めしいらずさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

黒い家(1999年製作の映画)

3.6

保険会社社員の主人公が、保険金搾取を目論む一見してヤバそうな夫婦に執拗に絡まれ、次々に起きる異様な事件を経て、最後に見る地獄風景。この世には絶対関わってはいけない人が本当にいるということ。それが避けら>>続きを読む

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

2.0

何となくずっと観ずにきて遅ればせながら初鑑賞。想像していたそれ以上でもそれ以下でもない、良く言えば安心して観られる、悪く言えばありきたりなお話だった。ただ、この時のジュリア・ロバーツの可愛さはちょっと>>続きを読む

メランコリック(2018年製作の映画)

3.4

銭湯でアルバイトを始めた東大卒ニートが、ひょんなことから職場で夜な夜な行われている殺し屋稼業の後始末をさせられる羽目になり…。随分と物騒げなお話ではあるけれど、そこはかとなく漂っている明瞭でないユーモ>>続きを読む

ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち(2017年製作の映画)

3.2

白人入植者に弾圧されながらも、黒人奴隷が奏でるブルースといつしか合流し影響し合い、やがてジャズやフォーク、ロックへと派生していった先住民の音楽。チャーリー・パットン、ミルドレッド・ベイリー、リンク・レ>>続きを読む

フラメンコ・フラメンコ(2010年製作の映画)

2.9

タイトル通りの、徹頭徹尾フラメンコだけの、フラメンコ好きにはこたえられないだろう映画。超絶技巧的なギター演奏、スタイリッシュなダンスのキレ、拍子が複雑なリズム、陶酔的な歌唱。観ているうちに気分が高揚し>>続きを読む

あの頃、君を追いかけた(2018年製作の映画)

2.8

以前に観た台湾オリジナル版があまりに良かったのでリメイク版を鑑賞。こちらも楽しい映画だった。友との陽気で幼稚な青春の日々。そして初恋。子供っぽい男子は永遠に女子の言葉の裏にある真意に追いつけない。思慮>>続きを読む

ガール・イン・ザ・ボックス(2016年製作の映画)

2.6

二十歳で拉致された女と犯人夫婦との2640日にも亘った監禁生活。これは実際に起きた事件なのであると言う。暴力と恐怖と嘘によって女から自由を奪い支配洗脳するのがこの種の犯罪の常套的なやり口であり、それは>>続きを読む

紙の月(2014年製作の映画)

2.9

主人公は金自体に執着しているのでなく、金に付随して得られるものに執着しているよう。その報酬は”愛”や”感謝”にも似て彼女を嬉しがらせたのかも知れない。金によって浮上した欲望が自制心や倫理をたちまち飲み>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.2

認知症患者の主観を通して見る世界は、何と理不尽で恐ろしい様相を呈していることか。論理性や整合性の埒外にあるその描写のリアリティに心底打ちのめされてしまった。私たちはそれが例え身内であっても苛立ちに取り>>続きを読む

ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

2.8

昔日に心を寄せた女性からの手紙が繋いだのは、視力低下が著しい独居老人の主人公と、偶然知り合った訳ありげな若い娘。娘は主人公の為に手紙を代読し返信を代筆する中で、手紙に込められた送り主の意を汲み取り、彼>>続きを読む

ブレス しあわせの呼吸(2017年製作の映画)

3.3

幸福の絶頂から暗転する人生。身体が動かせない障碍。余命は長くないと医師が言う。夫は運命の残酷さに飲み込まれそうになるけれど、妻にはそんなつもりはさらさらなかった。人生には何が起きるか分からないけれど、>>続きを読む

誰がための日々(2016年製作の映画)

3.4

母親の介護疲れ。父親は帰って来ない。外国住まいの弟は知らん顔。恋人との別離。主人公は次第に鬱を病んでいく。母は仕事を辞めて介護する彼を悪し様に罵り、何もしてくれない弟ばかり恋しがる。その矢先に彼は母を>>続きを読む

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)

2.8

地上417メートル、110階建ての超高層ビル、ワールドトレードセンターのツインタワーの屋上にワイヤーを架けて綱渡りして見せた実在の男の物語。人物描写が駆け足でドラマの厚みには欠けるところがあるけれど、>>続きを読む

最終頁(2021年製作の映画)

3.0

コロナ禍で理不尽に事業継続を諦めざるを得なかった数多ある事例の一つの、とある町の古書店の閉店の日に密着したドキュメント。閉店を惜しむ客たちの言葉からこの店の幅広くて趣味の良い選書と、店主の稼業への矜持>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

3.5

「よっぽどの(強固な)意志があるか、あるいは何も考えてないか」。そう評される主人公小寺の夢への一途さ。周囲から聞こえる雑音や様々な誘惑に一切心乱されない。不思議ちゃんと聞こえよがしに揶揄されても、まる>>続きを読む

I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース(2015年製作の映画)

2.9

街角で、ガレージで、教会で、ホールで、野っ原で、ミュージシャンのじいちゃんが、ばあちゃんが、ギターを奏で歌う、己が人生の所感。直接的な言葉で歌われるそれ自体がブルースだった。彼らはブルースによって生き>>続きを読む

嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

如何にもフランス映画らしい苦味の効いた結末が印象的なマルセル・カルネの傑作。妻、夫、姑、愛人、恐喝者。この五人が揃ってしまった運命に導かれて皆が揃って悲惨な末期へと転落していく。恐喝者が事件の鍵を握る>>続きを読む

最悪は友達さ(2021年製作の映画)

2.1

夢に憧れる。夢に飛び込む。つまずく。何度もつまずく。夢に怯む。自分を疑う。そして自棄になる。仲間たちの成功も転身もプレッシャーでしかない。甘い見通しを得々と語っていたかつての己を呪う。八方塞がりの中で>>続きを読む

グランド・ホテル(1932年製作の映画)

2.2

それぞれに事情を抱えた男女がホテル内で邂逅し、彼らの人生の悲喜交々が同時進行しながら交錯する群像劇。グランドホテル形式の嚆矢、豪華キャスト、トーキー映画で初めて聞くガルボの声など、名作の誉れ高き本作で>>続きを読む

思い出のマーニー(2014年製作の映画)

2.8

自分は愛されているのか。本当は要らない存在なのか。子供はそんな疑念を覚えてしまいやすい。両親を亡くし叔母の家で暮らす主人公が、不思議な懐かしい感覚に導かれるように己の出自に迫っていき、その過程で家族と>>続きを読む

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン(1966年製作の映画)

1.9

特撮華やかなりし60年代に東宝”ゴジラ”に対抗すべく始まった大映”ガメラ”。子供の頃にはテレビ放映されるのがほぼゴジラシリーズばかりだったので、ガメラシリーズは「ガメラ対ギャオス」しか観たことがなかっ>>続きを読む

クーパー家の晩餐会(2015年製作の映画)

2.7

失っていくものへの哀惜。若さ。時間。家族。時に愛もそうだと思ってしまう。なだらかな人生なんてない。家族の形は自然に変わっていく。でも思い出はいつでも変わらずに美しい。欠点を抱えたこの家族それぞれの秘密>>続きを読む

迷子のブヌーチカ(1966年製作の映画)

3.2

イタズラし過ぎて警察に捕まると勘違いし街中を逃げ回る女の子と、チェスに夢中になる間に彼女を見失い慌てるお守りのじいちゃん。逃走中の泥棒と追跡する警官たち。並行する二つの線が交錯し、そこにアイス屋台のお>>続きを読む

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

3.3

西加奈子の原作イメージ通りに可笑しくて可愛い素敵な映画だった。己の人生のありようを他人のせいにしない。自分を良く見せようとしない。他人を信じてそのまんまを受け容れる。そんな肉子ちゃんだから自然に人の輪>>続きを読む

オケ老人!(2016年製作の映画)

2.0

正直有り体なお話ではある。老人たちの交響楽団という設定で目新しさを狙ったものか。老人の為の青春おとぎ話。一生懸命な人は世代に関係なく素敵なのである。疵のない立派な演奏よりも弾き手が楽しんでいる演奏の方>>続きを読む

こねこのミーシャ(1963年製作の映画)

2.7

都市開発でおうちを取り壊され宿無しになった子猫が、あっと言う間に新築されたマンションで飼い主に巡り会うまで。可愛らしくそして少し寂しい世界観がカチャーノフらしい。主人公ミーシャがたまらなく可愛い。重機>>続きを読む

ほしのこえ(2002年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

青臭い世界観。女子中学生が国連宇宙軍に選抜される馬鹿馬鹿しさ。互いがメール発着の心配ばかりしている甘ちょろさ。まるで二人以外には世界に誰も存在していないような嘘臭さ。台詞の聞き取りづらさ。まるで中学生>>続きを読む

ジュリエットからの手紙(2010年製作の映画)

2.1

旅行中に彼女を放っておくと碌なことにならない、のお話。キュートではあるのだけれどあまりに王道な展開に過ぎるストーリーには正直鼻白んでしまう。老いて尚美しく気品を湛えたヴァネッサ・レッドグレーヴの存在感>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

作家であり弁護士でもあるF・V・シーラッハが、実際にヒトラーユーゲント指導者だった祖父のことをストーリーに織り込んで描いた法廷サスペンス小説の映画化。法廷シーンに原作のような緊迫感があまりないし、登場>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.8

夫は家族との未来を、妻は家族との今を優先しようとする。農場経営の夢に漕ぎ出した夫を妻は応援できずにいる。貧しい生活を支える孵卵場の仕事。苛立ちを募らせる妻の雰囲気を夫は読み違え、二人はいつも喧嘩してば>>続きを読む

グレムリン(1984年製作の映画)

2.6

映画というものに興味を覚え始めた小学生の頃に映画館で観て夢中になったのも懐かしきこの作品。改めて観るとストーリーの倫理観の欠如が気にならないこともないけれど、今でもそれなりに楽しめるしギズモはとびきり>>続きを読む

コンジアム(2018年製作の映画)

3.3

心霊系動画チャンネルの男女7人が、実在の韓国最恐の心霊スポット、コンジアム精神病院跡に潜入しライブ放送を敢行。最初は視聴者数稼ぎの為に仲間内の3人が事前に準備したやらせ番組の筈だったのに、彼らが用意し>>続きを読む

嗤う伊右衛門(2003年製作の映画)

2.0

20年くらい前に読んだから圧倒的に面白かった印象だけが残っている京極夏彦の原作小説。だからはっきりとは言えないけれど全然ニュアンスが違った気がする。本作はつまらない訳じゃないんだけれど、かと言って面白>>続きを読む

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)

4.1

グルジアの放浪画家ニコ・ピロスマニの伝記映画なのではあるけれど、その実、全編彼が描いた絵の世界観そのままにグルジアの田舎風景を絵画的に美しく切り取ったアート映画だった。素朴で人を和ませる諧謔味を含んだ>>続きを読む

15年後のラブソング(2018年製作の映画)

2.8

長年共に暮らすパートナーに違和感を覚えてしまった女と、これまでの出鱈目な生き方を悔いている元有名ミュージシャンの男が、ちょっと風変わりな出会い方をし次第に惹かれ合っていく。物腰の落ち着いたトーンと耳障>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.8

全編が詩によって語られたような映画で、それは「去年マリエンバートで」を観た時にも同じように思ったのだけれど、あちらにはどこか人を寄せ付けない冷たさを感じたのに対して、本作には共感と癒しに包まれるような>>続きを読む