えいこさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.9

完全に黒澤×三船にはまってしまいました。いやもうカッコよすぎるわ。

ダイナミックな槍での殺陣はもちろん、本作では騎乗でのアクションに感服。崖を駆け下りたり、山道を疾走するだけでも格好良いのに、疾走し
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用心棒(1961年製作の映画)

4.8

皆さんのレビューを参考に、字幕つきで観賞。名前や関係理解はこれに限りますね。

とにかく、三船敏郎のカッコよいこと!
ピストルを持つ仲代達也も雰囲気あるが、貫禄が違う。舞台もまた、砂埃舞う西部劇のよう
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.5

原作が雑誌「マリ・クレール」に連載されていたことを覚えている。未来的なテーマながら、挿絵が平面的で素朴な感じだったので、勝手におとぎ話的なイメージを持っていた。映画版を見て、リアルな世界観に圧倒された>>続きを読む

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)

2.7

ブルース・リーを見たくて選んだが、まさにそんな作品。70年代のムード全開で、お約束のお色気シーンにも笑った。

前半、喧嘩しないというお母さんとの約束のため、全くアクションなしで焦らされ、もう限界とい
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マトリックス(1999年製作の映画)

4.6

話題作ながらきちんと観たことのなかった本作。世界観も映像もキャラクターの存在感もスタイリッシュで私好み。攻殻機動隊、ブルース・リーへのオマージュ、男たちの挽歌を思わせる銃撃シーンなど、アクションの爽快>>続きを読む

椿三十郎(1962年製作の映画)

4.9

黒澤明作品はやはり文句なしに面白い。
脚本の力も素晴らしく、唐突にはじまり、少しずつ明らかになっていく心理戦にあっという間に引き込まれる。気のはやる9人の若侍と三十郎とのやりとり、城代家老の奥方とお嬢
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華氏911(2004年製作の映画)

4.1

やや偏向はあるもののマイケル・ムーアらしい構成で、9.11前後のアメリカの欺瞞を次々晒していく。

初めのうちはブッシュの呆けた表情やあまりに軽い言葉に失笑したが、国民の姿や思いなど全く眼中にない身勝
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燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

4.0

あらためて観るブルース・リー作品。
抜粋されたシーンは、何度も見たが、ストーリーを追ってみたのは初めて。

男子たちが夢中になってたのわかるわ。カッコいいもの。うちに秘めた情熱を感じさせるが常にクール
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鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.4

香川照之の演技力はやはりすごいなぁ。可愛げも強面も演じ分けのメリハリ。

前半の堺雅人のダメっぷりにややうんざりしかけたが、香川照之の細かな演技やディテールの作り込みを拾いながら後半突入。後半の伏線回
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羅生門(1950年製作の映画)

4.7

黒澤明作品2作目鑑賞。こちらもまた名作。「藪の中」原作とのことだったので、青空文庫で読み返してみると、象徴的な言い回しはかなり忠実。複数人の証言形式の原作を、映像化し演出するその脚本の力と表現力に感服>>続きを読む

町田くんの世界(2019年製作の映画)

4.0

あまりに純粋な町田くんに苦笑しながら時々無性に切なくなる。「悪意に満ちたこの世界」にも、善意は地道に息づいていてそれは巡りめぐって返ってくる。そう信じさせるポジティブなメッセージに満ちている。

漫画
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イップ・マン 序章(2008年製作の映画)

4.4

順序が逆になったが、「葉問」に続き「序章」を観賞。エンタメ感が強く出ていた2作目よりもこちらは人間ドラマ。1作目だけに、人物像が際立つような脚本になっていたように思う。

イップ師匠の美しくキレのある
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

誰もが認める大傑作。今見ても心に響く普遍的な物語と映像。素晴らしいの一言!
なぜもっと早く見ておかなかったのか悔やまれるが、若い時には細部の人間ドラマに気づけなかったかも。

物語設定、魅力的なキャラ
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イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)

4.3

イップ・マン初観賞。「イップ・マン序章」でなく2作目の本作が先になってしまったが、そんなことは御構いなし。ドニー・イェン演じるイップ・マンにひたすらシビれる2時間弱。香港ノワール、ウォン・カーウァイに>>続きを読む

福福荘の福ちゃん(2014年製作の映画)

3.7

大島さん演じる福ちゃんの表情豊かなこと!顔筋はどうなってるんや。笑いだけでも、大笑いから、照れ笑い、苦笑い…それぞれの幅の広いのがさすがお笑い界の人。少しなまった台詞と独特の間も心地よい。
ちょっと変
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必死剣 鳥刺し(2010年製作の映画)

3.7

寡黙で実直なトヨエツ…佳き。体格が良いので、所作に見惚れる。台詞が少なく、所作や表情で見せる展開は好み。池内千鶴演じる姪との関係も切ない。

出来の悪い上に振り回され、忖度する側近により事態の悪化が止
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パビリオン山椒魚(2006年製作の映画)

2.5

オダギリジョーと香椎由宇の共演見たさ。
香椎由宇は美しくオダギリジョーはテンション高め。
物語には全くついていけず、というかないも同然。時効警察のような小ネタもなく、うーん、主演二人以外にみるべきもの
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華氏 119(2018年製作の映画)

4.5

大統領選最中だけに興味深く観賞。と見始めたが、中盤くらいからこれはトランプの話題だけではないもっと根深い民主主義の危機についての作品だと認識。

ミシガン州フリント市の水質汚染問題、銃規制を求める高校
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スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)

3.7

史実に基づくブラックコメディ。どこまでが史実なのかは置いておいて、独裁者の突然の死にテンションの上がる側近たちのドタバタがとにかく可笑しい。スティーヴ・ブシェミがフルシチョフ。お喋りで軽いがこんな人だ>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この歳になってようやく小津作品をまともに観賞できるようになった。随分若い頃に見たとは思うが、まったく理解できていなかったな。

まだ貧しさも残る古き良き時代。穏やかで礼儀正しい挨拶。老夫婦の朴訥なやり
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ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)

3.7

ベルエポックのパリを、キュートで勇敢な少女ディリリと青年オレルが三輪車で駆け巡る。昔のディズニー映画を思わせる平面的でレトロな人物と、監督が写真で撮ったというパリの実写風景が、時間旅行を現実に見せる不>>続きを読む

北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

初めの空撮からもう美しい風景の虜。
真っ白な雪に覆われた食料も限られた土地での生活は同時にもちろん過酷。
まるで自分探しのように志願してこの土地に来たアンダースは、人はよいが独りよがりで、身体は大きい
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転々(2007年製作の映画)

4.5

三木聡ワールド全開!大好きな時効警察の世界が満載。オダギリジョーの受けの芝居を引き出す三浦友和の突き抜け加減よ。

スーパーの事務所の風景は、まんま時効警察です。懐かしい。そしてまさかの三日月さんまで
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深夜食堂(2015年製作の映画)

4.5

今までもちらちら観てたが、ようやくきちんと観賞。予想に違わずばっちり好みでした。マスターの絶妙の距離感もいいが、オダギリジョー演じる警官の距離感もいい。

みんなそれぞれやりきれない何かを抱えているが
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.4

まさしくIMAX観賞に相応しい映画。
コンセプトありきの作品ですが、そのコンセプトをリアリティを感じさせる映像として具現化したチャレンジに感服。映像も音楽も、壮大かつ重厚で迫力があり美しい。

皆さん
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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

4.9

私にとって初めてのインド映画。皆さまの高評価納得の良作でした。
3時間弱の長尺を全く感じさせないテンポのよい展開とノリのよい音楽、カラッとした痛快な笑いとほろっとする情の深さ。そこに社会問題も放り込ん
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キサラギ(2007年製作の映画)

4.5

脚本と役者の力ですねー。
テンポよい展開と後半の伏線回収の気持ちよさを堪能。5人の男たちの密室劇だが、少しずつ明らかになってくる事実に、5人のバランスが変化し、回転するシーソーゲームのような面白さがあ
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あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)

4.4

前編の散らかり具合が整理され、後編は主役二人に集中。

憤り憎しみをエネルギーに闘う新次と、自分の足で立ち相手と繋がるために闘う健二の物語。ヤン・イクチュンの繊細な演技に泣く。人はみな社会の様々な場所
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あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)

4.0

菅田将暉のボクサー見たさに鑑賞。東京オリンピック後の新宿が、混沌として殺伐として現代の〝荒野〟。3.11や増加する自殺など、社会問題もほぼリアルな現代であり、主人公二人の底辺の孤独に、見ていて苦しくな>>続きを読む

天使にラブ・ソングを2(1993年製作の映画)

4.5

1に続きこちらも良作。ウーピーゴールドバーグの愛と勇気溢れる演技に気持ちよく乗せられる。音楽や歌も文句なく素晴らしい。

ストーリーは単純で、やんちゃな生徒たちも、根は素直で可愛い子たちばかり。立ち塞
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パッチギ! LOVE&PEACE(2007年製作の映画)

3.5

パッチギに続き鑑賞。低めの評価が目立ったが、私は、芸能界の在日差別の現実や戦時下に生き延びた父親世代の物語に、1とは別の物語として引き込まれた。

昭和の芸能界の多重差別を今振り返ると、呆れるレベルだ
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パッチギ!(2004年製作の映画)

4.0

井筒監督の映画は初めてだったが、熱量の高い真っ直ぐな作風に圧倒された。在日朝鮮人の来し方や生き方、恋愛の戸惑いやモヤモヤ、いろんな感情が渦巻いて言葉にするのが難しい。どうしようもない感情を少しずつ乗り>>続きを読む

カポーティ(2005年製作の映画)

4.6

トルーマン・カポーティの繊細で無垢な物語が若い頃好きだった。孤独と寂しさと小さく弱きものたちへの愛。そんな一連の著作とは異色の「冷血」。その執筆の物語。

荒涼とした遠景のカットが折々に挿入され、トル
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洗骨(2018年製作の映画)

3.9

ゴリ監督の人間賛歌。ハートフルでおおらかな佳い映画。洗骨という風習は全く知らなかったが、生き物としてのヒトの根源に立ち返り、観ている私たちも魂を洗われる気がした。

妻を亡くしてからの奥田瑛二の情けな
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天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

5.0

愛すべき人物ばかり。幸せな気持ちになる名作。ウーピー・ゴールドバーグの笑顔はいつ見ても元気をくれる。

デロリスに背中を押され、勇気をもらい、個性を発揮していく喜びに共感して涙する。救いの手を差し伸べ
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プラド美術館 驚異のコレクション(2019年製作の映画)

4.8

若い頃に何度も訪れているプラド美術館。ジェレミー・アイアンズのアカデミックなナビゲートに心地よく浸る。宗教的なモチーフを理解し、歴史がわかると作品はさらに魅力的なものになる。
コレクションの背景となる
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