FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

FutosiSaito

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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

4.0

 「示唆に富む」とはこの作品のことだ。
 自省しろ、と問われている。
 ヒトラーが現代に蘇ったら、という設定の妙と見せかけながら、我々に「鏡を見ろ」と問いかける問題作だった。
 国としては稼いでいるよ
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続・男はつらいよ(1969年製作の映画)

4.3

 寅さんこと『男はつらいよ』シリーズのひな形かつ原点。
 一作目は本当の原点なのだが、これは足掛け26年間、48作に連なる要素のてんこ盛り。
 長い口上をはじめとする、寅さんの長セリフや、とらやの面々
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俺達に墓はない(1979年製作の映画)

3.5

 出てくる役者たちは「松田優作組」というべき者ばかりだし、松田優作のいでたちも、いつもどおりなのだが、脚本の意図がわかりにくく、結末もすっきりしたのか、しないのだか。
 名作「遊戯」シリーズや『蘇る金
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ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)

3.6

 一作目の衝撃はいまどこに。という感もある。
  シリーズが進んで、ボーンのアイデンティティが明かされていくたびに、楽しみも減っていくのは運命だ。
 でも、カーアクションは凄いし、ボーンの強さもさらに
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イヴの総て(1950年製作の映画)

3.6

 この時代に演劇界のドロドロを暴露したのは、スキャンダラスだっただろう。
 東海テレビの昼ドラを見慣れた今、業界内幕ものでなくとも、ドロドロに違和感はないのだが、感想をひとことで言うならば「女性は怖い
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

3.9

 日本の「ゴジラ」シリーズをクモンガのような操演(あやつり人形)でなく、エビラのような着ぐるみでなく、最先端のCGで作ったらどうなるのか、それをハリウッドが実現した映画だった。  
 ともかく巨大「怪
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わたしに会うまでの1600キロ(2014年製作の映画)

3.6

 まさにロードムービー。ひたすら歩いた1600キロの道程を淡々と描く。
 ローラ=ダーンが演じる母が、不安な感じで役にぴったりだった。
 主人公はジャンキーで、ビッチで、どうしようもなくなり、自分を見
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エイリアン・ビキニの侵略(2011年製作の映画)

3.4

 同スタッフによる『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』を先に見たので、おなじみの主役とヒロインに思えて、違和感がなかった。
 メジャーな映画のように見ると物足りないが、インディーズなら頑張っていると思え
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.2

 いったい、どうしてくれるんだ韓国映画!というくらい、いい映画。
 設定もテーマも題名どおりなのだが、細部が巧い。巧すぎる。
 会いたいときの感覚や、会ったら別れたくなくなるようすや、会えないときの切
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X-MEN:アポカリプス(2016年製作の映画)

3.9

 Xメンの再構築で「フューチャー&パスト」の続きということをふまえないと、なかなか乗れない。
 しかし、サイクロプス(とジーンも)の能力を解放させる場面など、盛り上がるところは多い。異形、異能のミュー
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天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

4.3

 村木は名美とは結ばれない。
 ブルーフィルムの中から見つけた、理想の女である名美を追い求め、運命に引き裂かれる村木の哀しい姿が残る。
 蟹江敬三のうらぶれていく感じが、またよい。
 しかし、彼に感情
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日本春歌考(1967年製作の映画)

4.0

 新宿の夜明けの長回し、荒木一郎と小山明子の道行きのすばらしさ。
 題名から、春歌や猥歌のことばかりイメージしてしまうが、実に政治的な作品だ。
 退廃的な学生と退廃的な若手教師を、ブルジョアの反戦フォ
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白い指の戯れ(1972年製作の映画)

3.6

 何よりも神代辰巳の映画。村川透の監督作ではあるが。
 民謡やフォークの猥歌に、つぶやき型の独白など、次の『恋人たちは濡れた』につながる作風が見て取れる。
 1972年、新宿の風景が懐かしい。乗り物や
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日本の夜と霧(1960年製作の映画)

4.0

 共時性(どの時代にもあてはまる)ではなく、通時性(その時代だからの変化など)によって見ないとわかりにくい。
 何よりも60年安保(安倍晋三の祖父、岸信介の政権)の直後に、松竹からの停止命令も考慮しつ
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.8

 ドラマでなくシチュエーションの映画。
 思いついた出演者のコンビを考え、音楽を思いつき、シチュエーションを加えた映画。
 共通するのは題名どおり、コーヒーを飲みタバコを吸っているということのみ。
 
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ゴモラ(2008年製作の映画)

3.8

 後のマフィア映画『黒の魂』も、これがなければできなかっただろう。
 薬物の取引はもちろん、産廃の処理、オートクチュール一流ブランドの下請け工場など、都市の繁栄の裏にある現実を描く。
 集合住宅に住む
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.0

 アカデミー賞発表直後に鑑賞。
 「日本のスタジオジブリ制作アニメと、日本人原作で日本人俳優が多く出演の作品は、受賞できませんでした」というのが日本のニュース。
 「日本えらい」とか「日本人の誇り」な
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

3.6

 ブラッド=ピットは『マネーボール』のときもそうだが感情的すぎ(笑)。情報機関にいる人間には思えない。
 マリオン=コティヤールが「感情」が弱点になると、言っていたでしょ。
 というツッコミはあるが、
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.9

 『ゴッドファザーPARTⅡ』と公開が同じ年だったため、アカデミー作品賞は獲れなかったが、名作だ。
 冒頭からゲスなキャラクターを表す主人公の描写に始まり、ジャック=ニコルソンの不敵な演技に引き込まれ
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眼下の敵(1957年製作の映画)

3.8

 これは映画だということをふまえておかないといけない。
 そのうえで、面白かった。
 心理戦と駆け引き、そこに生じる敬意などきれいすぎる描写だが、これは映画だ。
 視点がアメリカなので、敵の艦長クルト
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

3.9

 このチープさと脱力感は、いいなあ。
 水色のジャージというよりパジャマのような制服。赤いニット帽、特に強面のウィレム=デフォーが被ると可愛い。
 音楽は電子音のようでありながら、乗組員の弾き語りも加
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ロマン・ポランスキー 初めての告白(2012年製作の映画)

3.7

 インタビュアーが友人なので、突っ込みが鋭いかどうかは置いておいて、監督の波乱に満ちた人生をあらためて知ることができた。
 特に、『戦場のピアニスト』がかなり監督の見たことや経験したことを、そのまま描
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相棒 劇場版Ⅳ 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断(2017年製作の映画)

3.7

 8月15日が近づくと「プリキュア」シリーズでも戦争をテーマにする、東映の志がここにもあった。
 一作目『ふたりはプリキュア』で祖母が東京大空襲にあい、孤児が集まって過ごしたという物語に、東映の問題意
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サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

3.5

とりあえず、ドロドロしたものや、パニック描写に関しては安心して見られるだろう。矢口監督だから、と考えて鑑賞。
電気というエネルギーが失われると、生きられないと考えがちだが、そうではないということは
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ヴィトゲンシュタイン(1993年製作の映画)

3.5

 学生時代に、法政大学出版の「叢書ウニベルシタス」で『論理哲学論考』を見た(読んだとはいえない)ことがあるが、数式も多く、さっぱりわからなかった。
 この映画の監督、デレク=ジャーマンは、当時を再現し
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ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)

4.0

 とにかく痛快、とにかくエネルギッシュ。
 題名どおり、ダイナマイト大爆発だー。
 猥雑で飾り気など毛ほどもないが、宮下順子の美しさと、北大路欣也のイケメンぶりに、純愛が絡む。それ以外はパワーで押しま
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吸血鬼(1967年製作の映画)

4.1

 様々なジャンルを撮るのが天才だ。
 傑作サスペンスの『死刑台のエレベーター』から、不条理コメディ『地下鉄のザジ』まで撮ったルイ=マル監督。
 SFの金字塔『2001年宇宙の旅』から、ディストピア『時
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マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(2015年製作の映画)

4.0

 アメリカの異常さと、それに追従する日本のおかしさが浮き上がる、優れたドキュメンタリーだった。
 世界のトップランナーで、これこそが良いというアメリカ。
 日本のビジネスサイトや雑誌でも、「効率的で」
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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015年製作の映画)

3.7

 異能者たちの苦悩、指摘されているように『Xメン』や『サイボーグ009』などミュータントものと同じ。もちろんペンギンのみならず、キャット・ウーマンも、バットマンさえももとを正せばフリークスだという事実>>続きを読む

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独(2009年製作の映画)

3.7

 奇人・変人とも、アスペルガー症候群とも言われる一方で、天才の名をほしいままにしたピアニストのドキュメンタリー。
 動物園のゾウを前にして歌っていたり、演奏中もハミングしてたりという映像はNHK教育テ
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砂の器(1974年製作の映画)

4.8

 見えるものだけを観ては、評価できない映画だ。
 Wikipediaで(いいので)、繰り返されたテレビドラマ化の際に、「ハンセン氏病」の設定がいかに変えられたかを調べてみるとよい。
 避けられているの
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スノーデン(2016年製作の映画)

3.7

 ダグラス=トランプ大統領が、ロシアによるハッキングを認めながら、歩み寄っているのは、民主党メールが絡んでいるからなのか、トランプ側のスキャンダルを握っているからなのか。
 解らないながらもこの映画を
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今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006年製作の映画)

3.9

 アルトマン監督の遺作。お得意の群像劇だが、あたたかい視点だった。
 白いコートの女が良い。天使。
 劇場のあちこちに現れ、見える人と見えない人がいるし、天使らしい力を持っっているようにもみえないのが
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

 宗教というより信仰を描く、まさに重厚な映画。
 作風は違うのだが、心臓手術もして死期を悟ったロバート=アルトマンの遺作『今宵フィッツジェラルド劇場で』を思い出した。
 死を意識した遺作のような格調の
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夜を賭けて(2002年製作の映画)

3.9

 集英社新書、小熊英二の『在日二世の記憶』で、この映画の監督、金守珍と「シネカノン」李鳳宇のインタビューを読んだばかりなのもあって、これを観た。
 映画を作りたいということで、自らが立ち上げた劇団「新
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.8

 ドキュメンタリー『カルテルランド』のように、取材を元にしたストーリー展開だ。こっちはフィクションだという違いだけだ。
 暴力はどこに生じるのか。
 暴力を暴力で取り締まるのは、そのような環境に起きる
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