えいこさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.2

自分の実家の話じゃなかろうか、というくらいにリアル。ウチのやり方と思っていたことが、意外とどこの家でも同じだったんだと妙にほっとする。昭和の家ってこんなだったなぁと懐かしい。

是枝監督は本当に家族の
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ザ・シークレットマン(2017年製作の映画)

3.7

ウォーターゲート関連続けて3本目鑑賞。
音楽、暗く静かな色調、リーアム・ニーソンの渋い演技にシビれる。

FBIの内部から見た事件の姿、フェルトの孤独な闘いを描く。信頼する部下も欺かねばならない。家族
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大統領の陰謀(1976年製作の映画)

3.7

「ペンタゴン・ペーパーズ」を見てウオーターゲート事件が気になり、勧められていた本作を鑑賞。

「ペンタゴン…」のラスト・シーンからの続きのように始まり引きこまれる。ストーリーは、新聞記者の地道な取材活
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.1

ジャーナリズムの使命が問われる今だから手にとったのかもしれない。
ペンタゴンペーパーズの存在やスクープについてもほとんど知識がなかったが、充分楽しめた。ただ、知識があればさらに楽しめる。

事実と主張
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天使の分け前(2012年製作の映画)

3.7

天使の分け前という言葉に惹かれて、予備知識なしで鑑賞。

ウイスキーの出てくるくだりに必然性はなく、ロビーのテイスティングや策略の才能覚醒にやや唐突感はあるかも。
荒んだ若者たちが更生に苦労するプロセ
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.5

冒頭のシーン、音楽も雰囲気も、あぁこの映画好きだなと直感。奇天烈な登場人物たちに笑っているうちに唐突に爆撃が始まり地下生活の役割が顕になる。

動物たちの生き活きとした演技?は、物語を通して、裏切りや
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レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)

4.1

ミュージカルの名作だが、三行程度のあらすじしか知らなかったのが実際のところ。
しかし、ダイナミックな構図や空撮、荘厳な音楽と歌の迫力に最初から引き込まれる。
あたりまえだけど、台詞はすべて歌。その歌が
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.1

エンジン音と寄りのショット。レースの臨場感と車の走る景色の美しさ。呼吸を忘れ手に汗握る。

夢中になるってこういうこと。圧倒的な技を持ちながら純粋すぎるケンと、経験も知名度もありビジネスにも長けたシェ
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

4.5

いろいろな楽しみのぎっしり詰まった名作。

モーガン・フリーマン演じるレッドのモノローグでアンディの人間としてのあり方が浮かび上がる。行動を淡々と語る回想なのに、親友としての語りには自然に尊敬が織り込
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.9

3時間を引っ張る脚本と演技力は前作に劣らず。

信じられる者のいないマイケルの孤独と苦悩が切ない。ビトの青年期を挟み込むことで、二人が自然と対比され、時代の違い、ドンとしてのあり方の違いが浮かび上がる
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.8

若い頃に見て、よかったがぼんやりした記憶しかなく再鑑賞。

アル・パチーノ演じるマイケルの成長していく様子に惹きつけられる。最初の爽やかな若者の表情から、レストランでの躊躇い緊迫の表情、ドン・コルレオ
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太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

4.2

美しすぎるアラン・ドロンを堪能する。
何を着ても素敵。シャツの胸元をあれほどあけても、派手なストライプのショーツだけでも、いやらしくも陳腐にもならないのは唯一無二。

クライムサスペンスだが、犯罪を犯
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あん(2015年製作の映画)

4.8

河瀬直美監督作品初鑑賞。
どら焼きを焼く手元や鍋の中のクローズアップが効果的。皮が膨らんでいくところ、小豆の炊けていくところはことさら美味しそうに見える。

桜のぼんやりした空や葉桜のそよぎ、紅葉した
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ガタカ(1997年製作の映画)

4.4

遺伝子操作で完璧に整えられた適正者と、愛によって自然に(つまり欠点の数々をそのままに)生まれた不適正者が共存する近未来社会。これは格差を拡大再生産する現代社会を、また、AIは人間を超えるかというテーマ>>続きを読む

アマデウス ディレクターズ・カット(2002年製作の映画)

4.7

クリスマスを前に華やかな雰囲気に浸りたくて鑑賞。

衣装もセットも音楽も荘厳で華やかで素晴らしい。宮廷や街の音楽やオペラを取り巻く風景がリアルに感じられた。モーツァルトの天才ぶりと下品さも含めて子供の
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.2

若い頃に見たけど、ほとんど覚えてない。でも雰囲気味わいたくて再鑑賞。

構図、雰囲気、何とも言えない〝間〟いい味わい。コーヒーもタバコも、会話が途切れる時に欠かせない小道具。なかったら気まずい空気が掻
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舟を編む(2013年製作の映画)

4.8

一生の仕事に巡りあい、辞書の編纂に静かな情熱を灯し続ける馬締くんの成長物語。
歩き方や少し屈めた背中に、不器用さがにじみ出ている。それが、物語の進行とともに、経験を重ね良き伴侶を得て少しずつ自信や誇り
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スティング(1973年製作の映画)

3.9

軽快な音楽とクラシカルな衣装、古き良きアメリカの雰囲気が素敵。

サスペンスフルな展開なのに、クスッと笑えるのんびり感もある。

ポール・ニューマンは粋で、ロバート・レッドフォードはチャーミング。ペテ
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明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

3.7

重い映画が続いてたので、昔友人が推していたのを思い出して鑑賞。

ブッチとサンダンスのバディ感は王道。2人ともカッコいいなぁ。台詞がイカしてる。やってることは強盗や殺人なのに、なんだろう、音楽と時々挟
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ゆれる(2006年製作の映画)

4.4

陰鬱さとざらっとした映像、音楽のセンスもアメリカンニューシネマを思わせる。
背景も細部までリアルで、車やカメラなどディテールがとにかくカッコいい。

ドラマはどろどろと重苦しく、弟に兄に共感が移りなが
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.9

全く長さを感じさせない無駄のない脚本と演技力。BGMのないシーンと対比させて象徴的に使われる音楽も素晴らしい。

デ・ニーロ、ジョー・ペシ、アル・パチーノ、三人三様に魅せる。個人的にはジミーの人間味が
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

4.0

誰でもがモリを好きになる。山崎努と樹木希林の圧倒的な演技力。アップの表情をあれだけ長く撮れるのは、山崎努くらいしかいないのでは。

BGMとさまざまな生き物の映像。住宅地の真ん中にある自然。家の中の雑
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

4.1

面倒臭い大人のほろ苦く愛らしい恋愛映画。ダイアン・キートンのファッションはホントに素敵!ところどころのカメラ目線と、複眼ショットが小洒落てる。

よく喋る2人だけど、臆病だったり強がりだったりが邪魔し
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.4

ジャック・ニコルソンがとにかく魅力的。破天荒に見えて、最も懐が深く個々の人間を理解し受け入れている。マクマーフィの影響で患者達が少しずつ自分らしさを取り戻していく様子は小気味よい。

管理する側と自由
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GO(2001年製作の映画)

5.0

演技、脚本、音楽、最高!
そして、若い窪塚洋介の粗暴さと繊細さの共存する表情が素晴らしい。
重いテーマを扱いながら、恋愛や友情や家族のあり様をからめ、涙あり笑いありで最後まで疾走するのは、やはりクドカ
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最初の晩餐(2019年製作の映画)

4.3

父親が亡くなった後の1日半ほどのお話。
父親の遺言により、通夜にふるまわれる料理とともに回想が重ねられる。

大人の勝手で集まった5人が、一緒にご飯を食べるごとに家族になっていく。東家のような事情がな
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.2

初めから終わりまで、重くやりきれない気持ちが通奏低音のように続く。後半にかけて息苦しく胸が痛い。身体にもくる。

演出がない分、観てる側の気持ちにもあまり起伏は起こらない。明や京子、そして家はあるが居
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.3

バットマンのディテールはあるが、全く別の物語。ホアキン・フェニックスの瞳、口元、少し奇妙だがエレガントなダンスに引きこまれる。音楽も効いている。

初めのアーサーの笑うシーンに涙。そして、映画館をひと
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.0

ティム・バートンの「バットマン」とは全く違うジャンルの映画。解釈や演出のスタンスが異なるので単純に比較はできないが、技術の進歩が映像に表れている。とにかく、ゴッサムシティが美しい。カメラワーク、構図、>>続きを読む

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

3.2

水彩画のような色彩と瞳が揺れるような表情が素晴らしい。
まだ赤ん坊の姫がはじめて泣く時の表情がリアルすぎて、唐突に泣けてしまった。

竹取物語のような昔話も、深く掘り下げれば、こんな人間ドラマになるの
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.8

京劇の覇王別姫を下敷きに、中国の歴史のうねりと男女3人の愛憎を描く大河ドラマ。

とにかくレスリーが美しくて儚くて切ない。そして、コン・リーが逞しく美しく哀しい。文化大革命で価値観が反転する中、翻弄さ
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バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

3.8

殺風景な砂漠のカフェに遠くから聞こえてくるようなCalling You。

気怠く殺伐とした雰囲気が、ヤスミンの登場で色づいていく。パッと見で素敵な人物はいないのだけど、じわじわと笑顔がふえて人間味が
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天使の涙(1995年製作の映画)

4.7

ウォン・カーウァイ映画の登場人物たちは、いつも自世界の住人。モノローグでストーリーは進む。
スタイリッシュなカメラワークと香港の猥雑な空気感。でも、エピソードはファンタジックで微笑ましくもある。
すれ
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

4.8

ウォン・カーウァイらしい映像と音楽にラテンアメリカの空気感が加わって独特の世界観。

恋愛における感情のぶつけ合い、もつれ合いは、男同士でも男女でも変わらない。レスリーには、張りつめた誇りと持て余して
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.9

男の子たちの2日間の小さな冒険の旅。
ベン・E・キングのテーマ曲と大人になったゴーディの語りがよい。

はじめのうちは、キャラクターに笑うんだけど、それぞれに悩みや葛藤を抱えてることが明らかになり、ぐ
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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

3.7

男3人で殺風景な冬の光景を行く
刑務所護送のロードムービー。

任務は任務として、うまいことハメを外しながら旅は進む。バダスキーのアニキっぽいアクセルとマルホールの真面目なブレーキのバランスよさ!
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