きを読む

ロンリー・ハート(1986年製作の映画)

4.3

只々涙。ミシシッピ州ヘイゼルハースト。石女のおぼこい長女キートンは祖父の残した南軍旗の飾られたデカい屋敷に1人で住んでいる。手入れの行き届いた庭に彼女の過ごしてきた孤独な時間が凝縮されている。歌手の夢>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

4.0

宵闇の群青に輝く西瓜の赤い果肉。反ファシストの英雄アトスとその息子(彼の名もまたアトス!)の時間が錯綜して真実へと導かれる。ヴァリの屋敷に入って来る場面、ファシストの頭目とされる男の屋敷へと自転車で向>>続きを読む

バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版(1971年製作の映画)

4.0

コワルスキーが最後の英雄と呼ばれるのは公的なものに包摂されてしまう人間の挽歌として、かろうじて残った良心そして自由を象徴する存在であるからだ。その名はKOW"ALSKI"としてラジオ局を通して残るだろ>>続きを読む

悪魔の追跡(1975年製作の映画)

4.0

GW前に観るには最適な映画。アメリカンニューシネマを代表する2人のダブル主演。久しぶりに田舎に行って田舎で休める!と息巻くオーツ。フォンダの妻がプールサイドの視線をニューロティックに感知する場面、イヤ>>続きを読む

砂丘(1970年製作の映画)

4.0

爆発のしつこさに上がる!冷蔵庫に入っていた果実やロブスター、牛肉が生々しく吹き飛ぶ。砂で真っ白になる恋人たちの戯れ。カラカラに乾きました。アントニオーニのインタビュー抄録を読んでより混沌とした。流石だ>>続きを読む

白い刻印 アフリクション(1998年製作の映画)

4.2

おぞましいコバーン。若き日の姿は荒いフィルムのグレインとバカズームで表現される。寒い部屋で妻が亡くなっているのを知りながら飲んでいるコバーン。その妻の搾取された時間を思う時。ノルティは街から出て行った>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.2

まさにベッドルーム・シネマ。冒頭から土足で部屋に闖入することになる観客を気まずい思いにさせるカメラ。カルト宣教師は最終的にエリーによって(皮肉にも)救われ、チャーリーの肉欲を否定することになる。娘を何>>続きを読む

ナイト・パトロール(1984年製作の映画)

3.8

主人公であるThe unknown comicことMurray Langstonは実際に袋を被ってヒットした人物らしい。80年代は彼の絶頂期でもあったわけだ。ギャグはウンチとおならと下ネタという観てる>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.8

抽象的なのはいいけど、宙吊り状態が弛緩し切っているのでサスペンスとしての興味が持続できない。女が男に隷属する50年代アメリカを模したデストピア。最小限の説明。でもスカヨハの『アンダー・ザ ・スキン』の>>続きを読む

夕やけ雲(1956年製作の映画)

4.2

嗚呼、どこまでも木下恵介映画!望月優子/東野英二郎夫婦とその息子田仲晋二。対して親友の親は五十鈴/伸郎!憎たらしさが振り切れてる姉久我ちゃんは酷薄過ぎてハレの日に高廣に衆人環視の中ビンタされる!それな>>続きを読む

仕組まれた罠(1954年製作の映画)

4.2

冒頭、車両側面に取り付けたカメラはすれ違う列車を捉える。真ん中からちょうど画面の半分を覆う車体。2つの殺人は車内にて、つまり暴力装置に乗ってしまった彼女は無事では済むはずがない。
グレアムが不貞を働く
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オレゴン大森林/わが緑の大地(1971年製作の映画)

4.2

組合のストを無視し続けるスタンパー家の人々。粗野で頑固なヘンリー・フォンダの中指立てた切断された腕がタグボートの屋根に高く掲げられる瞬間に涙。組合の妨害ではなく天命により裂ける大木。大惨事であっという>>続きを読む