カランさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

カラン

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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.0

1960年代の半ばのコメディーだろうという認識だけでイメフォに行くと、いつになくほぼ満席!

うん? 三脚で撮影したのか、平坦な画面はほとんどメリエスのと変わらないの?さらに無声映画っぽいが、妙なSE
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魚影の群れ(1983年製作の映画)

4.5

感動的なまでに力強いカメラ。やっぱりエイゼンシュタイン閣下が言うように、エモーションを伝えるには切ってはいけないだねー。

マグロはもちろん立派。大間の漁村の風情も素晴らしい。漁師の旗や祭の提灯がスク
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卍 まんじ(1964年製作の映画)

4.0

レズビアンの文芸映画なのかと思っていたが、違う。

みっちゃん(若尾文子様)の裸を確認するということで自宅の寝室に呼び込んで、障子を閉めて、みっちゃんが身体を隠していたシーツを、「隠し事はしない、嘘つ
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.5

映画評論が出自の典型的なシネフィル監督が、土屋ガロンの漫画を原作にした映画。面白い。見返すのは20年ぶりくらいだろうか、初めて観た時よりも面白かった。4K リマスターされたBlu-ray版も出ているよ>>続きを読む

たまたま(2011年製作の映画)

3.5

蒼井優が綿毛のような白づくめで、手紙になる、いやなろうとするが、失敗する。イニスフリーでロケかと思ったら、アイルランドだけれど別の土地らしい。シガーロスと高木正勝氏でサウンドを固めている。小松真弓と蒼>>続きを読む

もどり川(1983年製作の映画)

4.0

☆ただのエロなのか?

神代辰巳(くましろたつみ、1927-1995)監督は、ロマンポルノに大きな足跡を残した方で、20世紀にはまかり通っていた、「一部の好事家にしか分からないアートムービーを撮るなら
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皆さま、ごきげんよう(2015年製作の映画)

4.0

初イオセリアーニで、驚いたこと3つ。

この『皆さま、ごきげんよう』は2015年の作品であり、当時イオセリアーニの齢は81才であり、そして、現段階では最後に制作された作品となっている。


驚き① ア
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南へ行けば(2009年製作の映画)

4.5

銃を隠し持つ傷心の男x妊娠している妹xホモセクシャルの兄x遊び人のイケメンが織りなすロードムービーの道行で、草むら、裸、波、炎、風、光、砂、、、と出逢う映画。

若者たちのロードムービーだから、はしゃ
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しあわせな孤独(2002年製作の映画)

4.5

1995年にトリアーとヴィンターベアが提唱したドグマ95は2005年に終息することになったようである。ドグマ95のサイトには「純潔の誓い」に即していると認定された35本の映画がリストアップされている。>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

4.5



FilmarksではJoachim Trierをヨアヒム・トリアーとしている。wikiやECサイトのDVDやBlu-ray等の商品紹介欄は「ヨアキム」としている。サッカードイツ代表の前監督はヨアヒ
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

5.0

冒頭、ロングショットで大きく入江を捉えて、汀の漂着物のように小さく人物を写すのだが、ハイスピードで切っていく。確か、音楽はない。少なくとも、聞こえない。が、他の映画だったらどっどっどっとベースでテンポ>>続きを読む

4ヶ月、3週と2日(2007年製作の映画)

4.5

ドラマ。ルーマニアは第二次世界大戦後、旧ソ連の圧力で社会主義となり、チャウシェスクが独裁政権を築くと、労働力確保のために多産を奨励し、中絶禁止令を出し、違反者を処罰した。そのために非合法で闇に隠れた堕>>続きを読む

呪怨(2002年製作の映画)

4.5

怖すぎる!

今プレイヤーの表示は37分経過。変なノイズが鳴って、伊藤美咲が布団の中で怯えている。37分ということは、映画の24コマx60秒x37分、つまり53280コマが私のスクリーンに投影されたと
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(2017年製作の映画)

3.5


被写界深度を思いっきり浅くして形態を捉えない光でスクリーンを満たしてしまう目眩ショット、また、人混みの中手持ちカメラをグラグラ揺らして対象を探す不安な焦燥ショットがよかった。

永瀬正敏が演じるのは
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泳ぐひと(1968年製作の映画)

4.0

ディヴィッド・ホックニーという画家がアンディ・ウォーホルの1世代後にいて、ずいぶん高値が付く画家なのだが、彼の最も有名な絵が西海岸の裕福な邸宅のプールの絵である。他方で、こちらの映画は東海岸らしいのだ>>続きを読む

ノベンバー(2017年製作の映画)

5.0

圧倒的なファンタジーと時空の超越。誰かがカルトとか言うから嫁を連れて行く説得が大変だったが、(爆)、ほとばしるポエジーはダントツであるし、たまたまだが、ハロウィーンにぴったりであった。イメフォで観たの>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

4.5

話せない話。

すぐにギスギスする親密な空間で母、兄、兄嫁、妹、そして自分。カメラは光を捉えながら、細かくて柔らかな対象を写しこみ、何度も切り返して青い瞳の人物たちをクロースアップする。とても瞳が美し
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ニーチェの馬(2011年製作の映画)

5.0

ショットの悦び。単純で原始的なものであり、ほとんどリュミエールの感じただろう悦びに近いのではないか。風が運動を止める。映画を終わらせる。焦らないで、映画の時間に身を浸して見てほしい。


タルベーラ版
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きっと ここが帰る場所(2011年製作の映画)

3.5

ソレンティーノ4作目。良いと思うが、どうも腑に落ちないところもある。芸術は芸術的であるほど腑に落ちないところはあるものだが、芸術的な要請というのとは別のところであるように思われるので、星3.5とした。>>続きを読む

八日目(1996年製作の映画)

5.0

ダウン症のジョルジュと、その友達でセールスマンのアリーの物語。「あなたは他の子とは違うのよ。」 

見えないものがどんどん見える至福の映画。草むらの切断面とか樹木の皮とか歌うネズミとか天国に向かって羽
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バーディ(1984年製作の映画)

3.5

鳥になりたい男と顔面の成形手術で包帯巻きの男の友情の話。

鳥男は軍の精神病院の牢獄のような部屋にいる。包帯男が医師に呼ばれて訪ねていくのが映画の現在。

病室で高い天井から捉えたショットとか結構良い
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

5.0

文学はなんの役に立つのか。(マルキ・ド・)サドと(ザッヘル・)マゾッホの名は少なくとも2つの基礎的倒錯を指し示すのに役立つ。彼らは文学の効力を示す驚異的な事例なのである。いかなる意味においてか。ときに>>続きを読む

プッシャー3(2005年製作の映画)

3.5

トリロジーの最後を飾る、第3作目は処女長編の1作目(1996)から10年近く経つことになった。

ゴッドファーザーのように目に影をかける顔面のイントロダクションは3作共通。


1作目は、走り、走り、
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麻薬密売人 プッシャー(1997年製作の映画)

5.0

ニコラス・ヴィンディング・レフンはニューヨークでもコペンハーゲンでも映画学校を放校処分となってしまうのだが、映像を作り続け、たまたまそれを観た業界人から声がかかって、24才にして脚本、監督を務めて、長>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.5

もし、『ROMA』(2018)を撮ったアルフォンソ・キュアロンがこの映画を観たのなら、、、と考えると、感慨深いよね。(^^)




ベルイマン映画のように人間と人間の接触面を泡立て、不一致を際立たせ
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ハリーとトント(1974年製作の映画)

5.0

信じがたいほどの素晴らしさ。

シェークスピアの『リア王』を70年代のアメリカに、軽妙に、正確に、落とし込んでいる、つまり超えている。『リア王』と言えば、黒澤明が『乱』で1985年に仲代達矢をフィーチ
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ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)

4.0

ヒロインのエスメラルダの声がFilmarksのキャストに出ていないよね。Filmarks演出のサプライズ?(^^)

カジモドがトム・ハルス、隊長はケビン・クラインとなかなか立派なキャスティングだけど
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アイガー北壁(2008年製作の映画)

4.0

久しぶりに山岳映画。なかなか面白い。山の映画って面白いの多いよなあ、潜水艦系同様に、、、。

ヨハンナ・ヴォカレクJohanna Wokalekさんという女優さんが、山男たちの幼馴染で、ひょんなこと
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静かなる男(1952年製作の映画)

3.5

アイルランドの景観がとにかく牧歌的で美しい。また、さすがはジョン・ウェインで、騎乗した姿が絵になっている。寡黙で派手しない拳闘で心に傷を負った美男と、荒々しく嫁にいきそびれていた健気な、モーリン・オハ>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.5

ハンガリーの映画。被写体に真っ白い光が当たっていて、東欧らしい静かな印象だが、ゆっくり全て映し出される。




男は腕に障害があり、夜は眠れず、冷淡で、同僚の妻と寝るが一緒には眠れないと苛ついている
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

3.5

ハクソー・リッジかと思った。舞台が日本という設定だけど日本に思えないと思っていたら、実は、台湾ロケなんだもん。

しかし、日本人の役者の話す日本語すら日本語に思えない。イッセー尾形だけは日本語っぽく感
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砂の器(1974年製作の映画)

4.5

やっと観た。1974年の作をレンタルDVDで視聴した。2005年にデジタルリマスターされたもの。2005年というのは本作の監督、野村芳太郎さんが物故された年であるので、記念のリマスターなのかもしれない>>続きを読む

雪之丞変化(1963年製作の映画)

3.5

ユキノジョウヘンゲと読みますな。

若尾文子様が、私の観た中では最も可愛い。

映画は、、、

例えば、『リング』で中田秀夫はゴーストとしてこの世のものでない貞子がどのようにしてこの世の存在である人間
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グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

5.0

素晴らしいな〜。

ソレンティーノは3作目。イタリア語の映画作家で追いかけたくなる監督さんが、あまり見つかっていなかったので嬉しい。『グランドフィナーレ』と『LORO 欲望のイタリア』を観た。トニ・セ
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アントラム 史上最も呪われた映画(2018年製作の映画)

4.0

「観ると死ぬ」という触れ込みで、映画の冒頭の法的な注意書legal noticeには「映画を観続けるのは、、、関連する危険性を自覚したものとし、、、病気や怪我、生命の危険、あるいは、死を含めて、いかな>>続きを読む

インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

5.0

長〜い鈍行の旅に来て、本も持ってこなかったので、映画のレビューでも書こうかなと。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『インランドエンパイア 』は2006年に公開されたのだから、今から15年も前のこと
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