kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.5

今年最後の鑑賞。
台詞回し含めて今の皆がよく知る黒柳徹子とトットちゃんの一貫性に驚いた。
子供らしく無頓着に垣根を乗り越え懐に入ってしまうが、優しい心根が他者に寄り添う。
二人で木に登るシーンが出色で
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

夜の闇と朝の光の映画。
繰り返す日々の最後に混沌の夜はやってくる。
夜ごとみる夢は、ヴェンダース作で見られる空虚に彷徨うイメージのコラージュで表現される。迷宮を抜け目覚め嬉しそうに空を見上げるのだが、
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三人の名付親(1948年製作の映画)

4.0

小編ながらフォードらしさに溢れた佳い作品。
追われる三人だけではなく、追う方である人情味たっぷりのウォードボンド演じる保安官も魅力的で、貯水場の酒場のオカミさんとの絡みとかアメリカンな大らかさで見てる
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

2.5

クリスマスから大晦日にかけて、小さな奇跡が積み重なり大きな奇跡が起きるお話し。
急展開に次ぐ急展開は楽しい。
奇跡を呼ぶ核になるのは、まだ帰る場所がありそうな二人ではなく、天涯孤独のハナさんであるとこ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

孤独な二人がお互い求め合いながらすれ違う純愛物語で、オフビートな味わいは健在ながら案外直球勝負。
孤独な暮らしの中、ラジオを点けるとウクライナ情勢が流れるなど監督の怒りがこれも直球で表現される。
久々
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春画先生(2023年製作の映画)

2.5

地震の絵を引き金に、和とエスニックが融合した音楽に煽られるように僕達は不可思議なエロスの迷宮に迷い込むことになる。
タイトルの文字が半分身を隠してこちらを伺うような見せ方にクスっとさせられるが、電話越
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.0

肩で息をしながら司令官自ら乱戦の中に踏み込んでいき、最前線で指揮し局地戦を制していく。息をするように連戦戦勝を重ね皇帝にまで上り詰める戦術の天才をホアキンが陰鬱に演じるが高揚感は全くない。
妻ジョゼフ
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悪魔をやっつけろ(1953年製作の映画)

2.5

ヒューストンの小品はとにかく楽しい。
骨格は初期作マルタの鷹同様、間抜けな悪党達に対して、頭の切れる小悪党のボギーが引っ掻き回し、2人の美女が彩る。
閉鎖された空間を目一杯使って、大佐が襲いかかってく
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キー・ラーゴ(1948年製作の映画)

3.0

お得意の閉じた空間に閉じ込められるのはお馴染み悪党どもと我らがボギー、そして今作は気丈で可憐なバコールだ。
脚本、照明、撮影、そして演出を総動員していかに彼女を美しく撮るかに命をかけている。
ボギーの
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

2.5

髪フリ乱し、アンジェラアキみたいな菜々緒に見惚れた(決してアンジェラの髪がボサボサだと言っているわけではありません)。
しかも我らが渋川清彦が相棒で、バディムービーとしても大いに楽しめた。
あざといと
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生きちゃった(2020年製作の映画)

2.5

監督作中にあって、異色中の異色。
脱臼技はもちろん、笑いは一切ない。
かけ違ったボタンはゆっくりとカタストロフィに向けて崩れ落ちて行く。
盟友である太賀、そして若葉竜也を追い込み、極限までセリフを削ぎ
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町田くんの世界(2019年製作の映画)

2.0

町田君のキャラは関水さんの気持ちを思うとなかなか酷いもので、最後まで1ミリも共感できず観るのやめよかなのレベルなんだけど、酷いまま貫き通した末、なんと最後の最後にエモーションが爆発するのだ。この辺りは>>続きを読む

(2023年製作の映画)

1.5

うーんどうかなー。
秀吉三人衆は面白かった。アドリブなんやろなー、ノリノリの大森に、少し引きながら妙に楽しそうな浅野忠信。
中村獅童視点も面白いと思ったけど、全体に散らかった感じは否めない。
これは観
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.0

今作もええねー、力のある作品だ。
まず再開したばかりの銭湯の描写。タイルを一生懸命に磨き、ぶっとい薪をごとっと炉にくべ、一仕事終えた真木と井浦が壁一枚隔てて湯に浸かり一息つく。番台のおばちゃん、復帰を
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ハラがコレなんで(2011年製作の映画)

1.5

粋と人情と風まかせ。風向きが悪い時は寝てやり過ごす。石井さんらしいキャラ設定でゴリゴリ進むが、全く内省が無いこともあり、胸焼けしてくる。
北海道の大地で繰り広げられる絶叫劇になだれこむ頃にはもう食べれ
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あぜ道のダンディ(2010年製作の映画)

3.5

静かな映画。
幼馴染との、そして父と子との深い深い絆を静かに誠実に描く。けどそこは石井さん、
ここ一番で脱臼ネタを放り込む。
妻の最後の声が、兎のダンスで二番まで歌ってしまう。
いちばん泣けるシーンで
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

成功率100%のニヒルな殺し屋が緻密に準備して息を止めて集中して、どうにでもなれクソッタレ!と引き金を引くと、、、、
っていきなり失敗かい!

クールなようで粘着質で、恋人を狙った奴どころか運ちゃんま
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

2.5

最初、主演女優のコンスタンスルソーの目が泳いでいることに異様なものを感じた。果たしてこれは監督のディレクションなのか、病気的なものなのか、緊張しているだけなのか。最初から彼女の登場するシーンはピンと張>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

面白かった!
ゴジラはどこまでも凶悪で熱戦を吐く姿は禍々しい。浜辺さんは美しく戦場に咲き、拗れた神木君を支えるヤンチャな面々、そんな神木君は闘いを通して一歩前に進む。
爽やかに泣いたー

正欲(2023年製作の映画)

1.5

こりゃまた難しいテーマに挑んだものだ。
フェチズム。生命を持たないものに対して性的興奮を感じる。しかも対象は水である。
これをなんと映像と音で表現するのだが、清廉で躍動感が溢れてしまう。神秘的に表現し
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Seventh Code(2013年製作の映画)

2.0

あっちゃんが異国を彷徨うモチーフは後の「旅の終わり世界のはじまり」に繋がる。
「旅の終わり」では虚無を纏い、今作では登場から狂気を孕んでいる。さらにラストはびっくり仰天で、瞬時にあらゆる世界にコネクト
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リアル 完全なる首長竜の日(2013年製作の映画)

2.0

前半で、黒沢の世界観を満喫できる。この人の画はほんとに怖い。フローリングに無機質に転がる死体、棒読みの台詞、目の焦点があってない。薄汚れた白い壁、まがりくねったこれも白い病院の廊下に突然現れる中谷美紀>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.0

これは大好き。リップヴァンウィンクル
と同じくらい好き。
どちらも無力な主人公が巻き込まれ無力に不思議の国を彷徨うことになる。
今作は忍成修吾演じる星野君の悪魔のようなキャラが魅力的で、沖縄で溺れて臨
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

僕的にはスコセッシの最高傑作!
沈黙でも同じことを言ってた気もするが^^;
とにかく濃密で幸福な3時間半だった。
デカプリオ、そしてデニーロの外連味たっぷりのアクトが堪能できる。何言ってるかわからない
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

2.0

小さくまとまらず勢いで押す方の石井さんだった。前半引っ張りにひっぱった松岡さんが後半存在感を消し、代わりに佐藤浩市と池松君がひっぱるが、とっ散らかりすぎて感情の置き場がないままにドラマが走り出し追いつ>>続きを読む

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)

4.5

「茜色」のほとばしるエネルギーが忘れられず、僕がこれまでに観た石井作品「舟を編む」や「夜空はいつも…」や「月」などでは見られなかったのだけど、どちらが芸風なのだろう?と興味本位でメジャーデビュー作から>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

4.0

日本映画史に残る傑作でも何でもないけれど、大大大大大大大好き!
善人面したヤカラが薄ら笑いを浮かべ、一生懸命生きている人達を搾取しノウノウと生きる。一方で我らがヒロインは貧乏ゆすりしながら怒りに耐え、
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(2023年製作の映画)

3.0

アーティストは描く対象に向き合いながら、自身の内側のエゴや欺瞞、人間の根源的な業と対峙し、自問自答しながら、作品を産み出す。まさに修羅の道である。
今作、監督の作家として修羅の道を行く覚悟がヒシヒシと
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キリエのうた(2023年製作の映画)

1.5

時間軸と物語を一旦解体し、各ピースを全編手持ちでゆっくりズームしながら追い、画角を変えた絵で繋ぎリズムを生み出すタッチは心地よい。関西編での黒木華の情の深い教師役が素晴らしい。
ところが一番大事なピー
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アカルイミライ(2002年製作の映画)

4.0

連なる不良達の映画。 
オダギリの兄貴分の浅野忠信、オダギリにつるむマツケンたち。こうなるとオヤジはもう藤竜也しかおらんやろ。
皆一様に不器用で世間と折り合いがつかずゴツゴツぶつかる。当然居場所は無い
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回路(2000年製作の映画)

4.0

冒頭から赤色がシンボリックに散りばめられ、恐怖の色として脳裏に刷り込まれる。いよいよ赤いテープが貼り巡らされた開かずの扉が画面いっぱいにギギギと開きその向こうにぽっかり闇が広がる画にサブイボ(鳥肌の関>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

1.5


世界の法則と個人の自由という呆気ないほどシンプルなプロットの元物語が進むが、広がる枝葉は複雑怪奇な迷路になっている。
で、途中で考えるのをやめて監督の盟友たちの怪演、饗宴を楽しんだ。
廃墟の中に浮か
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くるりのえいが(2023年製作の映画)

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潮騒の音が聞こえてくる伊豆の合宿所のようなスタジオにこもりセッションを重ねて曲の構想を練る様子をじっくり撮る。
メンバー達のバンドの原点に帰ったかのような素朴な笑顔が素敵だ。
In your life
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ニンゲン合格(1999年製作の映画)

3.5

大傑作Cure から一転、オフビートでそこはかとなく可笑しく暖かい。がそこは黒沢さん、大団円の人間讃歌的な予定調和に甘んじない。
それぞれの居場所は修羅の道の果てにこそあり、自ら見出すものであることを
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CURE キュア(1997年製作の映画)

5.0

四半世紀ぶりに観直して改めて思う、世界の黒沢の最恐かつ最高傑作であることは間違いない。
廃墟のような建物、病院の佇まい、カビた部屋の壁、そして奥行、ゆっくり暗くなっていく照明、取り込まれていくデンデン
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

2.0

地下の血生臭い棲家、そしてお馴染みの透明のカーテンが既にキーアイテムになっており、歪んだ空間造形に一役買っているのに驚いた。
方向性の見えない前半はどうなることかと思ったが、昭和美人クノさんの魅力と大
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