mさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

4.8


トム・クルーズ主演映画の中でもベスト5に入るくらい好き。

繰り返されるトムの死をコミカルに見せる序盤で巧くルール説明しつつ、ループ物のジレンマであるマンネリ化を大胆な省略で上手く避けて意外性をキー
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懲戒免職(2006年製作の映画)

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名脚本家・渡辺あやが脚本だけでなく監督も務めた2006年の短編。

周りから見るとささやかだけど本人には重大な、このちょっとした感情の襞に目を付けて作品にする辺りがとても良いなぁと思いつつ、もう少
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突き射す(2019年製作の映画)

4.7

役者デビュー作となった今泉力哉監督「退屈な日々にさようならを」で強い存在感を放ち、「来る」にも出演した女優・猫目はちの監督第2作。

これは猫目はち初監督作品「つま先だけが恋をした」の続編なのだけど単
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つま先だけが恋をした(2018年製作の映画)

4.7

役者デビュー作「退屈な日々にさようならを」で強い存在感を放ち、「来る」にも顔見せした女優・猫目はちの初監督作品。

全体を貫く空気感というか作品世界がしっかりと出来上がっていて、その中で猫目はち自身の
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バンブルビー(2018年製作の映画)

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随所で光る演出の頑張りに対して脚本はあまりに幼稚、特に人物造形が凄まじく幼い。
それにも関わらず光り輝くヘイリー・スタインフェルドの見事さ!主題歌もヘイリー歌唱なので、実質ヘイリー・ムービー。

ロボ
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運び屋(2018年製作の映画)

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近年のイーストウッド作品同様、あまりにも肩の力の抜け切った作劇が今回更に炸裂。いつの間にやら一線を超えてするすると突き進んでいくのが巧みで不思議な面白さ。

その一方で、この映画が主人公にあまりにも甘
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ハロウィン(2018年製作の映画)

4.8

観る前は『なんで「ボストン ストロング」の監督が「ハロウィン」撮るんだろう』と思ってたら、完全に「ボストン ストロング」の延長線上にある映画だったので驚いた。

これから殺されるであろう脇役達の会話に
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バイス(2018年製作の映画)

4.9

映画の枠組みをぶち壊す寸前のブラック・ユーモア(あの『エンドロール』!!)に狂った語り口(こいつがナレーターだったの!?と気付いた時は作り手の狂気にびびった)。それとは真逆に大真面目に、胃が痛むような>>続きを読む

トラベラー(1974年製作の映画)

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アッバス・キアロスタミ監督の長編監督デビュー作。

どうしてもサッカーの試合を見に行きたい悪ガキの、大人の理想やメッセージ等が一切こめられていないそのありのままのワルさが素晴らしい。
少年たちが映画の
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降霊 KOUREI(1999年製作の映画)

4.9

黒沢清監督による2時間枠で放送されたスペシャル・テレビドラマ。とは言えどう観ても『映画』です。

黒沢清フィルモグラフィの中でも心霊描写は最恐に近いヤバさで、正直トラウマになる。この映画で幽霊がやりた
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21ジャンプストリート(2012年製作の映画)

4.7

後に「レゴ・ムービー」や「スパイダーマン スパイダーバース」で暗躍(?)する監督コンビの出世作。
最高のコメディ快作で、一昔前と現代の若者像の変化も踏まえた『青春のやり直し』というテーマもきちんと描か
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華氏 119(2018年製作の映画)

4.8

政治的な話になるけど、政治的な映画なのでそこはご了承を。

マイケル・ムーアの怒りの表現が以前よりもいよいよ冷静になっていて、それがより危機感を強めている。
水問題や銃乱射事件、選挙のシステムに恐怖政
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シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

4.7

ブラック・ユーモア溢れるミステリーというポール・フェイグ監督にとっては新境地の作品だったが、ポール監督らしく今回もやはり女性により響くような感触のある娯楽映画の良作。



メインの2人の女性の活き活
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.9

この映画で起きる出来事を『こんな酷い時代があったんだね、愚かな人達がいたんだね』と笑ってエンタメとして消費する事が未だにできない現代に対して、スパイク・リー監督ははっきりと強く『怒り』の意志表明をして>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

5.0

個人的にたぶん今年一番愛する映画になると思う。

冒頭のFOXサーチライトロゴに鶏の声で奏でられるFOXファンファーレが気付くか気付かないかの音量で微かに被さる所から既にヨルゴス節は大暴走。しかしこれ
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逃げ去る愛(2018年製作の映画)

4.7

「接吻」「UNloved」の万田邦敏監督の新作短編、これは凄く面白い。恋愛とは何かを『運動』の連続で解体していく。
演技がシンプルに削ぎ落とされている分、動線の演出とは何か・そこにどれだけの意味合いが
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サムライエッグ(2018年製作の映画)

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アニメーション表現のレベルは高く、尾野真千子の声の演技は巧い。子供のアレルギーをテーマにした事も映画としては珍しくて、価値ある事だと思う。
ただ、日本のテレビドラマ的な胡散臭さというか押し付けがましさ
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カニーニとカニーノ(2018年製作の映画)

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アニメーション技術の高さだけは伝わるのだけど、それ以外は本当に『無』なのでしんどい。

下手にサワガニを擬人化しちゃった事でなんか気持ち悪さみたいなものが生じてきてしまっていて、これ普通にサワガニを可
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トリプル・フロンティア(2019年製作の映画)

4.7

「アメリカン・ドリーマー」や「オール・イズ・ロスト」といった結構攻めた意欲作を作ってきたJ・C・チャンダー監督による、濃い男優をズラリと揃えたNetflix映画。

主人公なのに善悪面で一番危ういとい
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夫がツチノコに殺されました。(2017年製作の映画)

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大傑作「かえるのうた」「たまもの」やデビュー作「彗星まち」の頃のいまおかしんじ監督作の匂いが少し戻ってきていて嬉しかった。人を食ったシュールさと世間の隅っこの変な人達と不意に立ち上ってくる切なさ。こう>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

4.9

「ムーンライト」もそうだったが、この監督の作品にはやはり言葉にできない叙情と艶がある。独自の美しさを持った映画だった。

恋人達を分かつ差別が直接的に描写される事はかなり少なく、しかしそれ故にその重さ
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キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

4.9

「ワンダーウーマン」ができなかった事を、遂に完璧にやってのけた・・!


感涙の追悼ロゴと印象的なハイスピードのショットで幕を開けた映画は、開始早々よく分からない星のよく分からない特殊部隊達のドラマが
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スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.9

コミックと映画への愛が産んだ斬新なストーリーと、『新しい映像表現』へのスタッフの迸る情熱が合わさって大爆発!とんでもない狂乱大傑作が産まれた。『この映画は限界突破して飛ばしまくります』と宣言する冒頭の>>続きを読む

フリー・ファイヤー(2016年製作の映画)

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みんな簡単に何度も被弾するのに、全員なっかなか死なないので銃撃戦しながらどんどん疲弊していく様が可笑しい。映画全体がちょっと緩いのに何故だか嫌いになれない。
埃まみれ血まみれになり這いずり回りながら延
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浮草(1959年製作の映画)

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小津映画らしからぬ、堅気じゃない一本。松竹じゃなくて大映だからかな。
ジャケ写にもなってる土砂降りの雨を挟んでの2人の口論は『小津が激しい口論を演出するとこうなる!』といういつもとは一味違う名場面。対
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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.8

まず今作の美点は主演2人の素晴らしい演技で、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリは映画の格を大幅に引き上げる魅力的な演技を披露している。でっぷりと肥えた肉体から粗野さと同時に憎めないチャームを放ち>>続きを読む

セレニティー:平穏の海(2019年製作の映画)

2.5

監督・脚本スティーヴン・ナイトでマコノヒーさんとアン・ハサウェイ主演っていうから、凄えメロドラマを期待するじゃないですか・・・それがどうして、こんな事に・・・?
アイデアは面白いんだけど、それだと我々
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最後の審判(2019年製作の映画)

4.0

最初に主人公がカメラを見て話しかけてくる演出で鼻持ちならない主人公の人間性を演出しているのだけど、その演出と忙しないカット割りでこの映画自体に鼻持ちならなさを感じてしまった。
前半は色々やり過ぎていて
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はずれ家族のサーヤ(2019年製作の映画)

3.8

主人公の子役と黒川芽以が巧くて、作品自体も衒いのない直球勝負を無理なくこなしていて悪くなく観れた。子供の残酷さを描いた事も、おもちゃ売りのお爺さんの妖しさも演出でさり気なく出せていたのも良い。

ただ
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くもり ときどき 晴れ(2019年製作の映画)

2.0

少し見ない内にMEGUMIがこんなに良い女優になっていたという事が何よりも嬉しい驚きだった。35mmフィルムにも良く映える。
浅田美代子も良くて、特に唐揚げを揚げながら主人公に対して軽く答えていくあの
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うちうちの面達(つらたち)は。(2019年製作の映画)

2.9

『家庭内失踪』という発端のアイデアは面白いのだけど、そこから先がまずかった。
何よりまずいのが結局濱田マリ演じる女性が最初から最後まで『良き妻』であり『良き母』でしかない事で、この映画は彼女の事を『人
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サヨナラ家族(2019年製作の映画)

4.6

眞田監督の作品を観るのは「しんしんしん」以来で、あの頃と変わらず石田法嗣も、そして佐野和宏も登場するのでなんだか懐かしい。

主人公の『他人の分身が見える』という設定が正直あまり活かせているとは思えな
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ロマンティックじゃない?(2019年製作の映画)

4.7

ホラー映画の世界の中に入り込んでドタバタコメディを繰り広げる果てに滅法エモいドラマが待っている隠れ傑作「ファイナル・ガールズ」の監督の最新作、今回はロマコメ映画(PG13指定)の世界に入り込んでのドタ>>続きを読む

ストレンジャーズ 地獄からの訪問者(2018年製作の映画)

4.7

一家のちょいグレた娘役のベイリー・マディソンが素晴らしい!「ホテル・エルロワイヤル」に続き、ルイス・プルマンの芝居も良い。

芝居をあまりカット割らずに長回しするスタイルやゆっくりとしたズーム等、普通
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ホテル・エルロワイヤル(2018年製作の映画)

4.8

「キャビン」のドリュー・ゴダード監督最新作は、ジェフ・ブリッジスにダコタ・ジョンソン、ジョン・ハム、そしてクリス・ヘムズワース(あと何故か1シーンだけグザヴィエ・ドランがクソ野郎役で登場する)と濃い俳>>続きを読む