富士山さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

アナスタシア(1997年製作の映画)

3.0

最近ドン・ブルースさんの自伝を読んだので、参考として見てみました。ほぼロトスコープなのをしばしおいても、技術的な完成度は極めて高い、アメリカ手描きアニメの最後の輝きでした。作画と演出だけ見れば、同時期>>続きを読む

レッド・サン(1971年製作の映画)

3.0

聞いていた話だと、もっととんでも作品かと思っていたのですが、意外とまともな作品でした。カーボーイを中心に、軍隊や娼婦やインディアン、そしてサムライまで登場する何でも詰め込み西部劇です。しかし、みんなそ>>続きを読む

機動戦士ガンダムNT(2018年製作の映画)

2.0

ガンダムUCのオチもそうでしたが、ガンダムは作れば作るほど富野由悠季という人のすごさを際立たせているような気がします。ファーストリスペクトを匂わせても、実際にできる人はかくも少ないのかと。ガンダムがア>>続きを読む

ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)

4.0

なぜあのような絵がアートなのかもわからないし、なぜ営業マンではなく芸術家でなければならなかったのかもわかりません。アートの空虚さと男の見栄が軽いホラー感を醸し出して描かれています。史実は知りませんが、>>続きを読む

劇場版 ハイスクール・フリート(2019年製作の映画)

1.0

テレビシリーズがかなり微妙だったので、避けていたのですが、戦闘シーンが良さげだったの改めて見てみました。やっぱり酷かった。「ガルパン」下ドジョウ狙いなのは仕方がないにしても、劣化亜流が半端ありません。>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.0

なんか評判悪いみたいですが、近年の細田作品では一番好き。何よりも、シンプルかつありがちな設定とキャラクターで、見ている側にどう見るべきか考えさせないところが、久方ぶりにちゃんとエンターテイメントしてい>>続きを読む

DEEMO サクラノオト あなたの奏でた音が、今も響く(2021年製作の映画)

1.0

制作会社と監督に期待して見たのですが、ひどい。意味深なセリフともったいぶった展開を見続けるのは、苦痛でした。モデリングも動きも、基本的にゲームのイベントシーンレベルのクオリティで、お話はお手軽に感動さ>>続きを読む

グッバイ、ドン・グリーズ!(2022年製作の映画)

2.0

テレビアニメで活動されておられたいしづか監督のオリジナルの劇場作品、しかも脚本までということで見てみました。演出と作画は非の打ちどころのないものでしたが、物語が厳しかったです。はじめは、脚本家を立てた>>続きを読む

君の名は 第一部(1953年製作の映画)

3.0

映画産業史にとって不可欠な作品なので、一度は見ないといけないと思い。社会現象となった記録的大ヒット映画ということなのですが、むしろテレビやネットのような、時代の今に反応した即興的な作品という感じでした>>続きを読む

どん底(1957年製作の映画)

4.0

日本の古典映画を復習中。さすが黄金コンビなだけあって、企画や脚本もおもしろいのですが、白黒で引きの構図が多いのはちょっと不親切でした。密度の高いセットに多くの人が動き回るのに、濃淡の強い白黒画面ではと>>続きを読む

チョコレート・アンダーグラウンド(2008年製作の映画)

2.0

これを商業作品としてアニメ化したことは評価できるし、純粋投資案件の一例であるらしいということは興味深くもあります。しかし、娯楽作品としては演出的にはふつうすぎ、ストーリー的には教育映画臭い、微妙な作品>>続きを読む

アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

3.0

「戦場でワルツを」は2回見たはずなのですが、オチを覚えていません。こちらはアンネの日記が祀り上げられて、込められた内容も想いも無視されているというテーマもメッセージも明瞭で、忘れようのないものでした。>>続きを読む

鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)

5.0

「精霊の守り人」の正当な後継作品がついに現れたと楽しく見ました。今の日本のアニメ業界の、ということは手描きアニメにおける世界最高峰の作品となっているように思います。しかし、上橋先生の世界観を映画で描く>>続きを読む

SUSHI POLICE(2016年製作の映画)

3.0

昔から興味はありましたが、必要になって見てみました。一応エンターテイメントの体裁は維持していますが、教育映画的側面の方が強い作品でした。かつて農水省が言い出したというスシポリスを皮肉った作品ですが、各>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

3.0

黄金時代にいたるハリウッドの歴史が詰め込まれたような作品でした。有名な曲のシーンばかりが知られていますが、それは作品の一部でしかなく、本編はキャストの技巧とサイレント時代からの様式が散りばめられた、す>>続きを読む

やがて海へと届く(2022年製作の映画)

4.0

中川龍太郎監督の最新作ということで楽しみにしていました。そして、中川龍太郎作品でした。百合作品とは何かと聞かれたら、この作品をあげます。圧倒的に美しい浜辺美波さんは映画の中でも絵的な存在で、その神秘的>>続きを読む

フラ・フラダンス(2021年製作の映画)

2.0

作品が目的を持ったひも付き企画らしいこともあって、どうしようもない教育映画臭。ありがちな設定のキャラを5人並べて、お仕事、恋愛、家族、ファンタジーの無難なところを詰め込み、地域ネタさえあればいいという>>続きを読む

岬のマヨイガ(2021年製作の映画)

2.0

原作持ちなので、必ずしもアニメの責任ではないかもしれませんが、まったくの心に残らない作品でした。アクション・ファンタジーの側面が目立たないこと。社会性や教育性に重きが置かれており、物語が平板な事こと。>>続きを読む

吉原炎上(1987年製作の映画)

5.0

迫力がすごい。世界観の密度を高め、説得力を維持するために、半端ないこだわりを感じます。どうしても作り込み切れない部分もありますが、今では考えられない手作りのこだわりによるアナログの画面作りと、体当たり>>続きを読む

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.0

監督目当てで見てみました。まあ、これと言って悪いこともないけど、心に残る名作かと言うとそうでもない。ちゃんとカタルシスが用意されているのですが、何か強く訴えるものがあるのでもない。今の日本映画らしいさ>>続きを読む

漫画誕生(2018年製作の映画)

3.0

北沢楽天を主人公に映画を撮ったというだけで、もうかなり高評価です。ここに目を付けて、実際に完成させたのは、マンガへの深い理解を広めるという意味でも、すごいことだと思いました。しかし、その分、内容は伝記>>続きを読む

カツベン!(2019年製作の映画)

3.0

悪くないけど、この安っぽさはなんだろう。コメディだからこそ説得力に配慮しないといけないように思いますが、お話にはリアリティがなく、画面の密度が低い。監督は忘れられた日本映画史の一時代を描くみたいなこと>>続きを読む

カラミティ(2020年製作の映画)

4.0

フランスでも、視聴意欲を削ぐ思想映画ばかりでなく、このレベルの娯楽作品もできるのかと楽しく見ました。説教臭いフェミニズム映画でなくてよかった。CG主流の世界的潮流の中で、デジタルでも手描きらしいのが心>>続きを読む

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)

3.0

本編よりもスタッフロールのイラストスライドの方がストーリーを魅力的に描いているという微妙な作品でした。最後まで見ると、キャラクターがダメな訳でなく、設定がダメな訳でない、作品にそのポテンシャルがない訳>>続きを読む

宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章-STASHA-(2022年製作の映画)

4.0

一番好きな「新たなる旅立ち」がリメイクされてうれしい限りです。デスラーとガミラスが主役で、ヤマトが敵を皆殺しにする基本線とは一線を画す、コンテンツ深化の可能性を象徴した作品です。五月雨式で行き当たりば>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.0

記念すべき「スターウォーズ」第一作。子供の頃に見たはずでしたが、デススターの爆発しか記憶になかった・・・。かぐわしいB級映画感、甘い構成による唐突展開、一見さんにはキツイ説明不足と、のめり込んて見る魅>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

5.0

実写でもできる事をアニメでやるのは日本の専売特許だったはずが、ついにアメリカが本格的にやり始めた。そんな話を聞いて、興味を持って見てみました。そのとおりでした。しかも、アメリカ的なおもしろさにちゃんと>>続きを読む

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

3.0

あまりにベタで見るのがツラかった。でも、こんなにラストが思った通りのベタ作品でも画面の密度を保ち、少しでも新しい何かを加えてくる韓国映画の底力と丁寧さを痛感しました。セットや小道具には細部へのこだわり>>続きを読む

サマーゴースト(2021年製作の映画)

2.0

制作背景をよく知らないのですが、アニメ産業外から参入してちゃんとした作品を作っただけでもすごいことだと思います。しかし、あくまでちゃんと完成しているからすごいにとどまります。青春迷子にホラー風味を加え>>続きを読む

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

5.0

タフなイメージのラッセル・クロウがジョン・ナッシュというのも違和感がありましたし、はじめは随分陳腐な演出だと感じて、B級伝記映画だったのかなと思いました。しかし、後半すべてが裏切られ、なるほど評判が高>>続きを読む

弁護人(2013年製作の映画)

5.0

背景云々を抜きにしても、娯楽映画として完璧な構成。自分の力でのし上がったけれども、人情に厚いが知的で、家族想いな主人公。自分のまわりしか見てこなかった彼が、衝撃的な出来事で社会に目覚め、持ち前の熱い想>>続きを読む

100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

5.0

炎上問題でミソをつけましたが、少なくとも映画はとてもよかった。地味なのがコンテンツのイメージとも合って、映画化の成功例のひとつと言ってよいでしょう。アニメスタッフに湖川さんが入っているのも驚きでしたが>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

4.0

ふつうのドラマとはちょっとずれた日常作品が魅力な今泉監督が、オタクものを作っていると聞いて、見てみました。よかった。青春は夢だったよね、みんなオトナになるんだよね、という当たり前のオチとはちょっと違う>>続きを読む

るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

5.0

とても良かった。特に巴さんについては、細かく言えば文句もありますが、マンガ・アニメの実写化で稀に見る成功例だと思います。これまではアニメ版のファンでしたが、映像化と言う意味ではこちらの方が完成度が高い>>続きを読む

映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)

3.0

なんだか話題に上ることが多い作品でしたが、すくなくともアニメはふつうのスタジオ4℃の作品です。閉塞して、自足したコミュニティを打ち破って、困難でも自由を、というテーマはSF作品でしばしば見られるもので>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.0

原作も実写も未見ですが、重いテーマを扱いながら、詰めの甘さを感じます。丁寧に作れば作るほどコストかかるアニメでは、背景のない単発作品で、ある程度以上の規模の劇場作品の中で尖がった表現や論争的なスタンス>>続きを読む