FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

FutosiSaito

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黒の魂/黒い魂(2014年製作の映画)

3.8

 北野武監督の映画、『ソナチネ』や『HANABI』なども静かで乾いているが、これも凄かった。
 風景が乾いている、舗装されていない道や、建物など、服装も地味な色が多く、まさに「寒村」といったものだ。
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ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)

3.7

 高機能自閉症の新しいヒーロー像を提示した。
 「自閉症スペクトラム」にアスペルガーも含まれるので、その人口は多く、何らかの障碍を持つ者は多いと言われている。
 そして、それは個性であり、測定の基準も
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ロアン・リンユィ/阮玲玉(1991年製作の映画)

4.8

 ちあきなおみを思い出した。(役に)感情移入しすぎてしまうアーティスト。
 役になり切るあまりに、OKテイクのあともずっと泣き続けていたり、共演した相手を次々と好きになったり。
 ちあきなおみも、夫、
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さざなみ(2015年製作の映画)

-

 ビスコンティ監督の退廃的な作品、ナチスの台頭を背景にした『地獄に堕ちた勇者ども』や、リリアーナ=カヴァーニ監督の『愛の嵐』(これもナチスのコスチュームでヌードも披露した)を思うと、感慨深い。
 その
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スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)

4.0

 現実の切り取りかたと、組み立てかたの面白さ。
 会話というより対話(ダイアログ)の緊迫感。
 さすが、ダニー=ボイル監督とアーロン=ソーキン脚本だ。
 人格的にはかなりエキセントリックで問題のあるス
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ストレイト・アウタ・コンプトン(2015年製作の映画)

3.9

 『スクール・オブ・ロック』より、エミネムの『8マイル』に近い。
 廃工場が並び、廃れたデトロイトを舞台としたエミネムの半自伝映画と、コンプトンというアメリカ屈指の犯罪都市から、ギャングスタ・ラップを
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SPY/スパイ(2015年製作の映画)

4.0

 オープニング音楽からして「007」で、これはその裏返しパロディ。
 スマートなイケメンに対して、太ったおばさん、華麗に世界を股にかけるエージェントに対して、サポートの内勤などだ。
 しかし、その主人
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ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男(2014年製作の映画)

3.8

 作品をいくつも観ていないと、評価しにくい孤高の監督だった。
 『M★A★S★H』の衝撃、オープニングから今までの戦争映画とは違うノリで、ブラック・ユーモアだが、感動も誘うということに驚いた。
 『三
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1001グラム ハカリしれない愛のこと(2014年製作の映画)

4.0

 ドラマツルギーとか、異様な盛り上がりのある映画ばかり観ている(作っている)、ハリウッド映画とは違う。でも、味わい深くていい。
 原題にはない、副題の「ハカリしれない人生のこと」がテーマを表している。
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悪い女(1998年製作の映画)

3.8

 聖性があるばかりに、へたに悪意がなく誰とでも寝てしまうことで、迷惑をかけてしまう。
 家族が翻弄されていく物語は、パオロ=パゾリーニ監督の『テオレマ』を想起させる。あっちは、美青年が母とも娘とも、父
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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD(2015年製作の映画)

2.8

 前編よりは楽しめたが、破綻が多すぎた。
 死んだと思った人が、生きていたり、それが何人もいたり。
 漫画原作が終了していないのだから、映画独自な巨人誕生の秘密など、この世界観と設定は「あり」だとは思
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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)

2.5

 『シンゴジラ』はあんなに面白かったのに、同じようなスタッフでも何でこんなに、評価が低いのか。
 悪趣味で、実写で観たくない内容なのだ。
 人が食べられたり、巨人といえども頭が潰されたり、うなじが切断
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土竜の唄 香港狂騒曲(2016年製作の映画)

3.5

 仲里依紗、一児の母。『ゼブラーマンーゼブラシティの逆襲』で三池監督と組んだときから、いやらしい描写も「上等」だったが、純情な役と兼任で今でもやっているのは凄い。
 そして、菜々緒。ヒロインであるはず
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海賊とよばれた男(2016年製作の映画)

3.4

 ちょっとしたプロパガンダ映画にして賛歌。
 事実を元にしているが、なかった社歌を創作するなどもあり、社史のような態様だと思った。
 時系列が前後するので、なんだかわかりにくいこともあるが、社史の視点
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チェイス!(2013年製作の映画)

4.0

 これはシカゴが舞台ではあるけれど、インドの刑事役二人が主演する『DHOOM』シリーズ3作目で、原題は『DHOOM:3』だということをふまえて見なければならない。
 しかし、悪役のアーミル=カーンが凄
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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年製作の映画)

3.8

 予告編では、人間の出るドラマ部分ばかりだったので、SF色は今ひとつかと考えていたら大違い。
 クライマックスの宇宙大戦は、CGとはいえすさまじかった。さすが、ルーカスフィルム、さすがディズニー映画だ
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ソレダケ that’s it(2015年製作の映画)

3.9

 落ち着いた『蜜のあはれ』の前の、激しい原点回帰。
 『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市』につながるテンションの高さ。
 しばらく映画を撮ってなかったが『ネオ・ウルトラQ』で繋いで、渋川清彦もそこに
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恋の門(2004年製作の映画)

3.7

 2004年といえば『あまちゃん』よりこんなに前だったのか、松田龍平。
 いい意味で、キャラクターが今もほとんど変わっていないのに、驚いた。
 監督の松尾スズキ、よくこんなものを選んだな、すばらしい。
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.6

 レンタル店の「コメディ」コーナーに置いてあった(しかも『テッド2』の隣)ので、そんな映画だと思って見始めたら、違った。
 なんだ、この緊張感は。
 アメリカ=ハリウッド作品にない、家族コメディには絶
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ギャンブラー(1971年製作の映画)

3.8

 題名から『シンシナティ・キッド』や『ハスラー』のような博打打ちのスタイリッシュな映画だと思っていたが、大いに違った。
 ポスト西部劇とか、西部劇の反対像とか言われているが、そういうもの抜きで「アルト
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祭りの準備(1975年製作の映画)

4.0

 土着とか、地縁とか、血縁とか、悶々とした青春とか、性に対するあこがれと失望とか、ともかく青い。青臭い。
 主演の江藤潤は、その名も『純』という作品にも主演している。
 その垢抜けなさが、時代に合って
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アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

5.0

 アンドレ=ブルトンらによる『シュールレアリズム宣言』を白水社の文庫クセジュで読んだときの衝撃を忘れない。
 現実を表現するには、リアリズムでは限界がありそれを超える=シュールということを「1924年
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恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.9

 吉田喜重監督の『エロス+虐殺』はインテリ特有の難解さが全面に出過ぎていたが、こちらは情念と情熱にあふれていた。すごい。
 長回しも、展開も予断を許さない。
 馬跳びのシーンはどう終わるのか、絵沢萌子
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

5.0

 不朽の名作。『未知との遭遇』では、人道的な学者役のトリュフォーの半自伝映画。
 監督自身が感化院に何度も入れられたり、軍隊入隊も脱走して罰せられたり、後の風貌とは異なる、まさに「反抗的」な人物だった
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競輪上人行状記(1963年製作の映画)

3.8

 驚いた。もう今では作れない異色の作品だった。
 1963年がポイントだ。競輪が一大レジャーだった時代。
 ここまで協力的だったとは。松戸競輪場を中心に他も出てくるのに、ハマった者の悲惨さも描写されて
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

4.5

 ただひたすら、せつない。
 主演のヒース=レジャーも、相手役のジェイク=ギレンホールも、妻役のミッシェル=ウィリアムスも、みんなせつない。
 後にヒース=レジャーとミッシェル=ウィリアムスは実際に結
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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016年製作の映画)

3.7

どうせ『ハリーポッター』初期のような「ファンタスティック」映画だろ?とたかをくくっていたら、面白かった。
 主演のエディ=レドメインについては『リリーのすべて』の熱演を見たせいで、今回はよけいに爽や
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ピンクカット 太く愛して深く愛して(1983年製作の映画)

3.8

 1981年『のようなもの』、1982年『シブがき隊ボーイズ&ガールズ』『(本)噂のストリッパー』、そしてこの映画のあとすぐが傑作『家族ゲーム』という、森田芳光監督の上昇時代だ。
 懐かしい。『永い言
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温泉スッポン芸者(1972年製作の映画)

3.8

 これは凄い。凄い時代だった。
 『トラック野郎』シリーズを監督した鈴木則文は、終生、俗っぽさを守り続けた。
 その監督が筑摩書房のPR誌で連載を持つ日が来るとは、いい意味で時代も変わったものだ。
 
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君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

3.5

 大映の大社長、永田雅一が憤怒を「ふんど」と呼び違えたからこうなった題名らしいが、音楽が軽くて凄すぎた。音楽抜きで、考えよう。
 ついでに、つじつま合わせのような設定も、違和感のある熊の着ぐるみも忘れ
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まほろ駅前狂騒曲(2014年製作の映画)

3.6

 ポスターの惹句からバスジャックが強い印象に残るが、違った。
 「母性」でも「父性」でもなく「親性」の映画だった。
 主人公二人が女の子を預かることで、親性を有していくようすが描かれていた。過去に家族
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高慢と偏見とゾンビ(2016年製作の映画)

3.8

 四姉妹がキャッキャとじゃれてるシーンがあるだけで、許してしまう。
 コルセットの紐を締め合ったり、縁談があったりは原作と同じでも、その後はブーツやガーターにナイフを挿し、少林寺拳法の組手をする。
 
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無理心中日本の夏(1967年製作の映画)

3.8

 ずっと頭から離れない映画。
 冒頭からアヴァンギャルドでヒッピーで、フーテンで、アナーキーだ。
 性も暴力も、常識では抑圧すべきものなのだが、ここでは主演の、頭のネジが外れた「ネジ子」と積極的に死に
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永い言い訳(2016年製作の映画)

4.0

 西川美和監督の独壇場な、とげとげしいセリフがいっぱい。
 冒頭から、中盤も、物語の節々で登場する。
 本木雅弘がまた、身も蓋もないことを口走る。それが哀しくなってくるところが凄い。
 原作ものでなく
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痴漢電車 聖子のお尻(1985年製作の映画)

3.8

痴漢シーンはじめ、駅でのもゲリラ撮りの面白さ。
主演の蛍雪次郎の怪演に、今回はグリコ森永事件を題材にした、タイムリーさ。
リアルタイムでたくさん見た。
画面に向かって話す演出など遊びに満ちた演
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.0

 ジブリや、新海誠だけ見てる場合ではない。
 これこそ、みんなが見た方がよい作品だ。特に偉い人が。
 主人公が天然ボケで、思ったことをすぐ口にするので、逆に事態を客観的に見ることができる。
 悔やんで
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