”Like A Virgin"やチップにまつわる駄弁から”Little Green Bag"が流れ始める冒頭がシビれるようなカッコ良さ。メンバーの中に裏切り者がいたと疑心暗鬼に駆られ宝石強奪計画が頓挫>>続きを読む
大林宣彦による金田一もの及び角川映画、当時の世相のパロディ映画。元ネタのことを知っている人はフムフムとなるのだろうとは思う。CF的要素が色濃いのはやはりスポンサーへの配慮だろうか。個人的には前半こそシ>>続きを読む
もうこれは完全に松田優作ありき。本当に狂気が宿っているようにしか見えない眼が凄い。あのリップヴァンウィンクル云々の場面のおしっこ漏れそうな緊迫感たるや。クラシック音楽の効果が巧み。アルビノーニのアダー>>続きを読む
人殺しへの躊躇いは一切なく、後悔や罪悪感に苛まれることもない。まるで日曜大工のように被害者の脳天にハンマーを振り下ろす。指名手配の写真がそこら中に貼り出されても大手を振って町を歩き萎縮するところがない>>続きを読む
三文役者を自称しながらも、圧倒的な存在感を画面の中で発していた昭和の名脇役、殿山泰司の人生。彼を演じるのはこれまた超個性派の竹中直人。どちらも個性が強烈だから合わないのではと心配したが全く杞憂だった。>>続きを読む
ディズニー&ピクサーが家族愛を打ち遣ったまま終わるはずがないから、基本的には定石通りの展開ではあるのだけれど、”二度目の死”というモチーフ(メキシコには古くからある考え方らしい)があまりに絶望的であり>>続きを読む
子らは自立。夫婦仲も良好。そんな哲学教師の主人公の日常に巻き起こる諸問題。認知症の母の急逝。夫の不倫と熟年離婚。出版社の契約打ち切り。そして老いと孤独のこと。彼女を悩ませるのは高邁な思想や哲学の問題な>>続きを読む
ど頭からカマしてくれる。これは徹頭徹尾、男の側の視点だけで見た、一方通行な恋心の萌芽から終焉までの500日の記録である。時系列が順不同に語られるのは、いつかのしくじりを反芻してはまたうじうじ落ち込んだ>>続きを読む
夫と妻、親と子、男と女。言葉は通じない。言い分は噛み合わない。意思は通わない。モロッコ、アメリカ〜メキシコ、日本。遠く離れた地の交わる筈のない人たちが、一挺のライフルによって紐付けられていく。コミュニ>>続きを読む
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年老いた飼い犬と、お腹を空かせた野良猫が、賞品目当てに真夜中に開催される犬小屋レースに参戦。過去作品から拝借した台詞がいくつかあったが、飽くまで思いつきとしか感じられず、その一つ事を以ってしても作り手>>続きを読む
「万引き家族」へのオマージュの体で真逆をいくタイトル通りのお話。子どもに翻弄される大人たちが漫画的に大仰に描かれています。万置きというものをこの度初めて知ることと相成りました。子どものたわいない悪戯で>>続きを読む
出征前の将校と踊り子の恋。逢えるのは今日が最後かも知れない。そう思うから一日で燃え上がる。そして出征。戦死の誤報。女は困窮し、絶望し、生きるために望まぬ方へ進むよりほかなかった。嬉しい筈の帰還。でも女>>続きを読む
74年のルメット版「オリエント急行殺人事件」と比べても遜色ない超豪華キャストによる78年のギラーミン版「ナイルに死す」。脚本のアンソニー・シェーファーはこの後の「地中海殺人事件」「死海殺人事件」でも続>>続きを読む
形が整えば、自ずと心がついてくる。繰り返すことで勝手に手足が動くようになり、思考を介さない所作が身に付いていく。その中で自ずと目に、耳に、肌に感じられる四季の移ろい。ハッとする気づき。心にできた余裕。>>続きを読む
あまりにラストが有名な言わずもがなの人気作品。恥ずかしながら初鑑賞。予想を裏切らないベタな展開だったり、男性側の得手勝手な願望のような女性観だったり、如何にも演歌調な人情劇なのではあるけれど、だからこ>>続きを読む
名女優左幸子の監督作品。国鉄と労働組合と、ある一家の歴史をドキュメンタリータッチで描く。古い考え方が、古いやり方が、新しい時代の考え方とやり方に取って代わられる。その中で古きに固執する者たちが、時代の>>続きを読む
南も北も思いは一つであるのに、そうと易々とは言えない拗れたお国の事情。大国の思惑によって二分されてしまったけれど、元々は一つの国、一つの民族。表面的な見え方はどうあれ民が心底憎み合える筈もない。それで>>続きを読む
さらわれてしまった3歳の息子。両親は同じ境遇の仲間たちと探し続け、三年後にようやく発見し、その地の母らしき女から嫌がる息子を無理やり引き剥がし連れ帰る。女が警察にどれほど訴えようと彼女の死んだ夫は誘拐>>続きを読む
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姉妹と、二人が愛した男の三角関係のもつれが引き起こした悲劇。姉の死の真相。一度この男を愛すると覚悟を決め腹を括った女の強さ。姉妹が選んだ真反対の道。姉は愛した男の腕の中での死を選び、妹はお腹の子の為に>>続きを読む
ぐうたら娘の変わり映えしない春夏秋冬。本当に何にも起きない。ストーリーを追わない分だけ一つひとつの描写が濃やかになり、人への眼差しに説得力が付加されていくよう。一つひとつじわじわ効いてくるその可笑しさ>>続きを読む
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旅先で立ち寄ったサービスエリアで忽然と失踪してしまう妻。その真相が判らぬまま三年が経過しても、夫はまだ探し続けている。あの時、妻に何が起きたのか。生きているのか。さらわれたのか。何も判らないからずっと>>続きを読む
気障なプレイボーイ、嫌味で世間知らずな主人公が、愛人たちを利用し、利用され、犯罪者に堕ちて行く。どいつもこいつも浅慮な小悪党ばかり。でも一番の悪人がそうは見えないというのがリアル。哀れ主人公が彼女の美>>続きを読む
今見るとかなり現実離れした展開を見せるお話ではあるけれど、偶然が都合よく重なってうまく行くのかと思いきや、そんな安易なオチにしなかった点が誠実。失業者楽団は他力本願ではなく、ちゃんと自分たちの実力によ>>続きを読む
清張×芳太郎は面白い!保険金目当ての殺人容疑をかけられた女は如何にも黒っぽい。不利な証言は続々、マスコミは稀代の悪女と扇情的に喧伝し、彼女への心象を悪くする。女はそんなことを歯牙にも掛けず傍若無人に誰>>続きを読む
昔観た時の良くない印象がずっと残っていたのだけれど、壮麗なるヴィルヌーヴ版を経て、改めて見直してみると意外に悪くなかった。何と言ってもリンチの仕事だから悪趣味な表現にやはり光るものがある。得体の知れぬ>>続きを読む
これは本当にタイトルに偽りなしの、胸糞映画どころじゃない真に”鬼畜”映画だ。清張原作の映画化に定評がある野村芳太郎だけれど、その中でも最も強烈な一本だった。男の家に乗り込み、金の切れ目が縁の切れ目と三>>続きを読む
今更ながらの初鑑賞。お話自体は正直どうと言うこともなかったけれど、20年以上前のその時の映像の新感覚は、未だ色褪せていないように感じた。真っ白な仮想現実空間やスローモーションで見せる有名なアクションの>>続きを読む
演じることを演じているような不思議な感覚。他人を演じ続けることで草臥れていく人生。個人的には訳が分からなく面白みも少なくて疲れた。単にカラックスと相性が悪いだけだと思う。「TOKYO!」でカラックスが>>続きを読む
付き合っていた高校時代から14年経ち、それぞれ儘ならぬ人生に草臥れた大人となった男女が、再会してひと時を共に過ごしたことで、少しだけ気持ちが上向いたように感じて別れ幕。それだけ。焼け木杭に火が着くわけ>>続きを読む
おそらく横溝正史作品で一番人気が高いだろう原作小説を映画化した77年野村芳太郎版。原作はミステリとして実は割と粗めで、それよりは冒険小説的、恋愛小説的な味付けが人気の所以だろうと思ったけれど、本作では>>続きを読む
社会に蔓延する格差。縮小する一方の福祉。横行する弱者への暴力。虐げられた者たちの行き所ない憤懣はもう爆発寸前。「俺の人生には、1分たりとも幸せな瞬間なんてなかった」と主人公が振り返る人生。母親が言うよ>>続きを読む
ホロコーストが残した禍根。戦中にナチに傾倒した同胞同士が、戦後になって言い逃れし始める。役割を担っただけの末端にその罪科を押し付け、己の量刑を少しでも軽くしようとする。「(もしその場に居たら)あなたな>>続きを読む
素描のパラパラ漫画による4分のショートアニメ。顔面が裏返った若者。その顔面にゴミを詰め込み続けた男が得た千円札の野口には顔がない。若者は暇さえあれば周囲を遮断してスマートフォンにSNSにかまけ、益体も>>続きを読む
他人より距離が近い家族である分だけ関係がこじれると余計に厄介。見なくていい部分をわざわざ指摘したり、見なくちゃならないことを気づかずに見過ごしたりする。誰だって至らない部分を持っているのに、自分以外の>>続きを読む
スラムの子らが遊ぶ空き地にできたピザ屋。兄弟は舶来の未知なる食べ物にたちまち魅了されてしまうけれど、如何せん高くて手が出ない。孫を慮って優しい祖母が作ってくれたのは似て非なるもの(ドーサ)。日々困窮し>>続きを読む
真面目にふざけているような作品。まさかこれがあの三島原作だとは。リリー・フランキーが真剣な表情で件のふざけ切ったポーズを取るものだから思わず吹き出してしまうけれど、全体的には散漫な印象。