ろくすそるすさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ろくすそるす

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母娘監禁 牝〈めす〉(1987年製作の映画)

4.0

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宮崎駿の風立ちぬに先んじて、荒井由美の飛行機雲をメインテーマに使った荒井晴彦脚本の日活ロマンポルノ映画。
岡田有希子がビルから飛び降りた時代。海浜のテトラポットの町で刹那的な死にたいという欲求を抱え
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OLの愛汁 ラブジュース(1999年製作の映画)

4.1

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「今日六年間つき合ってた西澤に振られた。彼の一方的な心変わりで」
 28歳のOL、榊原は何となく続くと思っていた優しい彼氏とのマンネリ化した恋愛に突然ピリオドを打たれる。彼女が終電に揺られながら、物思
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アメリカン・ウェイ(1986年製作の映画)

5.0

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 はぐれ者のベトナム戦争の退役軍人たちが、ステルスの空母に乗って、いろんなテレビ局の電波をハイジャックして、エクストリームなコラージュ映像を流して割り込む。このゲリラ放送を繰り返す空飛ぶテレビ局は、人>>続きを読む

エボラ・シンドローム/悪魔の殺人ウィルス(1996年製作の映画)

4.6

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 ハーマン・ヤオ監督による人肉ハオチー映画『八仙飯店之人肉饅頭』の主演俳優で送るパニック・サスペンスの傑作。
 物語は細菌パニックを軸に、「八仙飯店」のデラックスバージョンとも言うべきドロドロでとんで
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ミミズバーガー(1975年製作の映画)

3.3

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 「ミミズ?バーガー?」ゴカイして借りるととんでもないことになりそうだが、あのエド・ウッドの好敵手とも呼ばれた、テッド・V・マイクルズが製作に携わっている「とんでも企画映画」だ。
 タイトルでわかると
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町でいちばんの美女/ありきたりな狂気の物語(1981年製作の映画)

4.3

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 偏愛するアメリカのアウトロー作家、チャールズ・ブコウスキーの小説をもとに、イタリア人監督のマルコ・フェレーリが監督した映画。ブコ原作としては、ミッキー・ローク主演の『バーフライ』とか、リュック・ベッ>>続きを読む

ローリング(2015年製作の映画)

4.3

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後々まで語られることになるだろう、カルト映画を同時代的に目撃してしまった興奮が残る傑作。
 「盗撮事件」を起こし、世間から白眼視された元教師で無職のダメ人間・権藤(40歳)が、教え子の貫一に彼女
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ジュース(1992年製作の映画)

3.9

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『ストレイト・アウタ・コンプトン』がとても面白い伝記映画だったので、門外漢ながらラップものを鑑賞。
 本作は、ストリートを舞台とした青春ラップ映画なのだが、友情と夢の破綻というテーマをもとに、ス
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リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

4.0

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 雪景色の綺麗な石畳の町。静謐な世界の中で起こる暴力と犯罪。ティム・ロス主演。監督ジェームス・グレイが若干二十四歳の時に撮ったこの映画は、冷たく救いのない物語である。
 犯罪に手を染めて家出をしたロシ
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アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)

3.9

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 怪優・デニス・ホッパーの監督作。テーマソングはニール・ヤングの「My,My,Hey,Hey」。この二つだけでもう最高なのだが、ラスト辺りからシナリオが雑になってきて、「なんだかなぁ」といった終わり方>>続きを読む

ショッカー(1989年製作の映画)

3.8

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 シリアル・キラー、ピンカーが無差別大量殺人を繰り返す。その槍玉となってしまったのが、アメフト高校生のジョナサンの家族であった。刑事の養父と暮らす彼は、ドジな性格が祟って、アメフトの練習中に頭を強打し>>続きを読む

ミスター・グッドバーを探して(1977年製作の映画)

3.6

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 「ロズアン・クイン事件」という米国で起こった実際の事件を元に女の悲劇を描く社会派転落ドラマ。
 『ダンサー・インザ・ダーク』や『少女ムシェット』のような女の破滅はどちらかというと外部の要因によって落
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死の王(1989年製作の映画)

4.0

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 発禁処分され、ネガまで焼かれてしまった『ネクロマンティック』の監督の代表作である。この情報だけで、結構身構えて見てしまうものなのだが、実際見てみると、かなりアートな映画であった。テイストで言うと、ヤ>>続きを読む

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.9

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 後味の悪い静謐な映画。仲の良いカップルがドライブ中にパーキングエリアに寄る。ところが事件はここで起こる。彼女がトイレにゆく少しの間に、突然失踪してしまうのである。しかも、そこには何の痕跡も手がかりも>>続きを読む

マクナイーマ(1969年製作の映画)

3.6

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 ブラジルの奇想文学を題材とした、陽気で奇抜なヘンテコ・マジック・リアリズム・ムービー。どサイケな色彩と奔放な設定がとにかく凄い。
 冒頭、皺だらけの老人がいきみ出し、黒人の老人(赤ちゃん)が生まれて
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反撃/真夜中の処刑ゲーム(1983年製作の映画)

4.5

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淀川長治も絶賛したと言われている密室サスペンス・アクションの大傑作。テーマとしては、カーペンター『要塞警察』の姉妹編的作品。

ストによって警察の機能しなくなった街。
ゲイバーを襲った差別主義者の自警
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ホワイト・ドッグ(1981年製作の映画)

4.6

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とんでもなく面白い映画!
 鬼才サミュエル・フラーの映画は、やはり社会的なメッセージ(特に虐げられる者を描くという意味で)が強く考えさせる。この映画では、ネオナチによって黒人を襲うように仕込まれ
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獣兵衛忍風帖(1993年製作の映画)

4.2

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 奇想の忍術によるエロスとヴァイオレンスの絵巻物。山田風太郎の世界観を鬼才監督が見事に描ききったアニメーション映画の大傑作。
 菊地秀行の原作の映像化作品『妖獣都市』の陰影味溢れる世界観。そして、あの
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NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)

4.4

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 「昭和のある夏」を平成(2000年)から描く青春映画。ノスタルジイを感じさせるものの、古き良き時代への郷愁を売りにするのではなく、あくまで作品のドラマで勝負している。
『菊次郎の夏』にも雰囲気は似て
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蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.0

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 『蛇の道』の続編ということになっているが、ストーリー的な直接のつながりはない。前作の新島の復讐を行使した相手と本作冒頭の犯人(寺島進)が違うからだ。でも、復讐を成し遂げた後の新島の空虚感が描かれると>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

4.3

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 二重構造の復讐が仕込まれた驚異のリベンジ・ムービー。静謐な雰囲気の中で展開される暴力と拷問の恐ろしさ。北野映画にも似ている乾いたテイストを味わえるが、狂気をはらんだ黒沢作品独自の恐ろしさが充満してい>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

4.2

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 『バッド・ルーテナント』の異才フェラーラによる恐ろしい映画。話すことができないという障害(中盤で明かされる)を抱えるサラは、女性だらけの職場で女性服の修復や仕立てをする仕事をしていた。だが、ある日、>>続きを読む

狼獣(けだもの)たちの熱い日(1983年製作の映画)

4.7

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 これぞ我が犯罪映画部門オールタイム・ベストの大傑作。『狼たちは天使の匂い』は男たちの「遊び」を通しての哀愁を描いた傑作だったが、人間の醜悪さと哀愁を描いた挽歌のような本作の方が、私の心に響いた(好み>>続きを読む

悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.2

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 邦題はクソだが、実に奇妙な映画である。『毛皮のマリー』のように母によってコンクリートの密室に三十数年間も監禁されたジャック・ニコルソンを崩したような顔の中年男バビー。彼は母に騙されて、外界は毒ガス
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野火(2014年製作の映画)

4.8

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過去の戦争映画のエッセンスを含蓄しながらも、恐ろしいほどリアルで体感型の戦地を考えられないくらいの低コストで再現した渾身の作品。
非常に原作に忠実だし、深作欣二監督の『軍旗はためく下』(野火の要素が『
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

4.0

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 ジェイク・ギレンホール演じる世渡りの上手く、狡猾で覚えの早い男が、テレビに見せ物的欲求をそそるショッキング映像を売るフリーのカメラマンとして、次々と危険な映像を撮影してゆく。煙たがられていた一人の男>>続きを読む

人魚伝説(1984年製作の映画)

4.4

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 静謐で瑞々しい映像美の海女ノワール。だが、底に沈むのはどろどろとした生々しい情念の暗い炎だろう。女の復讐劇として見ると犬を殺されたソープ嬢が議員をマラソンで追いかける、大物脚本家・橋本忍監督の異色作>>続きを読む

襲られた女(1981年製作の映画)

4.1

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 男と男の友情と哀愁を描ききった味わいのあるポルノ映画。松田優作風の青年・ヒロシと関西弁で薄毛中年のダメ男・ゼンさんは何でも屋を開業し、家出したアベックを捜索したり、欲求不満な未亡人と寝たりと汚い仕事>>続きを読む

月光の囁き(1999年製作の映画)

4.3

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学園恋愛ドラマのとんでもない異色作。
 同じ剣道部に所属する意中の女性・サツキと付き合ったものの、生来の特異な嗜好「フットフェティシズム」がために、「変態」と謗りを受ける青年を通して、並大抵の青
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愛欲の罠(1973年製作の映画)

4.8

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 大和屋の最高傑作はこれだ。ビアズの「アウルクリーク橋の一事件」をもとにしたハードボイルドの佳作『荒野のダッチワイフ』も無論良いけれど、とにかくこれが最高なのだ。
 荒戸源次郎扮するスナイパー、殺し屋
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ルージュ(1984年製作の映画)

4.5

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映画『デビルマン』により散々叩かれた挙げ句、病により鬼籍に入られた那須監督。だが初期の監督作『ルージュ』は、柳下毅一郎先生がオールタイムベストに選出しているように、傑作多きロマンポルノの作品群の>>続きを読む

わらの犬(1971年製作の映画)

4.4

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<暴力>を断固許さない姿勢を取る者が、生命の危機に際して、自分が否定した暴力を行使することによって、命を救われるという作品。
 研究に没頭できる平穏な町を求めて、都会のインテリ(数学者)とちょ
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牯嶺街少年殺人事件(1991年製作の映画)

4.1

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 惜しくも亡くなったエドワード・ヤンが残した最大の野心作。
 『カップルズ』では、ネオンサインの都市に生きる青年たちの希望と挫折を描いたが、本作は主人公が不良グループのボスの彼女に恋心を抱き、紆余曲折
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女獄門帖 引き裂かれた尼僧(1977年製作の映画)

4.4

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まさに、悪趣味カルト映画の決定盤。邦画史上この上なく狂っている、バッドテイストな映画の一つ。男になぶりものにされ、ギョロ目の汐路章とその子分・佐藤我次郎に追われる女(田島はるか)が「駆け込み寺」に逃げ>>続きを読む

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

『まぼろしの市街戦』は、反戦ブラック・ユーモア映画の大傑作であるだけでなく、映画史上かけがえのない珠玉の一品であろう。ロバート・アルトマンの『M★A★S★H』は皮肉の毒がいささか強すぎるけれども、本作>>続きを読む

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

暗いフランス映画からサスペンスの金字塔『太陽がいっぱい』まで、実に幅広いジャンルを撮ったルネ・クレマンの本作は、ユーモアと哀愁の漂う男たちの『禁じられた遊び』であった。なるほど、男が沁みるフレン>>続きを読む