「示唆に富む」とはこの作品のことだ。
自省しろ、と問われている。
ヒトラーが現代に蘇ったら、という設定の妙と見せかけながら、我々に「鏡を見ろ」と問いかける問題作だった。
国としては稼いでいるよ>>続きを読む
寅さんこと『男はつらいよ』シリーズのひな形かつ原点。
一作目は本当の原点なのだが、これは足掛け26年間、48作に連なる要素のてんこ盛り。
長い口上をはじめとする、寅さんの長セリフや、とらやの面々>>続きを読む
出てくる役者たちは「松田優作組」というべき者ばかりだし、松田優作のいでたちも、いつもどおりなのだが、脚本の意図がわかりにくく、結末もすっきりしたのか、しないのだか。
名作「遊戯」シリーズや『蘇る金>>続きを読む
一作目の衝撃はいまどこに。という感もある。
シリーズが進んで、ボーンのアイデンティティが明かされていくたびに、楽しみも減っていくのは運命だ。
でも、カーアクションは凄いし、ボーンの強さもさらに>>続きを読む
この時代に演劇界のドロドロを暴露したのは、スキャンダラスだっただろう。
東海テレビの昼ドラを見慣れた今、業界内幕ものでなくとも、ドロドロに違和感はないのだが、感想をひとことで言うならば「女性は怖い>>続きを読む
日本の「ゴジラ」シリーズをクモンガのような操演(あやつり人形)でなく、エビラのような着ぐるみでなく、最先端のCGで作ったらどうなるのか、それをハリウッドが実現した映画だった。
ともかく巨大「怪>>続きを読む
まさにロードムービー。ひたすら歩いた1600キロの道程を淡々と描く。
ローラ=ダーンが演じる母が、不安な感じで役にぴったりだった。
主人公はジャンキーで、ビッチで、どうしようもなくなり、自分を見>>続きを読む
同スタッフによる『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』を先に見たので、おなじみの主役とヒロインに思えて、違和感がなかった。
メジャーな映画のように見ると物足りないが、インディーズなら頑張っていると思え>>続きを読む
いったい、どうしてくれるんだ韓国映画!というくらい、いい映画。
設定もテーマも題名どおりなのだが、細部が巧い。巧すぎる。
会いたいときの感覚や、会ったら別れたくなくなるようすや、会えないときの切>>続きを読む
Xメンの再構築で「フューチャー&パスト」の続きということをふまえないと、なかなか乗れない。
しかし、サイクロプス(とジーンも)の能力を解放させる場面など、盛り上がるところは多い。異形、異能のミュー>>続きを読む
村木は名美とは結ばれない。
ブルーフィルムの中から見つけた、理想の女である名美を追い求め、運命に引き裂かれる村木の哀しい姿が残る。
蟹江敬三のうらぶれていく感じが、またよい。
しかし、彼に感情>>続きを読む
新宿の夜明けの長回し、荒木一郎と小山明子の道行きのすばらしさ。
題名から、春歌や猥歌のことばかりイメージしてしまうが、実に政治的な作品だ。
退廃的な学生と退廃的な若手教師を、ブルジョアの反戦フォ>>続きを読む
何よりも神代辰巳の映画。村川透の監督作ではあるが。
民謡やフォークの猥歌に、つぶやき型の独白など、次の『恋人たちは濡れた』につながる作風が見て取れる。
1972年、新宿の風景が懐かしい。乗り物や>>続きを読む
共時性(どの時代にもあてはまる)ではなく、通時性(その時代だからの変化など)によって見ないとわかりにくい。
何よりも60年安保(安倍晋三の祖父、岸信介の政権)の直後に、松竹からの停止命令も考慮しつ>>続きを読む
ドラマでなくシチュエーションの映画。
思いついた出演者のコンビを考え、音楽を思いつき、シチュエーションを加えた映画。
共通するのは題名どおり、コーヒーを飲みタバコを吸っているということのみ。
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後のマフィア映画『黒の魂』も、これがなければできなかっただろう。
薬物の取引はもちろん、産廃の処理、オートクチュール一流ブランドの下請け工場など、都市の繁栄の裏にある現実を描く。
集合住宅に住む>>続きを読む
アカデミー賞発表直後に鑑賞。
「日本のスタジオジブリ制作アニメと、日本人原作で日本人俳優が多く出演の作品は、受賞できませんでした」というのが日本のニュース。
「日本えらい」とか「日本人の誇り」な>>続きを読む
ブラッド=ピットは『マネーボール』のときもそうだが感情的すぎ(笑)。情報機関にいる人間には思えない。
マリオン=コティヤールが「感情」が弱点になると、言っていたでしょ。
というツッコミはあるが、>>続きを読む
『ゴッドファザーPARTⅡ』と公開が同じ年だったため、アカデミー作品賞は獲れなかったが、名作だ。
冒頭からゲスなキャラクターを表す主人公の描写に始まり、ジャック=ニコルソンの不敵な演技に引き込まれ>>続きを読む
これは映画だということをふまえておかないといけない。
そのうえで、面白かった。
心理戦と駆け引き、そこに生じる敬意などきれいすぎる描写だが、これは映画だ。
視点がアメリカなので、敵の艦長クルト>>続きを読む
このチープさと脱力感は、いいなあ。
水色のジャージというよりパジャマのような制服。赤いニット帽、特に強面のウィレム=デフォーが被ると可愛い。
音楽は電子音のようでありながら、乗組員の弾き語りも加>>続きを読む
インタビュアーが友人なので、突っ込みが鋭いかどうかは置いておいて、監督の波乱に満ちた人生をあらためて知ることができた。
特に、『戦場のピアニスト』がかなり監督の見たことや経験したことを、そのまま描>>続きを読む
8月15日が近づくと「プリキュア」シリーズでも戦争をテーマにする、東映の志がここにもあった。
一作目『ふたりはプリキュア』で祖母が東京大空襲にあい、孤児が集まって過ごしたという物語に、東映の問題意>>続きを読む
とりあえず、ドロドロしたものや、パニック描写に関しては安心して見られるだろう。矢口監督だから、と考えて鑑賞。
電気というエネルギーが失われると、生きられないと考えがちだが、そうではないということは>>続きを読む
学生時代に、法政大学出版の「叢書ウニベルシタス」で『論理哲学論考』を見た(読んだとはいえない)ことがあるが、数式も多く、さっぱりわからなかった。
この映画の監督、デレク=ジャーマンは、当時を再現し>>続きを読む
とにかく痛快、とにかくエネルギッシュ。
題名どおり、ダイナマイト大爆発だー。
猥雑で飾り気など毛ほどもないが、宮下順子の美しさと、北大路欣也のイケメンぶりに、純愛が絡む。それ以外はパワーで押しま>>続きを読む
様々なジャンルを撮るのが天才だ。
傑作サスペンスの『死刑台のエレベーター』から、不条理コメディ『地下鉄のザジ』まで撮ったルイ=マル監督。
SFの金字塔『2001年宇宙の旅』から、ディストピア『時>>続きを読む
アメリカの異常さと、それに追従する日本のおかしさが浮き上がる、優れたドキュメンタリーだった。
世界のトップランナーで、これこそが良いというアメリカ。
日本のビジネスサイトや雑誌でも、「効率的で」>>続きを読む
異能者たちの苦悩、指摘されているように『Xメン』や『サイボーグ009』などミュータントものと同じ。もちろんペンギンのみならず、キャット・ウーマンも、バットマンさえももとを正せばフリークスだという事実>>続きを読む
奇人・変人とも、アスペルガー症候群とも言われる一方で、天才の名をほしいままにしたピアニストのドキュメンタリー。
動物園のゾウを前にして歌っていたり、演奏中もハミングしてたりという映像はNHK教育テ>>続きを読む
見えるものだけを観ては、評価できない映画だ。
Wikipediaで(いいので)、繰り返されたテレビドラマ化の際に、「ハンセン氏病」の設定がいかに変えられたかを調べてみるとよい。
避けられているの>>続きを読む
ダグラス=トランプ大統領が、ロシアによるハッキングを認めながら、歩み寄っているのは、民主党メールが絡んでいるからなのか、トランプ側のスキャンダルを握っているからなのか。
解らないながらもこの映画を>>続きを読む
アルトマン監督の遺作。お得意の群像劇だが、あたたかい視点だった。
白いコートの女が良い。天使。
劇場のあちこちに現れ、見える人と見えない人がいるし、天使らしい力を持っっているようにもみえないのが>>続きを読む
宗教というより信仰を描く、まさに重厚な映画。
作風は違うのだが、心臓手術もして死期を悟ったロバート=アルトマンの遺作『今宵フィッツジェラルド劇場で』を思い出した。
死を意識した遺作のような格調の>>続きを読む
集英社新書、小熊英二の『在日二世の記憶』で、この映画の監督、金守珍と「シネカノン」李鳳宇のインタビューを読んだばかりなのもあって、これを観た。
映画を作りたいということで、自らが立ち上げた劇団「新>>続きを読む
ドキュメンタリー『カルテルランド』のように、取材を元にしたストーリー展開だ。こっちはフィクションだという違いだけだ。
暴力はどこに生じるのか。
暴力を暴力で取り締まるのは、そのような環境に起きる>>続きを読む