mさんの映画レビュー・感想・評価 - 22ページ目

12人の優しい日本人(1991年製作の映画)

4.8

元の「12人の怒れる男」を観ていなくても充分楽しめる傑作なのだけど、観ていると更に楽しめる。元をなぞりつつ巧妙に裏切りアレンジしていく脚色が圧倒的に凄い。この頃の三谷幸喜はやっぱり凄いな。

実際どん
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クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士(2019年製作の映画)

4.6

ジョン・ボイエガを発掘した「アタック・ザ・ブロック」のジョー・コーニッシュ監督の新作。確かに子供向けなんだけど、凄く良かったのがこの映画は『確かに今僕らが生きてるこの社会は分断を煽り不寛容と理不尽に満>>続きを読む

グラディエーター(2000年製作の映画)

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リドリー・スコット監督の格調高く美しい名作。
ラッセル・クロウの名演もさる事ながら、邪悪な暴君でありつつ人間的な弱さや怯えを見せる敵役ホアキン・フェニックスがやはり素晴らしい。

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

5.0

大傑作。大抵の映画好きからしたら『シャイニングの続編』だろうけど、こちらとしては何と言っても『天才監督マイク・フラナガンの最新作』である。最高級のストーリーテリングを大スクリーンでじっくり味わう至福!>>続きを読む

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.7

シスターフッドを主軸に描いた前作は画期的だったが、実の所あのラストではエルサは真の意味では『解放』されていないのではという感想を目にして確かにそれも一理あると思っていた。今回のラストで、遂に本当の意味>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

5.0

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「沈黙 サイレンス」とここに来てキャリア・ベスト級の大傑作を連発するスコセッシの才気が今回も大爆発!
未だ若いエネルギッシュさを漲らせつつ後半になるにつれて映画は避
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ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

スラッシャーと見せかけてエモーショナルな人間ドラマを紡いだループ物スリラーの前作から一転、並行世界タイムトラベルSFにジャンルが変わる驚愕の続編。前作で説明されなかったループの原因を、まさかこういう形>>続きを読む

歓びのトスカーナ(2016年製作の映画)

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『イカれた』女性達の道行きは全く一筋縄ではいかず、そんな2人の危うい道行きに映画は最後まで寄り添い続ける。ラストの2人の視線の交差の優しさが沁みる。

となりの怪物くん(2018年製作の映画)

4.6

「響 HIBIKI」の月川翔監督作品。
冒頭すぐの高校編開始ド頭の特大インパクトなアクション・ショットで度肝を抜かれた。
キラキラ映画を適当に作るやつの事はナメていいが、キラキラ映画を真剣に作るやつの
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ナイト&デイ(2010年製作の映画)

4.7

この映画が作られた当時はトムもキャメロンもキャリアが低迷していた時期で、公開当時は正直この2人でこの話ってもう飽きてない?と思ったのだけど、実際観てみるとこれが面白かった。久しぶりに今観ても本当に面白>>続きを読む

さよならくちびる(2019年製作の映画)

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子供の頃自分が影響を受けたゼロ年代前半の尖った単館系日本映画の雰囲気があって懐かしく観た。ただ塩田明彦監督の『映画術』は前作「風に濡れた女」の方が発揮されていたように思う。全体的に緩急に欠ける、妙に窮>>続きを読む

ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

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全体的に演出が良くないとか(絶対この監督にやらせるべきじゃなかったやっぱディヴィッド・リーチに任せようちゃんとドラマが描けて肉体アクションできる人に)、マッケンジー・デイビスの身体を張ったアクションは>>続きを読む

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

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まず山戸結希監督の企画趣旨には全面的に賛同したい。唯我独尊のイメージだった山戸監督がこうしたフェミニズムの横の連帯を先導していくとは想像していなかった、これは本当に嬉しい驚き。こういう試みは今後も続け>>続きを読む

たちあがる女(2018年製作の映画)

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過激派な主人公の人物造形・行動と、ほんわかした作風のギャップが魅力。雄大な自然を捉える撮影も主演女優の演技も良かった。

あの楽団はファティ・アキンの「愛より強く」やクストリッツァ辺りから影響を受けた
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犯す女〜愚者の群れ〜(2019年製作の映画)

4.8

エロスから離れた来春公開の「アルプススタンドのはしの方」でいよいよ多くの人にその名が知られそうな鬼才・城定秀夫監督の新作。「岬の兄妹」で注目を集めた和田光沙もこちらの予想を裏切っていく役柄で登場します>>続きを読む

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~(2019年製作の映画)

1.7

原作は未読だけど、アニメ版は観てます。

例えば福田雄一監督作品のような『映画としてはクソだけど作ってる側は楽しそう』という感じも英勉監督作品のような『なんかよう分からんが独自のルールで面白くしようと
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

4.8

老若男女人種問わず登場人物達は非情に呆気なく死んでいき、生死を分けるのはほんの些細な偶然や選択。凄まじい緊張感が全編漲る。明らかにサスペンス映画として『盛ってる』部分があるので、実際の事件を扱う映画と>>続きを読む

憎しみ(1995年製作の映画)

4.8

これ1作で燃え尽きたマチュー・カソヴィッツ入魂の監督作(この後の監督作どれも微妙なんですよね・・)。

ステディカムによる流麗なカメラワークと硬質なモノクロ映像で紡がれる暴発寸前というか暴発中の団地の
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フェイス/オフ(1997年製作の映画)

4.8

流石に無茶な超荒唐無稽な物語をジョン・ウーの特濃演出と俳優陣の熱演&怪演が成立させ全力疾走する、今見ても楽しい90年代ハリウッド活劇。

善の時は違和感あるのに悪の時はやたら活き活きしてるトラヴォルタ
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

4.8

世間の抑圧や偏見をペニーワイズに集約させて(冒頭で犠牲になるゲイ役がグザヴィエ・ドラン!)、ホラーから離れてよりアッパーに心の解放を描く後編。ドサクサに紛れていつのまにかタンクトップ姿になってるジェシ>>続きを読む

マチネの終わりに(2019年製作の映画)

5.0

大傑作。今の日本の映画監督で最も『映画』を作れる監督って、やはり西谷弘監督だと思う。うまく言えないのだけど、「昼顔」に続きとにかく圧倒的に『映画』。
粗筋だけ読めばベタで世俗的に思える物語も、西谷組の
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蒼のざらざら(2014年製作の映画)

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14歳パートのリアルな切実感!『これを作らなければ生きていけない』という感覚がひしひしと伝わってくる。

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

これは脚本が良くない、というか正直『物語』自体が良くないのかな。原作未読なのでその辺りはちょっと分からないのだけど・・最も安直な方向に話が流れてしまったなと思うし、その中でも安直な部分を演出や脚色で強>>続きを読む

妻の秘蜜~夕暮れてなお~(2016年製作の映画)

4.7

鬼才・城定秀夫監督の過去作。ちょうど今ポレポレ東中野で特集上映開催中なので、この機会に是非足を運んでみて下さい。
夜中に暗い居間でひとり酒を呑みながら自慰行為をする義理の娘を目撃した老人が、自室に戻っ
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

4.3

決して駄目な映画ではないのだけど、傑作と言い切る事ができない。でも嫌いでは全然ない。

何といえば良いのか、2時間惹きつけ続ける『馬力』みたいなものが決定的に足りていない。それはそもそもの原作がこうい
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真実(2019年製作の映画)

4.6

近年の是枝監督作品らしく、全体的にロジカルにまとめようとし過ぎていると感じた。そんなに綺麗にカッチリ収めなくていいのに、せっかくのフランス映画だし人生なんだし。でもフランスの大女優を相手にいつも通りの>>続きを読む

ジェミニマン(2019年製作の映画)

3.5

3D+inHFRで鑑賞。
とにかく新技術以外の見所が無いのが辛い。脚本と演出はひたすら凡庸、そして『若いクローン=まだ人生の道を誤らずに済む自分』という解釈で1人の男の生き直しを描くその生真面目さが映
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スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)

1.7

流石にもう言い逃れできないと思うけど、上田監督もその周りの人達も『「カメ止め」をもう一度』という呪いに縛られている。だからこうやって強引な『意外な展開』の連続や無意味などんでん返しをやろうとする。
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.7

とても丁寧に作られた人間ドラマで良かった。生き霊の『しんの』というブッ飛んだ存在によって高校生のドラマと30歳のドラマとを連結・連動し、歳をとっていく事とまだ若くこれからである事の両方を肯定する感覚が>>続きを読む

イップ・マン外伝 マスターZ(2018年製作の映画)

4.7

ユエン・ウーピンの本編監督作と言われると「ソード・オブ・デスティニー」の時の殺陣は最高だけど映画としては微妙な印象があったので、正直今回大丈夫かなと思ってたら全然大丈夫!イップマン・シリーズ正史に劣ら>>続きを読む

トゥルース・オア・デア ~殺人ゲーム~(2017年製作の映画)

2.8

脚本も演出もマジでクソなんだけど、一気にスケールがデカくなるオチだけは「○○○」発展系的なトンチが効いてて良いです。
酒ラッパ飲みしながら屋根の渕を歩き切れるかどうかでサスペンス作ろうとする(下にいる
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.8

短い2つの案件を見せる間に主人公の現在の仕事や状況を描写する序章部分が既に手際良くて、何より水を見つめる主人公の表情にゆっくりとズームインしていくと彼が目に涙を溜めているあの長いショットで一気に引き込>>続きを読む

貞子(2019年製作の映画)

1.0

中田秀夫の監督の才能の枯渇というか映画監督としての自死を目の当たりにして唖然とした、端的に言って死ぬ程酷かった。これ観るなら珍品「貞子3D」で貞子軍団をボコる石原さとみ無双を観た方がいいですよ!

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向こうの家(2018年製作の映画)

4.6

あえて登場人物達の感情の激しい部分や暗い部分を突っ込んで描かないという事が個人的に少し歯がゆく感じた。
特に瞳子さんが人間的な暗い部分や彼女の苦しみや怒りがあまり描かれず完全に『概念』としての『大人の
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クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

4.7

冒頭でプール前に立つ主人公を捉えた数ショットを観て、ああ心情に寄り添える丁寧な映画だと安心した。

良かったのが主役の父娘の設定が『ちょっとスランプ気味?の水泳選手と最近距離のできた元コーチ』である事
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