親戚付き合いの面倒くささ。
実家に一堂に会する場が、如何にスリリングなことか。
そんな年に数度の「日常」から人間を炙り出すしたたかさ。
「ホームドラマ」という枠組みの中で、是枝の末恐ろしい才能が爆発し>>続きを読む
あくまでも子供たちの視点で、彼らの成長と共にその生きざまをドキュメンタリータッチで描いたことが大正解。大人になり切れない大人と、大人にならざるを得ない子供。大人の身勝手さや世間の無関心といった面をもっ>>続きを読む
江角マキコが終始黒い服を着ているのが印象的。暗がりの中で引きの画で映される彼女は、まるで闇に飲み込まれているよう。黒い服も喪服を着ているようで面白い。
子供の演出が巧みな是枝演出はデビュー作でも健在>>続きを読む
殺し屋稼家に疲れ果てた初老の男は、不動産屋に飛び込み、女係員に部屋探しを頼む。数々の殺してきた亡霊たちに追われるようにして、男は死に場所を求め、係員とともに部屋から部屋へと巡り歩いていく。
部屋>>続きを読む
コーヒーの入ってないカップ、水の入ってない花瓶、あるいは魂の抜けた動物の剥製。映画冒頭で映し出されるこれらは、園子温が一貫して描いている「空洞」のイメージだ。
うつしみ』とは「現し身」と書き、この世>>続きを読む
園子温の映画は、一貫して社会風刺や皮肉に満ち満ちている。
それが作品を魅力的な方向へと引っ張っていく強大なエネルギーになっているのである。
ところが、本作は完全に負のエネルギーしか感じられない。
世>>続きを読む
“俺って一体何なんだ”。
“本当の俺って一体どこにいるんだ”。
その問いから決して逃げることはできない。
尋問のようにカメラは執拗に主人公を追い回す。
異常なまでの長回し、ブレてパンしまくるカメラに>>続きを読む
何が夢で、何が現実であるか分からない。たとえ夢だとしても、それが悪夢なのか、吉夢なのかさえ分からない。現実なのか幻想なのか区別のつかない残酷な何かが、まるでサーカスの出し物のように華麗な美しさに彩られ>>続きを読む
人間は孤独な生き物である。
だが、様々な集団に属し、その中で自分の役割や居場所を見つけることで生きている。
その集団とは、社会であり、学校であり、職場であり、そして家族である。
ただ、思春期は自分の>>続きを読む
“気球”と聞いて、一体何をイメージするだろう。
地上を離れどんどん上昇する姿に、個人の夢や未来を託すのか。
風の吹くままに流されていく姿に、不安定な自我を重ね合わせるのか。
それとも青空にぽつんと浮>>続きを読む
凄い、凄い、凄すぎる。
もうそれしか言葉が出ない。
何という凄まじい映画だ。
3時間57分の、自分のマリア様を探す旅。
真実の愛を初めて知り、それをどこまでも、どこまでも追い続けていく。
本作は漫画>>続きを読む
人間は二面性を持った生き物だと思う。それは“本音”と“建前”、“本性”と“理性”といったものである。村田は極端に、それらの後者を嫌う人間だ。見栄や偽善や虚飾と言ったものをぶっ壊して、その内側に隠れてい>>続きを読む
園子温は映画監督である以前に詩人だ。詩は言葉に感情を乗せることで相手に想いを伝えるものだ。けれども、どんなに感情に任せて殴り書きしても、丁寧に字を綴っても、印刷されて活字になってしまえば文字は統一化さ>>続きを読む
本作は園子温初の「原作もの」だ。
しかも、普段は皮肉を込めて嬉々として「絶望」を描く彼が、東日本大震災の発生によって、わざわざ原作のラストを改変し「希望」を若者2人に託したのだ。
「3.11」以降、>>続きを読む
園子温は役者を輝かせるのが実に上手い。
役者に適役を与え、新たな魅力を引き出し、園色に染めていく。
個性的な役者たちによる変顔大会。
「鈴木先生」が狂人と化し暴走していく長谷川博己。
弱々しい腰抜け>>続きを読む
園子温印と革新的なアイディア
守るべきものを狂気的に守り抜く
オレたちの陣地取り合戦
BAD FILMに一番近い
近未来的な東京の各地区
荒廃的な美術が見事
こんな地区分けする必要なし>>続きを読む
園子温の新作が今年5本公開される。ファンには嬉しいことだが、その皮切りとなる本作を観る限り不安でならない。中途半端で生ぬるいエロとバイオレンスと、薄っぺらいキャラクター。エクストリームな映画的興奮が味>>続きを読む
夢を追う人間が行って帰ってくるストレートな寓話。夢が肥大化しすぎて人でなしになっていく主人公の目を覚まさせる巨大化したカメに何故か感動。狂いながら夢を見続けることはいいが、それを「記憶」によって現実世>>続きを読む
「私はミツコだ!」アイデンティティを呼び醒まし、閉鎖的な世界から脱出するために走り続ける物語構造はまさに園子温映画。
だが、スプラッター映画にも人生哲学映画にも振り切れてないため作品として全然面白く>>続きを読む
女優を発掘しエロく撮る達人である園子温の手腕が炸裂。物語は陳腐ではあるが、メインに据えている女優はどれもいい。目の保養になると同時に、夏帆に代わって抜擢された池田エライザ・尾野真千子にエロさとケバさを>>続きを読む
こりゃキツイ。
人間をモノとして影画とか切り絵みたいに背景の一部として見せたり、冒頭の蛇口から水がポタポタ垂れる音で曜日が過ぎていく感じは面白いと思う。
だが、とりあえず今の福島でカメラを回せばディス>>続きを読む
日本犯罪史に残る、かの有名な北九州監禁殺人事件に着想を得たと謳われている本作。だが、椎名桔平演じる主人公が次々と相手の心を掌握し、時に通電で虐待しながら自らは手を下さずに、家族同士に殺し合わせ死体を解>>続きを読む
現実と虚構が入り乱れ、主従関係も反転させることで、めくるめく迷宮を描いた本作は、女優に厳しい指導をすることで本性をむき出しにする園子温自らの演出をメタ的に投影しつつ、ロマンポルノという枠組みを園色に染>>続きを読む
全4話のオムニバスから成る本作は、起承転くらいまでそれぞれのエピソードで描きつつ、最後の4話目でそれぞれの「結」を描きつつ、ミュージカル調になり大団円を迎えるという構成。それぞれのエピソードは既視感た>>続きを読む
キアヌリーブスを観ていると、不憫という言葉がよく似合う。本作でも堂々と主演を張っている代表シリーズの3作目だというのに、車に連続で轢かれるわ、砂漠で喉が渇きすぎて限界の状態でハルベリーに残りの水でうが>>続きを読む
物語上いくらでも盛り上げられる場面であえて抑えた演出を施す映画人ブラッドリー・クーパーの品の良さが光る秀作。確かに彼が演じるアル中かつ聴力を失っていくスター歌手は、失態は繰り返すものの、堕落し切った割>>続きを読む
人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である。チャップリンの名言をまさに体現するかの如く、とにかくホアキンフェニックスの演技が神懸かり的だ。作り手も主人公の半径5メートル以内で物語を紡ぎつつ、>>続きを読む
スコセッシとデニーロのコンビ作では「タクシードライバー」のトラヴィスと合わせ鏡のような主人公像であり、喜劇と悲劇、滑稽と狂気の表裏一体さを、現実と妄想を渾然一体と捉えるコメディアンの視点から描いた一作>>続きを読む
バートン版、ノーラン版、そして初期のテレビシリーズの迷走期を含めたバットマンシリーズを俯瞰してメタ的に茶化す視点を終始持ちながらも、まずバットマン=ブルースウェインが抱える葛藤や苦悩という根源的なとこ>>続きを読む