えいこさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.0

絵本をめくるような、レトロで可愛らしい世界観。低めから見上げるようなアングルで俳優陣のキュートさが倍増。カメラワークも、語られる物語の中では、カチッと固定された水平垂直な動きで虚構感が高まる。

グス
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泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)

4.3

清々しい良作でした。
俳優陣も豪華で松花堂弁当のごとく堪能。
それぞれ、印象的な台詞で要所を締める。

松田龍平の朴訥な受けの演技はさすがの安定感で、どんどんしょったんが好きになる。家族や友人、先生、
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.6

あーなんかゆる〜いのん見たいという時におススメ。シュールで不可思議なソ連のSF。
気の抜けたようなトボけた音楽と、クーとキューしか言わないおじさん宇宙人の情けない表情と愛らしさ。低予算が丸見えの宇宙船
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.6

おとぎ話のような不思議な感覚の作品。
中世の話かと思いきや、現代社会から遮断されて搾取され続けている村の話。タバコ農園で侯爵夫人から搾取される小作人たちが、口数も少なく純朴なラザロを搾取する。ラザロは
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

4.3

アン・ハサウェイの美しさとメリル・ストリープの圧倒的な存在感。流行の先端で戦う気概とセンス、ファッション業界の目の眩むような華やかさ。夜のパリはうっとりするほど美しい。

シンプルなシンデレラ・ストー
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ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)

3.7

性差別を前提とした法律や判例が200近くあったことに驚く。1970年代ならそれもそうか。冒頭からのスーツ姿の男性の群れに圧倒される。これは今でもそう変わらない東京の通勤風景のイメージ。

その男性の群
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セトウツミ(2016年製作の映画)

3.6

菅田将暉の関西弁さすがやなぁ。まんま男子高校生。菅田くんも池松くんもリアルすぎる。どーでもいい会話と地べたにだらっと座ってる姿勢。靴下半分ぬげかけたまんまなのに笑う。菅田将暉のオールナイトニッポンを思>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

3.7

エルトン・ジョンの長めのPVを観た感じ。ミュージカル仕立てなのでテンポよく進み、エルトンの曲を堪能。単純化されすぎてドラマとしてはややもの足りないが、キュートなタロン・エガートンの表情でカバー。

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緑の光線(1986年製作の映画)

3.8

学生の頃に初めて観たエリック・ロメール作品。まだ自分を持て余してた頃に、まるで自分を見ているようで痛々しく、だからこそ最後の景色に救われた。

恋人は欲しいが、ガツガツするのは嫌。ひとりでも平気といい
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

5.0

何度も観ている名作を初めて映画館で鑑賞。素晴らしい。感情を呼び醒す音楽、王蟲の迫力、腐海の虚しく静謐な世界観、全く古びておらず、むしろ今だからこそメッセージが胸に迫る。

ナウシカの慈しみの表情と大切
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家へ帰ろう(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

おじいちゃんが故郷を訪ねるロードムービーと思いきや、思い出したくなかったホロコーストの重い記憶を辿る旅。

かなり頑なな偏屈じいさんで、足が不自由なところに電車に遅れるは金は取られるは言葉はわからない
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

5.0

美しい風景と良い人しか登場しない素敵なドラマ。

ロバート・デ・ニーロ演じるベンがとにかく素敵。豊富な実務経験をひけらかすことなく、立場をわきまえて傍に控える紳士的で頼れるバディ。こんなにチャーミング
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.8

IMAX上映ということで、東京オリンピック延期の今見るべしと再鑑賞。音響と映像の迫力がヤバい。

88年製作と思えない構成と完成度。初めて観た時には、原作よりも単純化されて見劣りする感があったが、20
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私は、マリア・カラス(2017年製作の映画)

3.7

マリア・カラスの舞台やニュース映像とインタビューで綴るドキュメンタリー。
誇り高く強いイメージの人でしたが、真っ直ぐで繊細な面が伝わり、さらに好きになりました。生の舞台とは比べようもありませんが、字幕
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翼よ!あれが巴里の灯だ(1957年製作の映画)

4.0

たまたまBSで鑑賞。
手作業満載の飛行機工場の様子や、職人気質の社長や設計士、空中サーカスの場面に「紅の豚」を思い出した。
出資者たちの人のよさそうな様子もよい。スピリット・オブ・セントルイス号のネー
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ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Years(2016年製作の映画)

4.0

ビートルズが全世界でスターダムにのし上がっていく経緯をファン目線で堪能。
純粋に音楽が好きな仲間と出会って、一緒に夢を叶えていく様は小気味よい。何よりも、4人がお互いを必要としていて、楽しんでいる様子
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チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

4.4

切ない映画でした。偶然出会って作り上げた家族の大切な日々が失われてしまったことに、ルディの歌がかぶさって涙。

ルディの真っ直ぐな愛と勇気。自身も偏見を乗り越えてきたからなのだろう。ポールもルディに影
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500ページの夢の束(2017年製作の映画)

4.8

心温まる素敵な作品。ダコタ・ファニングの演技も素晴らしい。

思い通りに自分をコントロールできないウェンディのもどかしさが伝わってきて序盤から涙がとまらない。
自分のできることを一つ一つ復唱し、ノート
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バイス(2018年製作の映画)

4.1

洒落たカットとひねりの効いた構成で、悪名高き副大統領と俗物的な側近の面々の所業が描かれるブラックコメディ。笑いを入れないと、棘が立ちすぎてエンタメにならないというところだろうか。

クリスチャン・ベイ
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紅の豚(1992年製作の映画)

5.0

何度も繰り返し観たくなるジブリの名作。
登場人物誰もが愛おしく、誇りもユーモアも感傷も…いろんな感情を揺さぶられる。

公開当時、会社の随分先輩のこだわりおじさんたちがこぞって絶賛していたのを思い出す
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記者たち~衝撃と畏怖の真実~(2017年製作の映画)

3.8

真実を伝えるという使命に真摯に向き合う記者たちの物語。アメリカがイラク戦争に踏み込む経緯が、通信社ナイト・リッダーの記者たちの取材を軸に描かれる。

情報の真偽やスクープの奪取、圧力や脅迫などのスリル
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ドクトル・ジバゴ(1965年製作の映画)

3.8

たまたまBSで見始めたら3時間超える長尺で離れられなくなった。

第一次世界大戦やロシア革命をはさんで、運命的に出会い、別れ、また巡り会う男女の物語。舞台となる壮大な風景、華やかなブルジョアジーの世界
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最高の人生の見つけ方(2007年製作の映画)

4.3

モーガン・フリーマンのモノローグからの入りでもうヤラれてる。ラストは、ジャック・ニコルソンの語り。2人とも目で語り横顔で語る。カーターの包容力と鬱屈、エドワードのチャーミングさと孤独、その振れ幅を演じ>>続きを読む

ディレクターズ・カット JFK/特別編集版(1991年製作の映画)

4.0

様々な説が存在するアメリカの歴史的事件だけに、好奇心が勝り、長さを感じない。

信念にまっすぐな検事ジムにケヴィン・コスナーは適役。始まりのざらついた実写コラージュでぐいぐい引き込まれる。
オズワルド
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ストーカー(1979年製作の映画)

4.0

「ゾーン」と呼ばれる特別な場所を訪れる3人の男。見たところ人気のない廃墟と荒れた自然があるだけなのだが、案内人である「ストーカー」の説明により、人知を超えた意味が付加され、映画は哲学的になっていく。男>>続きを読む

マンマ・ミーア!(2008年製作の映画)

4.1

当時まだ小学生の娘と見に行ったのだったか…。初めから終わりまで懐かしいABBAの音楽でハッピーな物語を楽しめる。
歌と踊りの力って偉大!サントラを買って繰り返し聴いてました。

嫌われ松子の一生(2006年製作の映画)

4.0

中谷美紀、腹くくってんなぁ、というのが直後の感想。ミュージカルコメディとして極端にデフォルメされているから耐えられるけど、過酷すぎる人生。泣き笑いの疾走感で体力消耗。理不尽でなんかわからんけど元気出る>>続きを読む

コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

4.0

リシャール・ボーランジェが好きだった若い頃に観て、圧倒された記憶。

音楽と舞台、衣装の素晴らしさたるや。本作をきっかけにマイケル・ナイマンにハマる。物語と演出は悪趣味なのだが、赤、白、緑、青…印象的
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

3.9

アイリッシュマンから逆に辿る若き日のデ・ニーロとジョー・ペシ。共通する構図やロングショット、カメラワークはスコセッシらしさなのだと実感。アイルランド系という言葉が時々出てきて勝手に繋がりを感じる。>>続きを読む

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

4.7

シリーズ3作堪能。
随分昔に見て、よかったという記憶はあるが見事にストーリーを忘れていた。

マイケルはすっかり年をとり、時の経過とともにコニーやケイともわだかまりを超えた関係に落ち着いている。ダイア
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.7

何度も見ているけど、時々また見たくなる映画愛に溢れた熱い映画。
松坂慶子の小夏が、綺麗で母性的で可愛らしくてとても好き。

銀ちゃんの虚勢と小心、ヤスの情けなさ、情にほだされやすい小夏、みんなどうしよ
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嘘八百(2017年製作の映画)

3.6

堺が舞台ってことで気軽に鑑賞。知ってる場所出てくるのもちょっとした楽しみ。

骨董をめぐっての騙し騙されが主軸。中井貴一はコミカルな演技がよい。脇を固める近藤正臣の曲者感と塚ちゃん学芸員の純朴感、友近
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.8

ずっと観たいと思っていたが、少し躊躇いもあった。

わかってはいたものの、のっけから、こういうことか…と言葉が出ない。おそらくこういう暮らしをしている人たちは現実にもいるのだろうが、見ないようにしてい
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.2

漠然とした不安と孤独。帰還後のPTSD。眠れない夜をやり過ごすための仕事。
人に上手く自分を開けない不器用さと、気になれば執拗に見つめ続けるアンバランスさが、見ている者の不安を掻き立てる。

人の良さ
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ブルー・イン・ザ・フェイス(1995年製作の映画)

3.5

「スモーク」の続編とのことだが、「スモーク」を見ないまま予備知識なく鑑賞。

ドキュメンタリー風のラフな作りで、気楽に楽しめる。自由で気のいいブルックリンの住人たち。ハーベイ・カイテルは男前ではないが
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インターステラー(2014年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

3時間という長さを全く感じさせない脚本の力と傑出した映像美。「2001年宇宙の旅」からさらにステージを上げるSFの新次元。

疫病による食料危機や環境破壊による酸素不足…コロナ危機の今、危機感は現実味
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