カツマさんの映画レビュー・感想・評価 - 22ページ目

マザー!(2017年製作の映画)

4.0

本当は怖いお伽話を現代に蘇らせて、アメリカのキリスト教文化に激烈なミサイルを撃ち込む究極の宗教暗喩映画が爆誕してしまった。衝撃的という触れ込みにしては、あまりに非現実過ぎるストーリーはもはや怖くはなく>>続きを読む

マンマ・ミーア!(2008年製作の映画)

3.8

晴れ渡る空、キラキラと輝く水面。画面には美男美女の共演とABBAの大ヒット曲の数々がキラ星のように彩る、ミュージカル映画の大定番へと名乗りを上げた『マンマ・ミーア!』の一作目!リア充感満載のイメージを>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.0

似ている。本作の主人公クリス・カイルと肉体改造により軍人の身体を宿したブラッドリー・クーパーの姿はまるで生き写しのように似ていた。そのリアルな役作りが実話映画の名手イーストウッドの手により、命を吹き込>>続きを読む

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.6

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品のようにバラバラにされた時間軸を再構築し、一つの地点に集束していく日本版パズル系ドラマ。アラサー、ハタチ、女子高生、三世代の女性の生き方を現実的な視点を交>>続きを読む

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年製作の映画)

3.7

二重三重に張り巡らされた真相。モナリザのごとく美女のモンタージュが、北欧の凍てつく空気のように冷たい悲しみを呼び起こす、スウェーデンの大ヒットミステリ、ミレニアムシリーズの第1作目!
北欧産だけあって
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アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

4.2

GWをまるまる費やしたMCU予習シリーズの中でも特に自分の好みでどストライクだったアントマンの続編!アベンジャーズのような世界規模の戦いではなく、ちょっと冴えないお父さんが娘のためにヒーローになるとい>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

3.8

1995年当時、まだ10代半ばの自分にとって、この映画はややハードルの高さを感じさせる近未来アニメと言ってよかった。だが、今やその後の映像作家たちに莫大な影響力を与えたアニメ映画の定番として名声を博し>>続きを読む

シャッター アイランド(2009年製作の映画)

4.0

虚構と現実の合間に漂う幻惑の孤島。真実を追えば追うほど蜘蛛の糸のように絡まってくる過去の幻。全編にわたって無数に散りばめられた伏線が、ラストで一気に回収される本格派ミステリ作品だ。伏線の一つ一つがあま>>続きを読む

遊星からの物体X ファーストコンタクト(2011年製作の映画)

3.6

『遊星からの物体X』のリメイクでも続編でもなく、前日譚を描いたいわゆるビギニング作品!30年という月日の経過を感じさせないのは、『遊星からの物体X』のクリーチャーがそれほど時代を先取りしていたというこ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.2

手に汗握るとはこの事か!トム・クルーズがほぼノースタントで演じたという神がかり的なアクションシーンの連続にひたすら圧倒される150分!50代も半ばを過ぎたトムの映画への命を賭けるほどの想いが全編から漲>>続きを読む

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)

4.0

昔の友達と久しぶりに会った時、年甲斐もなくあの時代にタイムスリップしたような気持ちになってしまうのは何故だろう。あの日と同じような会話をして、バカみたいに笑って、次はいつ会えるか分からないのに『またす>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

3.8

SFスリラーと一言で言っても『エイリアン』の場合は人間vsエイリアンの構図が明らかだが、その構図に更に人間vs人間という疑心暗鬼に満ち満ちた要素を付け加えたSFサバイバルホラーの元祖がこの『遊星からの>>続きを読む

第9地区(2009年製作の映画)

4.4

そもそもSF映画の名作には宇宙人やエイリアンとの交流を隠れ蓑にした社会派作品が多い。旧ソ連時代のタルコフスキー作品などがその最たる例だが、この『第9地区』の舞台は南アフリカであり、同地で1994年まで>>続きを読む

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(2014年製作の映画)

4.2

我が家は両親が常に理想の夫婦像を体現してくれているので、この映画を見ているとまるで両親のいつもの会話を聞いているよう。自然体で言いたいことを言っていて喧嘩もするけどすぐ仲直り。最高に素敵なカップルだ。>>続きを読む

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

3.8

最新作フォールアウトの予習の仕上げとして、ミッションインポッシブルシリーズ5作目ローグネーションを鑑賞!
自分の中でこのシリーズはMI3で完結したと思っていたのに、先日鑑賞したゴーストプロトコルでまさ
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年製作の映画)

4.0

牧歌的な少女の日常は戦場の真っ只中だった。中盤から60分以上ヒリヒリと緊迫したシーンが続き、戦争の裏側にある政治的法的駆け引きに大胆に焦点を当てた作品だ。死のパーセント化は決断を後押しするための数値で>>続きを読む

ゆれる人魚(2015年製作の映画)

3.8

人魚といえばディズニーの人魚姫が思い出されるくらいにはメルヘンな印象があるが、これは全くの別物。ポーランド産、つまり本当は怖いおとぎ話。
人を食べる人魚が人間に恋をしてしまう、という設定に加えて、80
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少女ファニーと運命の旅(2016年製作の映画)

4.0

その境界線を越えるために子供たちは走り続けた。見渡せば同じような広大な大地、澄み渡るほどに青い空だというのに、ナチス占領下の大地はどこか薄暗く、中立国スイスの旗の揺らめきは何とも雄大だった。
子供目線
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ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

4.8

ジョゼッペ・トルナトーレが送るこの世の全ての映画好きへと捧ぐ至高の金字塔!映画とはこんなにも素晴らしいのだと、人生を賭して愛するほどの価値のあるものなのだと、この作品は教えてくれる。
エンリオ・モリコ
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エクスティンクション 地球奪還(2018年製作の映画)

3.6

Netflixオリジナル映画の中でもコンパクトなSFサスペンスには隠された名品が多い。この『エクスティンクション 地球奪還』も、B級映画の予感を漂わせるタイトルとは相反して完成度が高い力作だ。
何しろ
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.0

少し空きました。先週末フジロックに行っておりまして、その余韻で少々映画から心が離れてしまいましたが、何とか戻ってこれました。2週間ぶりの映画館での鑑賞はこの『ウインドリバー』です。

アメリカという、
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

3.8

ミッションインポッシブルシリーズ最新作を鑑賞するにあたり、すでに観ている1〜3に続くこの4作目から予習開始!MIシリーズってイーサンハントがソロで無双しているイメージだったのですが、この4作目はチーム>>続きを読む

ホンモノの気持ち(2018年製作の映画)

3.7

主演にユアン・マクレガー、レア・セドゥという非常に豪華なキャスティングに、更には『ロスト・エモーション』を撮ったドレイク・ドレマスがメガホンを取った近未来のラブストーリーがNetflixオリジナルムー>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

5.0

あるタイミングから完全にツボにハマってしまって爆笑に次ぐ爆笑!映画館でこんなに抜けの良い笑い声出したのいつぶりだろう!?終わってみたら驚異の伏線回収率!『そういうことか!』って声に出してるお客さんまで>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

3.0

『時をかける少女』から数えてついに5作目。細田守監督作品は全て映画館で鑑賞してますので、今作も初日チャレンジしてきました!

この作品はジブリ映画でいう『崖の上のポニョ』のポジションにあたる作品だと思
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12モンキーズ(1995年製作の映画)

3.9

この映画を見ると、ノストラダムスの大予言に代表される世紀末の世界終末論を思い出す。終末の日、空は深き灰色。心のどこかで最悪の事態を恐れていた。
テリー・ギリアムが生み出したこの作品の中では、世界を終末
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待ちきれなくて…(1998年製作の映画)

3.6

リチャード・リンクレイター監督の『バッドチューニング』やデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アメリカンスリープオーバー』に代表される高校時代の夜のホームパーティを舞台にした青春群像劇系作品の系譜に>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.5

ラストシーンが好き。それこそ涙が出るほどに。『さようなら』なのか『ありがとう』なのか分からないけれど、この映画は最後の最後まで優しくて温もりに溢れてた。大人になると色々なことを諦めたり、夢見た未来を過>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

4.2

大ヒットした『ジュラシックワールド』からキャストも物語もそのままに、監督には『怪物はささやく』『永遠の子どもたち』といった素晴らしい作品を連発してきたJ・A・バヨナを抜擢!
子供向けかと思えるほどショ
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走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015年製作の映画)

3.9

何故夕陽が沈む瞬間、あんなにも遥か遠くを眺めてしまうのだろう。夕陽の情景に終わりを見るかのように、心の何処かで漠然とした何かにサヨナラを言っているような気がする。
この映画全体から感じたのはそんな情景
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

4.2

ただ天国への階段を登っていく。片道切符の旅は明日なき暴走。天国への扉を叩いたらもう戻れない、それは人生で最後の旅立ち。
死を目前にした2人の男たちが海を見にいく、ただそれだけの話のはずなのに、ひょんな
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バベル(2006年製作の映画)

3.8

かつて人は神に近づこうと天まで届くほどの巨大な建造物を造ろうとした。そのことに神は怒り、人類が一致団結して神に刃向かうことの無いよう、共通言語をバラバラにして意思疎通の手段を分断してしまう。その聖書の>>続きを読む

父さんはオジロジカ・ハンター(2018年製作の映画)

3.6

悪の魔王から屈強な消防士まで、今年はジョシュ・ブローリンが八面六臂の大活躍だが、このNetflixオリジナルムービーではちょっと情けない頑固親父に大変身!父と息子のシンプルな再生ストーリーをコメディタ>>続きを読む

TAU/タウ(2018年製作の映画)

3.5

『HER』や『エクスマキナ』のように、AIとの交流を描くことでSF映画を他のジャンルと融合させ、全く新しい形の近未来的な作品を生み出すケースが増えてきた。HERならばラブストーリーとの融合、エクスマキ>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.9

エピソード4へと続くローグワンとはまた違うもう一つの道があった。ハンソロとチューバッカの出会い、ファルコンの登場。スターウォーズファンには嬉しいエピソードを盛り込みながらも、ハンソロが何故アウトローな>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.2

合成写真のように違和感のある白過ぎる影。写ってはいけないものが写ってしまっている感覚。燻んだ家族に落ちた一滴の墨はジワジワと少しずつ広がっていき、いつの間にか全ての笑顔をグチャグチャに塗りつぶしていく>>続きを読む