めしいらずさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

あの日のオルガン(2019年製作の映画)

2.0

戦火が迫る東京から園児を親元から預かり埼玉の片田舎の廃寺へ疎開させた保母たちの日々の奮闘を描く実話ベースの物語。戦時下の厳しい食糧事情と一部の村人からの白眼視。親を恋しがって夜尿を繰り返す子ら。子ども>>続きを読む

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

3.4

初めて赴任した教区の村で、村人の為だと信じて彼らの私生活やいざこざに積極的に口出しし疎まれていく若き司祭。彼が日記に胸の内を吐露するモノローグによって物語られる。村人は品行方正とは言い難いけれど、司祭>>続きを読む

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)

3.9

没落していく船場の名家の四人姉妹と、彼女らを取り巻く男たち。三女に次々舞い込む見合い話を軸に一家の春夏秋冬が綴られる。姉妹は誇り高くかつての栄華にしがみつき未だ浮世離れしていて、実生活の何たるかを今ひ>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

4.1

地球外生命体とのファーストコンタクト。彼らが人類に届けに来たメッセージとは。表意文字。円環する言語。円環する時間感覚。時間の概念が人類と違う異星人には、過去に起きたことも、未来に起こることも、今起きて>>続きを読む

海がきこえる(1993年製作の映画)

2.5

高校時代。転校生に対するささやかな感情のざわめき。あの時には特別な気はないと主人公は思っていた。でもあの感情は実は恋心だったと振り返った今ようやっと気づく。あの子からの些細なシグナルを主人公は見誤る。>>続きを読む

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

3.5

思想家ハンナ・アーレントのことは寡聞にして知らなかったけれど、物事の本質を見極める客観的視座といい、理路整然と思考を言葉に変換する明晰さといい、周囲の雑音に決して流されない強固な意志といい、求心力の強>>続きを読む

悦楽共犯者(1996年製作の映画)

3.7

人には言えない性的嗜好。人の中にある性的妄執。それを快楽で満たそうとする六人の男女が、自分なりに手ずから編み出した自慰の作法に耽溺するうち、やがて個々の境界線を越え、一つの共犯関係が浮かび上がる。より>>続きを読む

スライヴ(2011年製作の映画)

3.3

人は小さな嘘を糾弾するのに、大きな嘘は疑いもしない。子供染みた陰謀論だと一笑に付してしまう。ここで語られる世界の成り立ちを十分に理解できたとは言い難いけれど、無下に否定できない迫真性がある。感想を書く>>続きを読む

E.T.(1982年製作の映画)

2.5

小学校低学年の時分に大流行りしていたのも懐かしき作品を今更ながら初鑑賞。ストーリーも名シーンもあまりに有名過ぎて、初鑑賞である筈なのにまるで久々に再鑑賞したかのよう。個人的には普通によく出来た映画と言>>続きを読む

フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

2.2

ロドリゲス監督、タランティーノ脚本の盟友コンビの映画。強盗殺人犯が人質を取りながらメキシコを目指す逃走劇調の前半から、メキシコにあるバーでバンパイアと対決する羽目に陥る後半へ、物語がガラリと転調するヘ>>続きを読む

海底王キートン(1924年製作の映画)

2.7

ドタバタ劇が抜群に面白い。男女を乗せて漂流する船。絶妙なタイミングのすれ違い。幽霊騒ぎ。海底散歩。人喰い人種との遭遇。潜水艦による救出劇。ただドタバタに比してストーリーに展開があまりなく、短尺の割に少>>続きを読む

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.3

ドイツ語圏オーストリア出身のユダヤ人映画監督フリッツ・ラングがアメリカへ渡り後に撮った。これが第二次大戦下に作られた意義の大きさ。ナチスへの強い憤りと決して屈しない民の崇高な精神を感じさせる。ナチス占>>続きを読む

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

2.7

敵軍に連れ去られたガールフレンドを追いかけ取り戻し、今度は追っ手からスタコラ逃げる逃げる。キートン自身による列車を駆っての派手な立ち回りに加えて、映像のスペクタクル感も凄い凄い。見せ場の多い映画だった>>続きを読む

3-4x10月(1990年製作の映画)

3.1

ヤクザ相手に刺すか刺されるかの命を賭した喧嘩コントを繰り広げるような映画。静かで奇妙な吸引力がある。ぼんやりしているのに時折危ういことをやらかす主人公柳ユーレイ。破茶滅茶なビートたけし。主人公を心配し>>続きを読む

祝宴!シェフ(2013年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

漫画っぽくデフォルメされた語り口が面白い。基本的にコメディだからお話が出鱈目だったり表現が誇張されたりおふざけだったりするのもアリ。お気楽にただ画面を眺めている分には楽しげであるからそれでも良いのかも>>続きを読む

Summer of 85(2020年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

凡百のありきたりな恋愛もののカップルを男性同士にすげ替えただけの映画。展開が安っぽい。特に喧嘩別れした彼氏を追いかける途中で事故死するなんてのは…あの母親の描き方は…ごにょごにょ。ゲイであることを公言>>続きを読む

魔女の宅急便(1989年製作の映画)

4.3

自分の足で立ち生きて行く。自分で決めた出立。そう決断しやり始めたのなら諦めずにやり通さなければならない。少女キキが魔女修行をしている間に人間として成長して行く。親元を離れたからには自分の身の回りのこと>>続きを読む

マイ・プレシャス・リスト(2016年製作の映画)

2.7

5つの課題(主人公の大切なリスト)
 デートに行くこと 
 友達を作ること
 誰かと大晦日を過ごすこと 
 ペットを飼うこと 
 子供の頃好きだったことをする
❇︎人と会って有意義な関係を築く=幸せへ
>>続きを読む

Candy.zip(2017年製作の映画)

2.2

この作者にはどうやら質感へのこだわりがありそう。少女漫画趣味的な世界観にグロテスクなモチーフの合わせ技。アリの暗躍。

あたしだけをみて(2016年製作の映画)

2.6

まさにタイトル通り。スマホをいじってばかり、他の女子に目移りしてばかりのボーイフレンド。ガールフレンドが一生懸命に話しかけているのに心はそぞろ。彼女の目が眉がだんだん吊り上って怖くなっていくのは致し方>>続きを読む

ギルガメッシュ/小さなほうき(1985年製作の映画)

2.2

語れるところはありませぬ。ただ今まで観た中では観やすい方かも。

追想(1975年製作の映画)

3.2

如何にもメロドラマっぽいタイトルで損をしている(原題は”古い銃”)と思わせるような、メロドラマの甘ったるさとは無縁の如何にもロベール・アンリコらしい硬派な復讐劇。厳しい戦況で田舎の別荘に疎開させた妻子>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

3.7

コメディっぽさを含みつつも極めて深刻な難民問題を扱った意欲作。内戦の故郷シリアから逃れた青年が幾つかの国を経てフィンランドに流れ着く。彼が見てきたのは右傾化した各国の政情。自国の利益を優先し困っている>>続きを読む

双頭の鷲(1947年製作の映画)

2.8

コクトーが自身の戯曲を映画化。だからか舞台劇を観ているような感覚がある。詩的な台詞回しがコクトーならでは。お得意のトリック撮影によるマジカルな映像がないのはやはり寂しい。途中何度か寝落ちしてしまったの>>続きを読む

エディット・ピアフ愛の讃歌(2007年製作の映画)

2.3

「私は何ひとつ後悔していない。私に起きた良いことも悪いことも私には同じこと」。ピアフ役のコティヤールの熱演が光る。伝記映画であるからあるいは仕方ない部分なのかも知れないけれど、主人公の半径3m以内で物>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.5

精一杯いまを享楽的に生きようとしているのに、何故だろう、心がどうしてもそうなり切れない。社会性や自立心、人間関係のこと。親に対する思いの変化。成人しても子供っぽい時間を過ごしてきた若者たちが、いよいよ>>続きを読む

白い朝(1965年製作の映画)

3.2

パン工場で共に働く数人の若い男女が、車一台を駆って夜の街へ、遠く海へ飛び出していく。今を、この刹那をただ愉しみたい。カレーも、ボーリングも、ダンスも、車の故障だって愉しい出来事。そして異性との付かず離>>続きを読む

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

3.3

男は傑物か、あるいは怪物か。隅々まで効率化した画期的なシステムを考案し実現させた本当の創業者マクドナルド兄弟が、そのやり方に天啓を感じて強引に参入してきた男クロックによってやがて乗っ取られ、遂には完全>>続きを読む

パパ喝(2019年製作の映画)

1.5

パパ活女子をじかに取材しようとした脚本家が、相手のパパに叱られた後で意気投合するお話。ひねりがなく面白みもない。カラオケでのパパパパーパパー♪がちゃんとハモってたのだけが印象に残った。

スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)

2.5

たくさんの子供が死んだスクールバス転落事故。我が子を亡くした親たちや関係者を訪ねて回る弁護士は事故のことを蒸し返し、癒えようとしている彼らに怒りを焚きつける。事故の根本にはきっと社会悪がある筈だから一>>続きを読む

ペイル・ブルー・ドット(年製作の映画)

2.7

大宇宙の小さな小さな淡く青い点でしかない地球(ペイル・ブルー・ドット)の、その中の小さな小さな点でしかない人と人とのすれ違い。ロマンチックで秀逸なタイトルである。終焉間際のカップル。「僕たちどこですれ>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

男性の側から見れば悪夢のような展開であるし理解できないし許し難い。けれど女性から見れば主人公のあの行動の根拠が、倫理的な善し悪しを介さない身体的な衝動として理解されるのではなかろうかと思った。こと恋愛>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

2.7

3Dアニメの中でも最先端と言えそうなアニメーション表現にアメコミを読んでいるような2次元的ニュアンスを調和させ、最後の最後にいなたい漫画映画を取り合わせてしまうような稚気ある映像センスがただならぬ。あ>>続きを読む

帰り道(2019年製作の映画)

2.2

徴兵検査の日。男同士だから友は主人公の前で平気で裸でいるけれど、主人公はずっと見たかった友の姿に思わず反応してしまう。そして帰り道。相撲に誘う体で裸になって四つに組む。その実は彼がずっと願っていた肌の>>続きを読む

半世界(2018年製作の映画)

3.5

自分の視点で見ているのが世界の全てじゃない。相手の視点から見たそれもまた同じ。そんな半分ずつの世界を互いが持ち寄ってその人との全世界になる。それは相手の数だけ別にある。片側通行の関係性では必ず軋む。自>>続きを読む