くさむすびさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.9

登場人物全員どこかしらズレているのだが、明確なツッコミ役を置くわけではなく、皆がツッコミに回っていたりしていたからこそ各々のキャラクターを好きになる映画になったと思うし、バランスの取れた会話劇が成り立>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

3.8

『最後まで行く』や『ありふれた悪事』みたいな韓国映画の警官汚職誤魔化しムービーの感じが出てて好きだった。しかし逃げ切れるかどうかのスリルを軸に据えるのではなく、警察としての正義はどこにあるのかを描いて>>続きを読む

先生!口裂け女です!(2023年製作の映画)

3.2

結構好きだったけど、映画の出来としてはイマイチなので本当に惜しい。
令和の時代に口裂け女を描くのにはそれ相応のアイデアと理由が必要な訳で、その面は余裕でクリアしていたんだけど、それ以外の部分が既視感に
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ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)

2.0

イ・ジョンジェに続きチョン・ウソンが監督デビューしたわけだけど、期待しすぎたせいか面白くなかった。
前半はまだ良い。暗い部屋での希望の見えないやり取りや、カン理事の中々着火しないライターなど手堅い演出
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福山市長に1日密着してみた(2022年製作の映画)

2.8

もうパラレルワールドの『コワすぎ!』工藤Dだった。「地方行政を担っている人々なんて誰も知らないでしょ」みたいな風刺的要素があり、福山市という規模感だからこそ実現した企画でもあるが、いかんせんリアリティ>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.7

『ファースト・カウ』も爆睡し、今作も見てる間眠くてしょうがなかったので、「やっぱりケリー・ライカート作品は肌に合わないかも」と思いつつも、後半に行くにつれて好感度が上昇していく映画だった。
笑える場面
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.5

原作未読。完全に舐めてた。激しいアクションの応酬、落ち着いた所で見せる杉元とアシリパの緩い掛け合いの緩急の付け方は『ベイビーわるきゅーれ』1作目を想起させられる。その落差が見ていてとても楽しいし、キャ>>続きを読む

MANRIKI(2019年製作の映画)

3.2

『チャンスの時間』の最新回を見てから永野熱が自分の中で高まってしまったので鑑賞。難解そうでありながら、劇中に理解の一助となるフックは少なくなく、理解できそうだけどやっぱり理解できない。2部構成になって>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

2.0

コメディという触れ込みで見たからか、笑えるシーンがほとんどなく、事件を取り巻くイザコザをシニカルな目線で映し出すのを期待するも見れずで残念だった。退屈はしないんだけど、どこをどう面白がるべきなのかが本>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

3.6

映画自体が徹頭徹尾、主人公のしつこい性格を活かしたものになっているのが良かった。中盤のロマンスや飛行機が突撃してくるイカれたシーンはやや冗長に感じてしまったけれども、真相が発覚してからはテンポ良くあっ>>続きを読む

VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)

2.6

世界観は素晴らしい。死の香りしか漂ってこない退廃的な近未来の雰囲気、禍々しさを放つ奇怪なビジュアルの生物たちはユニークで魅力的。だけど、肝心のお話が面白いと思えなかった。ストーリーの進み方も異常に遅く>>続きを読む

アリバイ・ドット・コム 2 ウェディング・ミッション(2023年製作の映画)

4.4

作品ごとに映画作家としての進化を遂げているフィリップ・ラショーだけど、今作も腕を上げたなと思わせるような一作になっていた。
序盤は正直期待外れかなと思った。前作のあのラストからどうやって関係を修復させ
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

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映画として面白いし、なるべく多くの人に見てもらいたい作品ではあるけれど、命懸けで脱北しようとする家族たちのリアルな行程を易々と楽しんで良いのかという葛藤が後半生まれてしまったので、評価は一旦保留。
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

想像以上に良かった。声変わりしていって段々とソプラノの声が出せなくなっていった聡実、ヒモをやっていたけどヤクザになった狂児、自分の音程に合わないのに無理して歌おうとする『紅』、皆で力を合わせて歌う合唱>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.3

自分はまだまだひよっ子なんだなと思わせるくらい後半からは刺激の強い映像のラッシュで、安易に再生ボタンを押してしまったことを後悔する。でも最後にタイトルが出てきた時の解放感はどの映画でも代替不可能に思え>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

なんとなくまだ未見の『哀れなるものたち』のあらすじと併せて考えるに、今作からヨルゴス・ランティモス第2章がスタートした感じがする。
『ロブスター』みたく遠回りしながらもサラとアンの愛の話に帰着していく
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

続編だが、新しく頭角を表すキャラクターはほぼ0。強いて言うならブラックトライデントに宿っているコーダックスがいたが、彼も語りかけるのみで中々実態を表さず、出てきたと思ったらあっけなく散っていく。そして>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ここまでランティモス作品を3本見たが、何となく"異常な世界を異常とも思ってない人間たちを主軸に据えて描かれるストーリー"というのが共通しているなと思った。今作だと、皆動物になるのを恐れていないし、そも>>続きを読む

シャクラ(2023年製作の映画)

3.8

自分は結構好きだった。寝不足なのもあって、怠いドラマパートは寝そうになったが結局寝なかったのは要所で見せるアクションの快楽性の高さが起因していると思う。
リアル志向の戦闘ではなく、超人的なワイヤーアク
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愛欲のセラピー(2019年製作の映画)

2.3

『落下の解剖学』予習。
セラピストと小説家という、ある種他人の人生を俯瞰で見る職業を通じて写していく人間模様と、その体験に重ね合わせて自分自身の人生を見つめ直すストーリーは大変興味深いが、お世辞にも面
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.0

想像以上に笑えるシーンが多かったけど、物足りない。もっと時間を取って見たかった。河井青葉の演じる永子の行動原理が理解しかねる感じなのは濱口作品っぽい、脚本書いてないけど。

THE COCKPIT(2014年製作の映画)

3.5

素人目には分からない楽曲制作のトライ&エラーの繰り返しを劇的に見せることなく時間が流れていくが、不思議なことにラストは拍手したくなるような感動が待っている。この後味は唯一無二。

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.7

『聖なる鹿殺し』と同じく家父長制がテーマとなっているが、そこに指導や教育、抑えきれない欲望と好奇心といった味付けが上手くハマっていて、自分はこちらの方が好みだった。途中までは面白くないのが惜しいけど、>>続きを読む

エンドレス 繰り返される悪夢(2017年製作の映画)

3.4

主要登場人物誰一人として共感できないので、終盤までのドラマには「どうでもいいな〜」と思いながら全く心動かされなかったんですが、ユ・ジェミョンの演技が素晴らしくそれに釣られて泣きそうになる。タイムループ>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

2.5

生理的嫌悪を訴えてくるような不快なシーンが多く、性格の悪さが伝わってくるのは良い。けれどもマーティンの人間性や詳細な情報を描かないのはともかくとして、呪いに具体性がないのが気になった。その疑問が結局晴>>続きを読む

エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

退屈はしなかったけど、『エクスペンダブルズ』シリーズが凡庸なアクション映画に成り下がってしまったのがとてつもなく残念。このシリーズってアクションスターの共演と対決が見所だったのに、今回はイコ・ウワイス>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.3

原作予習して鑑賞。お笑いファン、邦画ファンは必見。元々ツチヤタカユキ氏はオードリーのオールナイトニッポンでハガキ職人として活躍してる所を若林に声をかけられて構成作家見習いになった経緯があって、それが今>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.7

初アキ・カウリスマキ。終始、愛があるんだか無いんだか分からないラブストーリーが淡々と繰り広げられるが全く中弛みすることなく、コンパクトに纏まっている。空気感に馴染むのに時間はかかったものの、一度入り込>>続きを読む

激怒(2022年製作の映画)

3.5

正義のための暴力は許されるのかという話だが、類似したテーマを扱った作品の中ではかなり分かりやすく製作者の思いが伝わってくる。昨日見た『M3GAN』と同じで深間が覚醒するまでの前振りが長いなとは思いつつ>>続きを読む

シーフォーミー(2021年製作の映画)

3.3

視覚障がい者の主人公ソフィと彼女を遠隔でサポートするFPSゲーマーの話なのだが、『ザ・コール』みたいにプロが指示する訳でもないのが今作の特徴であり面白さだと思う。徹頭徹尾バディムービーにして欲しかった>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.1

『チャイルド・プレイ』の焼き直しかとてっきり思っていたが、知能の高さと可動域の広い機体が良い感じに気持ち悪さを演出していて、新たなホラーヒロインの誕生を予感させた。AIなのに、やたらと感情をこちら側に>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.7

過保護な親だったり居心地の良い地元だったり、様々な依存から脱却しようとするドラマだったのが意外だった。加えて積極的であることの害悪さみたいなものも描かれていて、マディがプロムに乗り込むシーンとか終盤の>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.6

オストルンド監督らしいシニカルな目線とブラックな笑いは鳴りを潜めていないが、分かりやすさや直接的に描かれるものが今作は目立っていて、物語中に起こる出来事に驚いたりすることができなかった。ただ、映画とし>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.5

見逃した2023年新作映画追い込み週間②
題材の力強さだけではなく、映画としての面白さが今作には詰まっている。編集のスピード感が飽きさせず、特にローラがパメラという人物から電話がかかってきた後にジョデ
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アンブッシュ(2021年製作の映画)

2.3

従来の映画なら終盤に出てきそうな「敵に無くて俺らにしかない武器は仲間との絆だ」みたいなセリフや、死を悟った兵士がかろうじて繋がった携帯を使い家族に電話するなどと言ったものを序盤に持ってきている構成の斬>>続きを読む

ヤジと民主主義 劇場拡大版(2023年製作の映画)

4.3

自分がドキュメンタリーを見る前の心構えとして、作中で描かれるものはあくまでも一側面でしかなく、主義主張は鵜呑みにしすぎないというのを念頭に置いているのだが、それにしても今作で登場する道警の対応は明らか>>続きを読む